韓国 現代自動車
社内下請否定の判決
1058人を直接雇用の正規職と認定
社内下請否定の判決
1058人を直接雇用の正規職と認定
ソウル地方裁判所は9月、韓国最大手の現代自動車で働く社内下請労働者1058人全員を直接雇用の正規職と認める判決を出しました。
判決文によれば、全工程において現代自動車は社内下請労働者を実質的に指揮・命令しており、すべての社内下請労働者が現代自動車と直接雇用関係にあるとの判断です。
現代自動車では、プレス・車体・塗装・艤装・エンジン・変速機・シートなどの直接生産工程だけでなく、生産管理・品質管理など間接生産工程まで含めて、あらゆる業務がバラバラに社内下請化されていました。
〈社内下請〉は韓国でよく使われる表現ですが、イメージとしては、JR東日本が100%子会社のJR千葉鉄道サービス(CTS)をつくって、清掃業務や検修・構内業務、駅業務を外注化したのと同じ手法です。社内に下請会社をつくり業務を委託する手口です。
現代自動車の社内下請け労働者の賃金は、直接雇用の労働者の半分以下で、労災が起きても泣き寝入りでした。当初、社内下請労働者は労働組合にも入れず労働組合を一から組織し、長い闘いでようやく今回の判決をかちとったのです。
社内下請けを否定した画期的な判決
今回の判決の画期性は次の点です。
これまでも同じ製造ラインで正規労働者と請負労働者が混在して働くことは偽装請負・違法派遣と認定されてきました。
しかし今回の判決は、車体・塗装・プレスの主ラインでの混在だけでなく、生産ラインに部品を運ぶ生産管理、別の空間での組立作業、完成車を船に積み込む業務など、すべての工程で 社内下請けは不法派遣だと判断したことです。
例外なしで社内下請労働者は、すべて現代自動車が指揮・命令しており直接雇用していると断定したのです。
JR東日本で例えるならば、検修構内・清掃・駅業務を行うCTSや、保線業務を行うユニオン建設の社員は、すべてJR東日本の鉄道事業に従事しており、JRの指揮命令が及んでおり、JR東日本の社員である、と認定したに等しいことです。
裁判所が、社内下請を請負ではなく違法派遣と認めた根拠は、業務の特性上、正規と非正規を区別できず現代自動車の直接指示があったことです。JR東日本とまったく同じ構図です。
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