2010年7月31日土曜日

7.25 動労千葉を支援する会2010年運動方針案

 以下に7月25日2010年度動労千葉支援する会定期総会における「動労千葉を支援する会10年運動方針案」を掲載します。



動労千葉を支援する会10年運動方針案

【1】2009年総会以降のとりくみの経過


 昨年7月20日、2009年度総会をDC会館において120名の参加で開催し、以下の基調を提起したたかいぬいてきました。
①動労千葉の反合運転保安闘争路線に学び、11月労働者集会1万人結集の先頭に立とう!
②4者4団体路線を粉砕し、1047名解雇撤回闘争の責任をとる会に飛躍しよう!
③すべての地域で支援する会を立ち上げよう! 支援する会を全国に拡大し、職場・地域の労働者を組織しよう!

 3月4日、足かけ5年のすさまじい闘病のすえ、中野洋動労千葉前委員長が逝去されました。動労千葉は中野前委員長の遺志を引きついで、昨秋より5波のストライキを貫徹し検修・構内外注化4・1実施を阻止しました。そして「4・9政治和解」という1047名闘争と日本労働運動の火が消されるか否かをめぐる情勢に抗して6月13日、国鉄闘争全国大運動をスタートさせました。支援する会は中野前委員長の遺志にこたえるためにも、6・13大集会で呼びかけられた3000名会員の獲得に向けて全力で決起しよう。

1.検修・構内業務の全面外注化阻止、ライフサイクル制度撤廃、10春闘、 反合運転保安闘争などのたたかい

 JR東日本は昨年10月、検修・構内業務の全面外注化を4月1日に実施すると提案してきました。そしてJR千葉支社は外注化を強行するために次々と拠点の幕張支部役員を強制配転し、組合破壊攻撃をしかけてきました。2月1日には津田沼支部滝君に対し、ライフサイクル制度による配転を強行しました。また3月13日には館山検査派出の廃止を強行してきました。
 これに対し動労千葉は昨年10・1、今春2・1~2、3・1~2、3・12~13、3・19~20の5波のストライキを貫徹しました。こうした闘いによって検修・構内業務外注化4月1日実施は阻止されました。またこの闘いの過程で2名の組織拡大を実現しました。
 支援する会はそれぞれのストライキでの総決起集会や幕張車両センター、習志野運輸区前、木更津運輸区前での抗議行動、館山検査派出廃止抗議行動に動労千葉の組合員とともに決起し、総武線沿線各駅での街宣行動を行ってきました。
 また動労千葉と動労総連合は代々木公園において2・13労働者集会を1850名の結集で開催し、JR東日本本社までデモを行いました。
 尼崎事故5周年弾劾、尼崎現地闘争には480名が結集し、事故現場へのデモを貫徹しました。

2.1047名解雇撤回の闘い

 4月9日、与党3党公明党と政府が1047名問題についての「和解案」について合意し、4者4団体がそれを受け入れることを表明しました。「和解案」の内容はカネと引き替えに国鉄分割・民営化を正当化し、「すべての訴訟と取り下げ、今後不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない」という受け入れ条件が付されたものでした。しかも、あらかじめ動労千葉を排除することが明記されていました。
 動労千葉は、この和解がより大規模な民営化・労組破壊攻撃の始まりであり、労働運動全体の息の根を止める大攻撃であるととらえ、直ちに声明を発しました。そしてこの攻撃の本質が動労千葉つぶしであり、国鉄闘争の火が消されようとしている情勢の中で動労千葉自身が団結を守りぬくには、あくまで1047名解雇撤回をつらぬき国鉄分割・民営化に反対し闘いつづける新たな全国運動を組織する以外にないと決断し、多くの賛同をえるなかで「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」を立ち上げました。この新たな全国運動のスタートを切る6・13全国集会(東京・文京シビックホール)が1635人の結集でものすごい熱気の中で勝ちとられました。そして全国各地に支援する会をはじめとした国鉄闘争の共闘組織を立ち上げ、当面3000名の会員を組織しようと呼びかけられました。その中軸を支援する会が担うという大飛躍が求められています。
 動労千葉の鉄建公団訴訟は決定的な段階に来ています。昨年、12月16日の公判で元国鉄職員局補佐で現JR高崎支社長の伊藤証人が「動労千葉12名はじめ本州の不採用者は1987年1月末か2月冒頭までは採用候補者名簿に記載されていた。外すよう指示したのは葛西職員局次長(当時)だった」と証言し、23年目にして重大な事実が明らかになりました。
 次回、7月28日の動労千葉鉄建公団訴訟では田中委員長、高石動労千葉争議団長に対する証人調べが東京地裁で行われます。11時からデモも行います。
 支援する会は公判ごとに傍聴闘争にとり組んできましたが、今後、傍聴闘争への取り組みの強化が求められています。

3.国際連帯

 昨年11・1労働者集会は画期的な国際連帯集会として勝ちとられました。韓国民主労総ソウル本部44名の代表団をはじめ、アメリカからILWU、UTLA、ブラジル・コンルータスの代表、ドイツからも参加が勝ちとられました。国際討論集会、日韓理念交流、日韓解雇者交流会など10の関連企画をやりぬきました。
 また11月7日~10日には民主労総の労働者大会に全国から100名の仲間が参加しました。三里塚反対同盟の萩原事務局次長も動労千葉16名の代表団と行動をともにして、連帯を深めてきました。
 今年6月2日~10日には、ブラジル・コンルータス(全国闘争連盟)の招待を受け、照岡いすみ支部長、佐藤新小岩支部長がブラジルを訪問。200万人を組織する労働組合との新たな国際連帯がスタートしました。コンルータスの大会では動労千葉の参加と訴えが大きな注目を集め、1047名闘争、11月集会をともに闘う決議が満場一致で採択されました。
 また新たな全国運動の呼びかけには民主労総ソウル地域本部傘下の主要産別・労組の代表32人が名前を連ね、米国からもILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏が参加しています。
 
4.全国に支援する会をつくろう! 支援基金-会員拡大について

 全国に支援する会を拡大しようという方針の下、一昨年の支援する会広島結成につづき、昨年9月20日、支援する会新潟の結成大会が行われました。つづいて10月3日には静岡で支援する会が立ち上げられ、続々と全国に支援する会がつくられる出発点となりました。
 全国運動が呼びかけられる前日の4月29日には千葉、5月20日に東京・西部で結成集会がもたれました。6・13集会での3000名会員獲得の大方針の下、6月20日には山陰で支援する会が立ち上げられ、岡山でも支援する会が結成されました。6月27日には東京・三多摩で結成集会がおこなわれ、7月21日には東京・北部に支援する会が結成されました。また、7月2日には東京東部で「新たな全国運動東部の会」が立ち上げられました。
 今後、年末にかけて全国すべての地域に支援する会を立ち上げることをめざします。

5.運営委員会の定期開催

 運営委員会を以下の通り、定期的に開催してきました。同時に運営委員会の拡充を図ってきました。現在、事務局も含め20名を超える参加で支援する会運動をどう進めていくか議論しています。毎回、動労千葉から関執行委員に参加していただき、動労千葉の運動方針についても提起されます。
 全国で支援する会がたちあがる状況の中で、運営委員会も全国運営委員会としての飛躍が問われています。また総会のほかに全国の支援する会代表との会合も検討中です。


【2】労働運動をめぐる情勢

はじめに

 6月2日、鳩山政権が沖縄をはじめとした労働者人民の怒りの声で打倒され、6月8日、菅政権が登場しました。しかし、それから1ヶ月後の7月11日、参議院選挙で民主党は大敗し、参議院では与党過半数割れという事態になりました。
 これは、連合を政権内部に取り込むことによって労働者階級の怒りを抑え込み、「東アジア共同体」「新たな公共の秩序」「地域主権」=道州制攻撃―公務員労働者360万首切り、〈究極の民営化―労組破壊〉と〈戦争―改憲〉への道を突き進もうとした民主党・連合政権の破綻を示すものです。つまり既成の政党、連合はじめとした体制内労働運動ではもはや労働者の怒りを抑え、支配することが出来なくなったことを示しています。
 今一番問われていることは、労働者階級の怒りと結合し、荒々しい労働運動の復権を勝ちとる時代がきたということです。すべての核心は、闘う労働組合を歴史の最前線に再び登場させることが出来るか否かです。
 
①世界大恐慌の本格的爆発
 「6月の経済指標が軒並み、予想を大きく下回ったことで、ウォール街の専門家の間では、景気が2番底に落ちたとの見方が広まっている 」(7月6日付ロイター) ―世界大恐慌は、今激しく進行しています。
 米国の財政赤字は100兆円を越え、日本と中国が米国債を大量に購入し続け、FRB(中央銀行)が何の裏付けのないドル紙幣を印刷しつづけています。これは必ず米国債・ドル暴落に行き着かざるをえません。
 EU経済はアメリカ以上の危機に直面し、「事態はリーマン破綻以来の深刻さ」(ニューズウイーク誌)と言われています。ギリシャから始まった財政破綻はイタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドへと拡大し、国債は紙くず化し、それを保有するドイツ、フランス、イギリスなどの金融機関への信用不安が広がり、ユーロ通貨圏が崩壊しかねない事態に突入しています。
 「成長のエンジン」と呼ばれていた中国はどうか。中国バブル経済の崩壊は秒読み段階といわれ、それは「ドバイの1000倍」となって世界を襲い、アメリカ経済・日本経済をも崩壊させ、世界大恐慌の本格的爆発となっていこうとしています。「1%の特権階級に40%の富が偏在」と言われているアメリカ以上の貧富の格差、このようななかで労働者のストライキが激発し、昨年の争議件数は50万件を遙かに超え、すでに強権的に押さえ込むことが出来なくなっています。大恐慌は明らかに新たな段階に入っています。
 
②日本経済の破滅的破産と労働者への攻撃
 日本の国家財政が完全に破綻しようとしています。
 IMFは5月、各国の国内生産(GDP)に対する債務残高の比率を発表しました。日本は昨年段階で871兆円(GDP比189%)に上り、今年度末には227%に、5年後には250%に達すると予想しています。これはギリシャ(133%)を遙かにしのぐものです。
 菅は所信表明演説で「ギリシャに端を発したユーロ圏の混乱に見られるように、公的債務の増加を放置し、国債市場における信認が失われれば、財政破綻に陥るおそれ」「わが国の債務残高は巨額であり、その解消を一朝一夕に行うことは困難」と危機感を吐露し、「戦後行政の大掃除の本格実施」を叫んでいます。
 このような中で菅は6月15日の国会で「私は道州制はやるべきだ、それも『廃県置藩』的な内容で考えている」と全公務員労働者を対象に国鉄分割・民営化型の首切りを宣言しました。民営化、外注化・非正規職化を徹底的に進め、公務員労働者の大リストラを軸に労働運動の解体に突き進もうとしているのです。とりわけ消費税の大増税を公然と推し進めようとしています。

③「4・9政治和解」攻撃の背景
今一度はっきりさせたいのは、国家財政危機、経済危機の問題は、ギリシャに限らず、まず公務員労働者をめぐる問題です。今回の参議議員選挙で焦点になった「消費税10%増税」、これはすさまじい攻撃です。「増税の前に無駄をはぶけ!」と公務員攻撃がふきあれるということです。社保庁解体―民営化攻撃をもって「公務員360万首切り、選別再雇用」、国鉄分割・民営化型攻撃が本格的に始まったのです。だから、敵は国鉄闘争を何がなんでも解体しようとしているのです。「4・9政治和解」攻撃の背景もここにあります。北教組(北海道教組)への攻撃も同じです。北教組も数年前にストライキをやった組合なのです。
 都労連の存在も絶対に容認できません。都労連は賃金闘争と国鉄闘争が実態です。都労連はいまもストライキができる存在です。支配階級からみればこの存在を残したままギリシャ情勢には絶対に入れないということです。国鉄闘争の解体は、完全に都労連解体攻撃になっていきます。すでに清掃や水道、東交、病院などでものすごい民営化・労組破壊攻撃が進行しています。しかし東交で外注化・合理化に対する現場からの怒りが吹き出していることは決定的です。
本当に国鉄闘争がその可能性を発展させてゆくならば、連合は必ず空中分解します。あらためて国鉄闘争の持つ意味、労働組合のもつ意味をはっきりさせて、4大産別で勝負することが重要です。
資本主義の危機が深まれば深まるほど、階級闘争は労働者、労働組合をどちらが獲得するのかをめぐる攻防にいっさいの焦点が絞られるのです。

④中国で、全世界で労働者大闘争が始まった
 大恐慌下において、いま世界各地で労働者大闘争が爆発しています。とりわけ中国での「労働者の大乱」は歴史的な事態です。この「大乱」「ストの嵐」のきっかけは、広東省深センの台湾系大手電子機器メーカー「富士康(フォックスコン)」の青年労働者が相次いで飛び降り自殺したことです。労働者は朝8時から夜8時まで働いて、それから残業という過酷な労働が強いられています。「組立ラインでは12時間立ちっぱなし。たまには部品が落ちた。腰をおろして拾うだけでも至福を感じる。どんどん落として、それを拾いたいのよ」と労働者は語っています。1日15時間労働、女性労働者の月収が5000円強です。そして軍隊式管理支配で、今年に入って13人が自殺し、10人が死亡し、大きな社会問題になり、賃金を30%引き上げました。富士康は世界最大級のエレクトロニクス機器の受託製造企業で、アウトソーシング請負会社です。ノキア、ソニー、アップル、HP、デルが取引先と報道されています。 
 同じく広東省のホンダ系部品工場で大規模ストライキが始まりました。ホンダは完成車工場が操業停止に追い込まれ、24%の賃上げに合意しました。わずか千数百人のホンダ系部品工場から始まったストライキは中国全土に拡大し、トヨタ系の部品工場やブラザーの工場でもストライキが始まりました。日系企業だけでなく韓国系や台湾系の工場でもストライキは起きています。
 トヨタの部品工場のデンソーのストは、工場内で労働者が座り込み工場を停止させるシットダウンでした。1937年アメリカGMフィリント工場のシットダウンを思い起こさせる光景です。ストライキの中心は、1980年以降に生まれた若い労働者、農民工です。8~10人で1部屋の劣悪な環境の寮で生活し、恐ろしいほどの超低賃金で長時間酷使されているのです。まさに帝国主義の新自由主義を支える「世界の工場」の実態です。そして、ついに自殺や過労死が相次ぐ状況のなかで中国の労働者の根底的な怒りが爆発し始めたのです。
 これらのストライキは、総工会という中国スターリン主義の権力機構そのものである官製御用労働組合と対決して闘い抜かれています。いまや労働者の要求は、賃上げではなくて本物の労働組合、自分たちの労働組合、つまり団結することそのものになっています。中国では労働者のスト権は認められていません。ストの要求に独立労組の要求が掲げられると、直ちに警官隊は工場を包囲し、労働者と衝突する事態が起きています。ホンダから始まったストライキの波はドミノのように南部の広東省から中国各地に拡大しています。
 これはものすごいことです。今日の中国共産党スターリン主義がその政治支配を継続しながら、改革開放路線─帝国主義資本の導入を進めていくことができた核心に1989年の天安門事件があります。天安門事件は、改革開放政策によって経済格差が拡大し、官僚の汚職や腐敗が深刻化し、インフレや失業など矛盾が大きくなる中で中国共産党に対する不満が高まる中で起きた民主化要求運動でした。(=『北京の春』)
 民主化要求運動には、学生のみならず、共産党の厳然たる影響下にあると思われていた国有企業労働者や党官僚の一部、農民、ひいては軍隊からも支持者、参加者が登場しました。とりわけ労働者は、党の影響下にあった総工会から自立して独自に「北京工人自治会」など全国の主要都市で自立した組織を結成し、民主化運動の防衛、共産党に対する監督などを訴え、天安門広場ではピケットラインを組織し、北京郊外では軍隊の進入を阻止するために奮闘し、全国各地から結集した学生たちの運動を防衛し、幾度にもわたる巨大なデモ行進のなかで力強い隊列を築き上げ、ストライキの呼びかけを全国に発しました。
 これに対して中国共産党は、「学生のデモに労働者を合流させてはならない」と戒厳令を敷き、6月4日、人民解放軍がデモ隊に対して無差別発砲し、戦車や装甲車でひき殺し、北京で5千、中国全土で1万人が殺されたといわれています。そして6・4「血の日曜日」以降の弾圧はとりわけ労働者階級に対して徹底したものとなりました。90年代半ば以降から本格化する新自由主義政策―帝国主義資本の導入は、共産党による弾圧支配体制のなかで、労働者階級の抵抗をほとんど受けることなく進められてきました。
 学生や青年労働者が団結して闘うということを極限的に抑圧した天安門事件なしに今日のこの中国の状態、中国労働者階級の現状はありません。天安門事件は、物理的強制的な抑圧だけでなく、若者や学生が団結して闘うということそのものを奪う攻撃だったのです。
 ついに、これを打ち破る闘いが中国で始まったのです。ストライキに立ち上がっているのは天安門事件以後に生まれ育った世代なのです。第二の天安門事件となるのか、韓国・民主労総の創成につながった1987年の労働者大闘争となるのか……本当にとてつもないことがはらまれている歴史的出来事が私たちの目の前で始まっています。

⑤国鉄分割・民営化体制と青年労働者
 実は日本も同じです。天安門事件が起きた1989年という年は、総評が解散して連合が結成した年です。
 国鉄分割・民営化攻撃で階級的力関係は激変し、総評というナショナルセンターが解散し、連合がつくられました。日本の労働者から、とりわけ分割・民営化後に生まれ育った青年労働者から団結して闘うということを徹底的に奪い尽くす攻撃としてあったのです。
 終身雇用や年功賃金制の解体、20代の青年労働者の2人に1人が非正規雇用で、正規雇用の半数はほとんど非正規雇用と変わらない労働条件で働いている現実……労働者の尊厳も奪われ、労働者家族も徹底的に解体されました。
 こういう大きな意味での「国鉄分割・民営化体制」を打ち破る青年労働者が必要だし、この日本でも完全に始まっています。何よりJRにおいて、動労千葉に結集した青年労働者を先頭に、JR総連革マルの労働者支配を打ち破って青年労働者が決起を開始していることの意義はとてつもなく大きいのです。


【3】6・13集会が切りひらいた地平

① 新たな全国運動の発展を予感
6・13集会に参加した誰もが、ものすごい熱気や高揚感、新たな全国運動の発展を予感しました。それはひとことで言って、国鉄闘争が本来持っていた大きな可能性を示すことができたということです。6・13をもって国鉄分割・民営化絶対反対、1047名解雇撤回闘争は大きな可能性を生み出しつつ新たな闘いに突入したのです。
 それは、敗北主義に陥って権力に投降しようとする一部指導部が闘争を独占し、政治的に引き回し、現場労働者の階級性や戦闘性を抑圧することを打ち破って、6・13の場にいた全員が国鉄闘争の主体となる闘いの地平をつくりだしたのです。
今回の政治和解の攻撃、国鉄1047名解雇撤回闘争解体の攻撃を過小評価してはなりません。80年代の国鉄分割・民営化攻撃に匹敵する大きさを持つとともに、労働運動の再編攻撃としては、89年の連合結成に匹敵、いや、それ以上の意味を持つ攻撃です。
 動労千葉が労働組合として、この画歴史的な1047名解雇撤回闘争=国鉄闘争の解体攻撃に対して反撃を開始したことが決定的だったことを確認する必要があります。

②攻撃の核心は動労千葉排除。これを打ち破った意義
 今回の政治和解攻撃の核心中の核心は動労千葉の排除にあります。ここを絶対的に見据えることと、これを打ち破ったものは何かを真に教訓化し、総括する必要があります。
2006年2月16日、国鉄分割・民営化から実に19年目にして、動労千葉争議団、国労闘争団、全動労争議団の1047名解雇者全員が団結して集会を準備し、全国に闘いを呼びかけました。1047名連絡会が結成されたのです。これは国鉄闘争を支援してきた多くの労働者が待ち望んでいたものでした。わずか800人の会場に2500人がつめかけました。
この前年に尼崎事故が起きていることです。動労千葉は「労働組合としてどう闘うのか」を深刻に自らに問い、全線区で安全運転闘争に入り、職場で徹底的に闘っていました。さらに、2・16集会の直後の4月6日に幕張で列車脱線事故が起き、動労千葉が一つの歴史を画する闘いに突入していくのです。
 2・16集会では、千葉でのレール破断を告発するビデオが上映され、高石さんが現場の闘いを報告し、「解雇撤回とJRでのストライキと結合して闘い抜く」と感動的に決意表明しました。これが圧倒的に受けて盛んな拍手を受けました。
 1047名全員が団結して闘うことがものすごい高揚をつくりだし、その高揚感がそっくりそのまま、動労千葉に獲得されていくという構図になりました。これが権力と体制内派の強烈な危機感を生み出したのです。これが4者4団体派の登場と動労千葉排除の政治和解の出発点です。
 4月4日、1047名連絡会の陣形で再度の集会が準備され、4600人のすごい結集と高揚を生み出しました。ところがこの集会では、全労連が「動労千葉の発言は認められない」と動労千葉の安全運転闘争の報告と訴えを徹底的に妨害してきました。さらに全労連は「動労千葉は労働組合の仮面をかぶった暴力集団」などと誹謗中傷をくりかえしました。動労千葉の闘いが国鉄闘争陣形を丸ごと獲得することを恐れたのです。この中で1047名被解雇者が前面に立って全国の労働者を組織していくという構造も後退させられてしまいました。
 2000年の完全民営化から一斉に外注化攻撃がはじまり、それと軌を一にして国労の屈服が進行しました。国鉄改革法を認め、JRに法的責任がないことを全国大会で決定するところまで行きました。JR現場でも国労活動家の拠点である保線の外注化を闘わずして容認しました。他方で動労千葉は01年の外注化攻撃の始まりに対して、シニア制度との闘いなど田中体制のもとで厳しい闘いを不屈に闘いきました。
 この中で分割・民営化の破綻の象徴である尼崎事故に対して闘うことができたのは結局、動労千葉だけでした。今日、政治和解派が誰一人として尼崎事故について弾劾できない、口をつぐんでいることは決定な意味をもっています。
 現場の攻防と1047闘争の攻防は表裏一体です。国鉄闘争、1047名解雇撤回闘争の陣形が動労千葉労働運動と結合するかどうかが大焦点になっていました。
 これへの大反動として、「解雇撤回」要求を消し去った4者4団体路線が出てくるのです。4者4団体路線とは解雇撤回をあくまで掲げる動労千葉を排除することだけではなく、国鉄闘争陣形と動労千葉との結合を阻止することにあったのです。だからその意味では、今回の動労千葉排除の政治和解策動は、突然出てきたわけではありません。敵は、動労千葉排除の一点にかけて、数年間にわたって準備し、これで動労千葉を解体しようと狙ったのです。

③ 排除攻撃打ち破った力は外注化4・1実施阻止にある
 このような動労千葉の排除─解体攻撃を打ち破って6・13を成功させたのもまた動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線と4・1外注化阻止だということが重要です。
実際に、新たに呼びかけ人や賛同に加わった多くの人びとの展望や信頼をつくりだしているのは動労千葉の反合理化・運転保安闘争であり、何よりも実際に4・1外注化を阻止した「実績」です。
  この「実績」―外注化実施阻止の勝利の地平から、6・13大集会「わたしたちは、本日の集会を出発点として、新自由主義攻撃と対決する新しい労働運動をつくりあげることを展望し、…全国的な運動をつくりあげることを呼びかけます」と訴えられました。


【4】基調

1.動労千葉の反合運転保安闘争路線に学び、11月労働者集会1万人結集の先頭に立とう!

動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線こそ、戦後の労働運動の限界を乗りこえ、新自由主義や大恐慌情勢と対決する労働運動です。今一度再確認し、主体的に実践的に学ぶ必要があります。  
 「4・1外注化実施阻止」、これは国鉄―JRにおける反合理化闘争の歴史に残る歴史的大勝利です。この勝利の歴史的な、そして現在的な意味・意義をもっと鮮明に捉え、教訓化していく必要があります。
 70年代以降の新自由主義攻撃の典型的かつ具体的な攻撃が民営化と外注化です。民営化もその実態は、外注化と非正規雇用化です。民営化にせよ、アウトソーシングにせよ、それは現場の労働者の団結を破壊し、業務を奪い取り、それを下請、外注会社に丸投げするものです。正規雇用をすべて非正規に突き落としていく、これが「外注革命」の実態です。
 この攻撃は、日本では連合をはじめ体制内の労働組合の全面屈服のもと、公共部門だけでなく、民間もふくめた全産業で90年代以降に猛烈に進められました。
 問題は、この攻撃に対抗し、打ち勝つ労働運動が成り立ちうるのかということです。新自由主義の時代における反合理化闘争の歴史的な突破が求められているのです。
 ここに動労千葉労働運動、動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線の決定的な大きさ、歴史的意義があります。鉄道の安全という問題を切り口に外注化攻撃と真っ向から対決し、それを打ち破ったのです。団結を総括軸に、戦術的には限りなく自由自在に展開し、現場の労働者の団結で力関係をつくっていく労働運動。現場の労働者の気持ちや怒りを本当に現実の労働運動としてつくりだす路線。職場の労働者が団結すれば、合理化や外注化は止められる――このあたり前といえばあたり前の労働運動を本当に成立させた動労千葉の労働運動の反合理化・運転保安闘争路線のもつ意味は本当に大きいものがあります。世界の労働組合の注目もそこにあるのではないでしょうか。
 最大の激突地点は職場です。労働者の怒りを結合し団結をつくり、資本の攻撃と対決し勝利できる路線はなにか。動労千葉の反合運転保安闘争路線を学び、職場実践するなかから闘う路線を形成し、団結を強化拡大する―動労千葉労働運動を実践することが求められています。11月集会1万人結集の実現のカギは、困難な道ですがここにあります。

2.「国鉄闘争全国運動」を担う支援する会に飛躍しよう!

 われわれは6・13大集会を持って、大恐慌下に階級的労働運動を創造する歴史的挑戦を開始しました。その闘いの基本方針・当面する課題は、「全国運動の要綱」、「6・13集会での訴え」で以下のように鮮明に提起されています。
 「新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげること」「全国各地に国鉄闘争の火を燃やし続ける共闘組織を」「動労千葉を支援する会、国鉄闘争支援運動の組織化を」です。
 支援する会は、この提起を真正面から受け、全国運動を担いきる運動体として飛躍しなければなりません。私たちの闘いの物質的基盤は巨大に拡大しています。このことを確認する必要があります。
 6・13に向かって、私たちはものすごい飛躍が問われました。私たちが本当に1047名解雇撤回闘争―国鉄闘争、そして階級闘争に責任をとる挑戦がほんのちょっと始まったにすぎません。4者4団体派や体制内労働運動派が多くの労働者を支配し、闘いを抑圧している現実と無縁・無関係なところでいくら原則や戦闘的なことを言っても始まりません。そういう狭さ、未熟さ、不器用さを克服していかなければなりません。
 まずは一人ひとりが、この全国運動にかけた豊かな内容を自らのものとすること、確信を持って提起できること、それがいっさいの出発点です。その最大の武器が全国運動パンフです。

3.全国の各地に支援する会を立ち上げ、職場・地域の労働者を  会員に組織しよう。

 6.13大集会前後して支援する会結成集会が次々と勝ち取られています。千葉、東京西部、山陰、三多摩、東京北部、埼玉…。結成集会の何処でも共通しているのは、職場での苦闘、動労千葉労働運動の実践に必死になってチャレンジしていることが報告され、それが集会が大きく盛りあげ大成功に結びつけていることです。支援する会を立ち上げた地区は、6・13以降会員拡大を大きく前進させています。
 6・13大集会で提起された3000会員を実現するためには、直ちに全ての地域に支援する会を立ち上げることが絶対に必要です。会を立ち上げるためには様々の問題や困難もあり論議が必要です。しかし重要なのは、まずは会を立ち上げることを決めること、そこから論議することです。
7月2日 「新たな全国運動 東部の会」の結成集会が70名の結集でおこなわれました。6・13集会のような凄い熱気のある集会だったと報告されています。そのなかで東交の青年労働者は、「東交における民営化・外注化反対の闘いを、東交・動労千葉支援する会の会員拡大と一体のものとして闘う」と宣言しました。
 「職場で闘争を始める」―これは簡単なことではありません。まずは職場で動労千葉の物販をやる、仲間を支援する会の会員に組織する、これは立派な職場闘争です。
支援する会運動は単なる動労千葉支援運動ではありません。職場・産別・地域に、「民営化・外注化と対決し勝利してきた動労千葉労働運動」の旗を立て、闘う団結をうちたて、階級的労働運動をつくりだす、第2、第3の動労千葉をつくることなのです。

 
【5】具体的方針

1.動労千葉支援・連帯のたたかい
(1)動労千葉の反合運転保安闘争、組織拡大闘争に共に立ち上がります。
(2)会員拡大-支援基金運動
全国に支援する会運動を広げ、すべての地域に支援する会をたちあげ、職場・産別に支援する会をつくることを目指します。国鉄闘争全国運動3000名会員獲得の先頭に立ちます。
(3)物販闘争に全力でたちあがります。
物販闘争は支援する会運動の土台をなす闘いであり、同時にたたかう労働組合の新しい潮流をつくりだす基礎的闘いです。そしてたたかう労働組合と日常的団結をつくり出す水路です。物販闘争の位置づけを高め、職場、地域で物販闘争に全力でとりくもう。
(4)1047名解雇撤回-鉄建公団訴訟勝利のたたかい
動労千葉の鉄建公団訴訟や国鉄闘争全国運動を支援する会は担います。

2.11月集会1万人結集へ
(1)動労千葉との交流会を職場・地域でつくり出そう。
(2)青年労働者を中心に労働者学習センターの労働学校への参加を。
(3)動労千葉のたたかいを全国に広げよう。
・日刊動労千葉を多くの労働者に広げよう。
・動労千葉出版物、労働者学習センターブックレットを広げます。
 とりわけ『新版甦る労働組合』『俺たちは鉄路に生きる』シリーズについて全力で広げます。
・動労千葉のたたかいのビデオ上映会を組織します。
(4)国際連帯のたたかいに決起します。

3.組織強化-拡大
(1)運営委員会の強化・拡大を
(2)職場・地域に、全国すべての地域に動労千葉を支援する会をつくり出します。
(3)支援する会ニュースの活用と充実