安全犠牲に設備コスト削減
ATACS 閉塞方式なげ捨て無線で列車制御
JRは、東日本大震災で一部不通になっていた仙石線の復旧に伴って運用していたATACS(無線式列車制御システム)を、2017年から埼京線に導入し、順次、首都圏の各路線に拡大しようとしています。
1閉塞1列車の原則を破壊 JRでは従来、「閉塞方式」と呼ばれる方式で鉄道の安全を確保してきました。「閉塞方式」とは、信号機から次の信号機までの間を「閉塞 区間」として設定し、一つの閉塞区間に一つの列車しか入れないというものです。
この基準が守られている限り列車同士が衝突することはありません。
それに対してATACSは無線による列車制御システムです。
各列車が無線で発信した位置を把握し、先行列車との間隔から進行できる限界位置を算出して後続列車に送信。後続列車は受信した情報を基に自動でブレーキ制御を行うというものです。
これは鉄道の安全を守る仕組みを根本的に変えるものです。閉塞区間という絶対的な停止基準を廃止すれば、わずかなトラブルやミスが事故に直結することになります。
しかも、列車の本数が桁外れに多く、列車の追い越しや踏切など複雑で、路線が相互に乗り入れる首都圏で、ATACSを導入すれば鉄道 の安全は深刻な危機に陥ります。
過密ダイヤと乗務員の労働強化 閉塞方式では列車間隔は信号の位置によって決まるので、間隔を詰めるには信号を増設する必要があります。それが自由に間隔を詰められることになります。
過密ダイヤが容易にできるようになれば、乗務員の労働強化につながることも明白です。
さらに閉塞方式をやめれば、地上信号機や列車の位置を検知するための軌道回路、ATS(自動列車停止装置)、ケーブル類などの複雑な地上設備もなくなり、それを維持・保守する労働力も不必要になります。
JRは、信号保安の劇的なコストダウンを狙い閉塞方式を投げ捨てるつもりなのです。
コスト・人員削減のために安全を破壊し、乗務員の労働強化は認められません。
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