2010年8月14日土曜日

8.6ドイツ学生演説

 同志のみなさん、私はドイツ代表団の一員です。私たちは、ドイツの学生運動の中で活動していますが、このかん「レーテ(労働者評議会〉デモクラシー」という委員会をあらたに立ち上げました。このメンバーでもあります。私たちを招待してくれたのは全学連と動労千葉です。おかげで、私たちはこの感動的な集会に参加することができています。どうもありがとうございます。

 私は今日みなさんに、ドイツの戦争政策、つまりドイツ政府がどのように戦争を遂行し、それが明らかに経済的理由で、つまり金儲けのためにおこなわれており、そのことによって世界中にどれほどの苦しみを引き起こしているかについて述べたいと思います。

 アフガニスタンとコソボに、いまドイツの兵士たちが約5500人駐留しています。その戦争の犠牲者は--どの資料に依拠するかにもよりますが--市民レベルで1000人とも5万人とも言われ、多国籍軍の側では2000人です。

 この戦争は明らかに経済的理由でおこなわれています。アフガニスタンのアへンなしには麻薬産業全体が崩壊してしまうでしょう。アフガニスタンを経由するガス・パイプラインが計画されていますが、それなしにはヨーロッパはロシアに依存したままでしよう。そして、今になってアフガニスタンに価値の高いリチウムが偶然に見つかったとか言っていますが、これって本当ですか?! はじめから知っていたんでしょう。

 ボスニアでコソボでイラクで、そしてアフガニスタンで、西側諸国はどこでも新自由主義的経済政策を貫徹しようとしています。全面的な民営化によって国有財産は投げ売りされ、市場は外国の資本と商品に開放され、外国企業にたいする税の軽減化がおこなわれています。

 ドイツ軍はいま、軍の構造改革に手をつけようとしています。それによってドイツ軍の〔NATO軍=アメリカ軍からの〕独立性を強化しようというのです。これにたいして、なんと自由民主党(FDP)のみが慎重な姿勢をとっていますが、社会民主党(SPD)と緑の党にいたっては、この改革案を支持しているのです。ドイツ人の70%はドイツ軍のアフガニスタン派兵に反対しています。でも、反対運動の力が弱いために、派兵・駐留は今も続いています。

 ヨーロッパではいま、どこでも、徴兵制の廃止ということが取り沙汰されています。そうなれば、ヨーロッパ諸国の軍隊は将来、傭兵の軍隊になります。でもこれは、べつに平和のためにそうしようというわけではありません。民衆の多数が戦争に反対しても戦争をしやすくする、それがこのプランの狙いです。

 母が息子の死を悼んで泣くこともなく、息子が戦争に行かなくてもすむようになれば、母と息子は、その戦争がどのような理由で引き起こされるのか、今よりもずっと関心がなくなってしまうでしょう。こうして民衆の共同決定権は著しく奪われることになるのです。

 またヨーロッパの隣接地帯では、まったく許しがたいことが起きています。パレスチナのガザ地区は、この10年来完全封鎖され、全世界から切り離されています。「テロにたいする闘い、とりわけハマスにたいする闘い」という口実のもとで、ガザ地区全体が隔離施設にされています。イスラエルは商品、食品、建築材料などの流入を統制しています。

 このようななか、5月末にトルコからのガザ支援船がイスラエル海軍によって拿捕されるという事件が発生しました。この襲撃によって9人の支援者が死にました。イスラエルは正当防衛だったと言っています。でも、支援船の乗組員がもっていたのはわずかに鉄の棒とナイフだけ、これにたいして訓練されたイスラエル軍兵士は銃砲とヘリコプターで武装していたのです。撃たれて死んだ19歳の若者は、顔や背中などに5発の銃弾を受けています。この事態にたいして、ヨーロッパ諸国は何もしていません。わずかにトルコが、亡くなった支援者のために抗議声明を発するかどうかというくらいです。

 みなさん、情勢はますます熱くなっています。世界大恐慌は日々激化し深化しつつあります。そして、アメリカのオバマ大統領は絶望的なアフガニスタン戦争をますます激化させ、ゲーツ国防長官は「北朝鮮とイランは核攻撃の対象」と公言しています。

 このように、資本主義=帝国主義はますます反人間的姿をとり、身動きできない労働者をあざ笑っています。その反人間的行動と利潤追求のための政治は、ますますあつかましくずうずうしいものになっています。

 しかし、希望はあります。世界中どこでも、正規軍がゲリラに勝ったためしはありません。日本でも、成田空港をめぐるみなさんの闘いが勝利的に闘われているではありませんか。

 でもなんと言っても、階級的労働運動の全世界的復権こそ私たちの最大の希望です。ヨーロッパでは、とくにギリシャにおいて、労働者階級が今年になって6回のゼネストを闘いました。その巨大な影響は全ヨーロッパに広がりつつあります。

 全世界におけるこのような革命的情勢のなかで、国際連帯はますます重要に、ますます不可欠なものになっています。まさにこの国際連帯をさらに発展させるためにこそ、いま私たちはここに立っています。

 全世界にわたる革命的ネットワークはきわめて強力なものです。
ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな!戦争絶対反対!
国境を越えた労働者階級・民衆の国際連帯で核を廃絶しましょう!

 私たちには、資本家と闘い、その不正義の体制を一掃する力があります。利潤追求も搾取も抑圧もなく人間が生きられる社会、そのような公正な世界のためにともに闘いましょう。ありがとうございました。