国鉄1047名解雇撤回をめぐる
中労委命令を弾劾する(声明)
中労委命令を弾劾する(声明)
(1)調査なしの却下決定
国鉄闘争に心を寄せる全国の皆さんに訴えます。国鉄1047名解雇撤回をめぐる闘いは、労働委員会制度の根幹を揺るがす攻撃との闘いにも進展しています。3月18日、驚くべきことに中労委は一回の調査さえ行わず、一切の連絡さえなく、突然に却下・棄却の命令を送りつけてきたのです(命令書は2月19日付)。
調査も開かず、労働者側の言い分を聞こうとさえしない――これが「労働者の救済機関」であり、「労働者の団結権擁護」を使命とする労働委員会の姿でしょうか?
労働委員会制度の根幹を否定する暴挙です。私たちは、中労委を怒りを込めて弾劾します。
中労委はなぜこんな暴挙を行ったのでしょうか?労働委員会規則には審問を開かなくても命令を出せる規定があります。しかし、それは労働者の救済を迅速に行うためです。調査も行わず、労働者の言い分を聞こうともしないことを正当化する理由にはなりません。また、命令書には「組合側の主張の趣旨が必ずしも判然としない」という表現が繰り返されています。なぜ、調査を開催して組合の主張を質すことさえしないのでしょうか? 「中労委は都合の悪いことを隠蔽しようとしている」と考えざるを得ません。
(2)命令書の許しがたい内容
動労総連合は中労委に対して、審査開始を待つように求めていました。それは、千葉県労委が審理を一切拒否して命令を強行したことをめぐり、東京高裁で争っているからです。県労委での事実調べを求めている中で、中労委での主張を始めれば、組合側の主張に矛盾が生じざるを得ないからです。また、先行して中労委での審査を進める中で、裁判で主張が認められれば、中労委での審査との整合性が問題になります。 しかし、中労委は命令書で「待つ義務はない」と一方的に書いただけで切り捨てました。さらに、県労委が裁判の係争中に命令を出したことも、現在東京高裁で争われている行政訴訟について「訴えは却下されるべき」「認められる可能性はない」とまで言い切って擁護しました。調査さえ開かず、裁判所が判断すべきことを労働委員会があらかじめ〝却下〟してまで、労働者側の意見を聞くことさえ一切拒否しているのです。
(3)中労委によるJRの不当労働行為隠し
30年を超える国鉄1047名解雇撤回の闘いは、ついに国家的不当労働行為の真実を完全に暴き出しました。JR不採用とした基準そのものが不当労働行為だったと最高裁で認めさせ、その基準の策定を斎藤英四郎JR設立委員長が指示し、設立委員会として正式に決定していたことも突き止めたのです。国鉄改革法23条5項では、「設立委員会が行った行為はJRの行為」と規定されています。
「JRに責任なし」とした最高裁判決でも、「設立委員自身が不当労働行為を行った場合は別として」とされています。これまでの最高裁判決の前提は覆り、国鉄分割・民営化による不当解雇の責任がJRにあることが誰の目にも明らかになりました。JRによる不採用は、無効です。動労総連合は、満を持して労働委員会に解雇撤回・現職復帰と団体交渉開催を求める救済申立を行ったのです。
しかし、中労委は、解雇撤回を求める申立について、「87年の解雇から30年以上たっている」というだけで門前払いにしました。しかし、30年以上解雇撤回を拒み続けたのは、JRです。団体交渉開催要求についても、「中労委は申立期間を徒過したと断定した。だから、中労委にはJRによる不当労働行為に対する救済命令を発する余地がない。そのため、JRは使用者にはならないので団交拒否には当たらない」と切り捨てたのです。
千葉県労委は、審査開始直後から公益委員が「最高裁命令に逆らう命令はかけない」と宣言し、事実上審理を一切拒否して、事実調べも行わずに結審を強行しました。中労委も同じく団結権擁護という使命をかなぐり捨てたのです。国家的不当労働行為の真実に触れた途端に解雇撤回を認めざるを得なくなるからです。中労委は事実調べ以前の調査さえ拒否してまで、真実を隠蔽しようとしています。中労委のこの反動性を厳しく弾劾します。
(4)中労委の暴挙ゆるさない闘いを
国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃でした。社会の力関係が大きく転換され、2千万人を超える膨大な非正規職労働者を生みだされる事態の出発点でした。そして現在、JRの職場ではこの国鉄分割・民営化に率先して協力した御用組合・東労組さえ解体する攻撃が激しく進行しています。労働組合の存在そのものを一掃しようとする国鉄分割・民営化を上回る攻撃です。
中労委の前代未聞の暴挙は、安倍政権の「働き方改革」攻撃と一体です。集団的労使関係を基本とし、曲がりなりにも労働者の団結権を擁護してきたあり方を、根本から解体する攻撃です。そして、「すべては個別の契約関係」「どんな不利益変更も会社の自由」として労働組合を否定し、労働者の団結権を奪おうとしています。
これに対する闘いに労働者の権利と未来がかかっています。私たちは、突き止めた真実を徹底的に社会に明らかにし、解雇撤回を勝ちとるために闘います。中労委の暴挙と労働委員会としての使命の放棄を絶対に許しません。国鉄1047名解雇撤回をかちとるために、労働委員会の反動化攻撃を許さない闘いへのご参加・ご協力を心から訴えます。
2020年4月17日
声明へのリンク
国鉄闘争に心を寄せる全国の皆さんに訴えます。国鉄1047名解雇撤回をめぐる闘いは、労働委員会制度の根幹を揺るがす攻撃との闘いにも進展しています。3月18日、驚くべきことに中労委は一回の調査さえ行わず、一切の連絡さえなく、突然に却下・棄却の命令を送りつけてきたのです(命令書は2月19日付)。
調査も開かず、労働者側の言い分を聞こうとさえしない――これが「労働者の救済機関」であり、「労働者の団結権擁護」を使命とする労働委員会の姿でしょうか?
労働委員会制度の根幹を否定する暴挙です。私たちは、中労委を怒りを込めて弾劾します。
中労委はなぜこんな暴挙を行ったのでしょうか?労働委員会規則には審問を開かなくても命令を出せる規定があります。しかし、それは労働者の救済を迅速に行うためです。調査も行わず、労働者の言い分を聞こうともしないことを正当化する理由にはなりません。また、命令書には「組合側の主張の趣旨が必ずしも判然としない」という表現が繰り返されています。なぜ、調査を開催して組合の主張を質すことさえしないのでしょうか? 「中労委は都合の悪いことを隠蔽しようとしている」と考えざるを得ません。
(2)命令書の許しがたい内容
動労総連合は中労委に対して、審査開始を待つように求めていました。それは、千葉県労委が審理を一切拒否して命令を強行したことをめぐり、東京高裁で争っているからです。県労委での事実調べを求めている中で、中労委での主張を始めれば、組合側の主張に矛盾が生じざるを得ないからです。また、先行して中労委での審査を進める中で、裁判で主張が認められれば、中労委での審査との整合性が問題になります。 しかし、中労委は命令書で「待つ義務はない」と一方的に書いただけで切り捨てました。さらに、県労委が裁判の係争中に命令を出したことも、現在東京高裁で争われている行政訴訟について「訴えは却下されるべき」「認められる可能性はない」とまで言い切って擁護しました。調査さえ開かず、裁判所が判断すべきことを労働委員会があらかじめ〝却下〟してまで、労働者側の意見を聞くことさえ一切拒否しているのです。
(3)中労委によるJRの不当労働行為隠し
30年を超える国鉄1047名解雇撤回の闘いは、ついに国家的不当労働行為の真実を完全に暴き出しました。JR不採用とした基準そのものが不当労働行為だったと最高裁で認めさせ、その基準の策定を斎藤英四郎JR設立委員長が指示し、設立委員会として正式に決定していたことも突き止めたのです。国鉄改革法23条5項では、「設立委員会が行った行為はJRの行為」と規定されています。
「JRに責任なし」とした最高裁判決でも、「設立委員自身が不当労働行為を行った場合は別として」とされています。これまでの最高裁判決の前提は覆り、国鉄分割・民営化による不当解雇の責任がJRにあることが誰の目にも明らかになりました。JRによる不採用は、無効です。動労総連合は、満を持して労働委員会に解雇撤回・現職復帰と団体交渉開催を求める救済申立を行ったのです。
しかし、中労委は、解雇撤回を求める申立について、「87年の解雇から30年以上たっている」というだけで門前払いにしました。しかし、30年以上解雇撤回を拒み続けたのは、JRです。団体交渉開催要求についても、「中労委は申立期間を徒過したと断定した。だから、中労委にはJRによる不当労働行為に対する救済命令を発する余地がない。そのため、JRは使用者にはならないので団交拒否には当たらない」と切り捨てたのです。
千葉県労委は、審査開始直後から公益委員が「最高裁命令に逆らう命令はかけない」と宣言し、事実上審理を一切拒否して、事実調べも行わずに結審を強行しました。中労委も同じく団結権擁護という使命をかなぐり捨てたのです。国家的不当労働行為の真実に触れた途端に解雇撤回を認めざるを得なくなるからです。中労委は事実調べ以前の調査さえ拒否してまで、真実を隠蔽しようとしています。中労委のこの反動性を厳しく弾劾します。
(4)中労委の暴挙ゆるさない闘いを
国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃でした。社会の力関係が大きく転換され、2千万人を超える膨大な非正規職労働者を生みだされる事態の出発点でした。そして現在、JRの職場ではこの国鉄分割・民営化に率先して協力した御用組合・東労組さえ解体する攻撃が激しく進行しています。労働組合の存在そのものを一掃しようとする国鉄分割・民営化を上回る攻撃です。
中労委の前代未聞の暴挙は、安倍政権の「働き方改革」攻撃と一体です。集団的労使関係を基本とし、曲がりなりにも労働者の団結権を擁護してきたあり方を、根本から解体する攻撃です。そして、「すべては個別の契約関係」「どんな不利益変更も会社の自由」として労働組合を否定し、労働者の団結権を奪おうとしています。
これに対する闘いに労働者の権利と未来がかかっています。私たちは、突き止めた真実を徹底的に社会に明らかにし、解雇撤回を勝ちとるために闘います。中労委の暴挙と労働委員会としての使命の放棄を絶対に許しません。国鉄1047名解雇撤回をかちとるために、労働委員会の反動化攻撃を許さない闘いへのご参加・ご協力を心から訴えます。
2020年4月17日
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