6月11日、新宿では約2万人が参加した大規模な反原発デモが行われた。裁判員制度はいらない!大運動は、「反原発特集号」となる『全国情報』第19号を新宿中央公園で参加者に配布した後、デモに参加した。
これは、その後の報告である。
「51年目のスイッチ」弁護士 高山俊吉
6月11日の新宿中央公園からのデモは長丁場でしたね。午後3時過ぎに公園を出発してアルタ前は6時近く。主催者はさっさと解散っていう雰囲気。
私たち6人は近くで食事をしてまたアルタ前に戻った。現場は完全な飽和状態。
青い制服の警察官でいっぱい。ゲリラ的なリレートークが続いているが、警察官がどんどん増えて解散を迫っている。司会者の後ろの生け垣の上にも警察官たちがいる。
俺たちには表現の自由がある」と絶叫する青年。
「表現の自由」
この言葉を聞いて私にはかちっとスイッチが入ってしまいましたね。何かがおりてきてしまった。「しゃべらせろ」「何でもしゃべらせろ」とどなった。
予定の進行から外れることで困ったような顔の司会者が「どうぞ」と私にマイク。
「何だこのざまは。ふざけるんじゃない。
警察官の君たちも被曝しているんだぞ、君たちの家族も被曝しているんだぞ。
原発反対を言っているみんなは君たちの命を含めてみんなが死なないようにがんばっているんだ。
東電の味方をして自分がもっと被曝したいのか。恥を知れだ。君たちは今何をしているのかわかっているのか。
私は弁護士だ、法律家だ。いま表現の自由という言葉を聞いた。
法律家として私は断言する。そのとおり、みんなに正義がある、彼らには絶対に正義がない。
生きるか死ぬかの話の時に、何の規制か、何のルールか。
私は弁護士として言う。みんなにはいうべきことを言う権利がある。そしてみんなに言いたい。
政府も財界も司法権力も御用学者もみんな全然信用できない。政治家はもちろん信用できない。このとんでもない社会を根本から変えてゆくのは若いみんなだ。皆さんがこの社会を根本から変えてゆく。
法律家が言うべきを言わないでいることを私は詫びる。でも、力の限りがんばろうとしている弁護士も少なくない。力をあわせてこの状況を根本から変えていこう。彼らに暴走させてはいけない。彼らが暴走すれば、ここはチュニジアやエジプトに必ずなるぞ。一緒に闘おう。以上です。」
と、こんなことを話した(ような気がする)。いい爺さんの絶叫。しゃべった時間は5~6分かな。
話が終わったら完全なもみくちゃ状態。握手をしようというみんなにどっと囲まれました。
若い夫婦と子どもさんが寄ってきて、これも握手。「お嬢さんもご一緒なんですね」と言ったら、「マスクをさせていてわからないでしょうがこれは男の子です」と。そりゃごめんなさい。
「名前を教えて下さい、逮捕されたら頼みます」という青年。
外の何人もが「名前を教えて下さい」口々に。
タハリール広場とまではとても言えないけれど、アルタハ広場くらいの感じはしましたね。
後で一緒にいたS弁護士が「おおぜいいた警察官がいつの間にかすっと消えてしまった」と。
私は大学1年の時に樺美智子さんが警察官に殺された翌日の学内集会を思い起こしました。あのときも私の頭に一瞬にスイッチがはいってしまい、おとなしい俊吉青年が学友に「彼女の死を自分の問題として考えきろう」と思わず口走ってしまった。
しゃべる内容よりも、まずしゃべってしまったですね。
51年ぶりです。
タハリール広場にも51年ぶりのお爺さんがいたんだろうなぁ。