2・23京浜東北線脱線転覆事故
外注化が引き起こした事故
安全作業の責任をとらないJR
外注化が引き起こした事故
安全作業の責任をとらないJR
JR川崎線付近で2月23日、京浜東北線の回送電車が工事用車両と衝突する脱線・転覆事故が発生しました(写真)。
工事担当者が工事用車両を線路にのせる時間を回送列車通過前に間違えたこと、閉鎖を確認せずに線路に進入したなどが原因だと報道されています。直接には、報道のとおり「確認ミス」 かもしれません。しかし、真の原因は業務の丸投げ外注化にあります。
事故時、鉄建建設と大林組の共同企業体が川崎駅の改修工事を行っており、さらに重機安全指揮者、軌陸車の運転や見張員として、恵比寿機工などの複数の下請会社が現場にいました。
JRを含め少なくとも6~7社が関わっています。複雑多重な外注化で現場に行って初めて互いに顔を合わす状況で情報伝達に齟齬があったことは容易に想像できます。
もっとも重大な問題は、JRは、偽装請負の指摘を回避するために安全作業上の責任を一切とらないことです。JRは、作業内容が書かれた「保安打合せ票」をFAXで送信した後は、作業のすべてを下請会社に丸投げにしています。
JR自身は、工事現場での作業が何人で行われているのかも分からないのです。その結果、本来は作業を始めてはならない時間に工事用車両を線路にのせる事態が発生したのです。
鉄道は一元的に管理して初めて安全を確保で
きます。外注化で業務をバラバラにしたことで 誰も全体に責任をとれなくなったのです。
責任逃れと偽装請負隠し
1999年、山手貨物線事故で下請社員5人が列車に接触して死亡する重大な事故が発生しました。臨時列車が記載された当日のダイヤも渡っていませんでした。
事故対策としてJRが何をやったのか。保安打合せ票を改悪し、保安要員や作業の必要人数の指定、事故防止上の注意事項の記載を削除したのです。JRには下請会社への指揮命令権がないから事故になっても責任はないという態度です。そして保守部門の外注化を推進しました。
今回の事故は、JRの責任逃れと外注化の推進が引き起こしたのです。まともな責任体制や連絡体制、保安体制もない中で作業を強制しているJRにこそ責任があります。
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