危機に揺らぐ東労組(下)
騒動の本質は何か?
「車掌兼務問題」の本質とその顛末
騒動の本質は何か?
「車掌兼務問題」の本質とその顛末
【8238号より続く】
東労組は、スト権投票騒動の前は車掌兼務発令問題を大騒ぎしていた。たしかに、車掌の欠員を運転士で埋めるというやり方は絶対許せないことだ。だが、この問題の本質は今回のスト権投票と全く同じで、運転士が下位職充当されようとしていることへの職場の怒りとは全く別のところにあった。東労組の意図は「兼務発令」そのものを問題にしたのではなく、会社が東労組を無視して現場で事態を進めたことが問題だったのだ。実際、車掌の欠員を運転士で一時的に埋めるやり方は、東労組の承認のもとに何年も前から行なわれてきたことだ。つまり、会社が労務政策を転換し、東労組・革マルを〝用済み 〟として使い捨てようとしていることへの泣訴なのだ。もっと正確に言えば、革マル分子の自己保身のためだけの「抵抗」だったのである。
「車掌兼務問題」の本質
だから彼らは、絶対に本質的な対立になる問題には触れないという形で、「東労組を無視さえしなければ全部協力する」というメッセージを会社に送り続けた。逆に会社はその足元を見透かして東労組を揺さぶり続けたのが事の経緯であった。それは「スト権問題」や「36問題」でも全く同じであった。
実際、多くの職場で車掌の欠員不足が深刻化している。一体何が問題なのか。最大の原因は駅の外注化が激しく進められたこと、外注化と一体で駅に「5年で使い捨て」のグリーンスタッフが導入されたことにある。千葉でもJR直営駅は全体の三分の一しかなくなっている。車掌は駅から養成される。それを外注化してしまえば欠員状態が蔓延するのは当たり前のことだ。車掌の欠員状態はあと1~2年すれば運転士にも波及していく。
つまり、車掌の要員問題は外注化の矛盾の表れに他ならないのだ。それは誰にも分かることである。しかし東労組は、あれだけ大騒ぎしたにも係わらずそれには絶対に触れなかった。なぜか。「外注化推進協定」を締結し、グリーンスタッフの導入を進めた張本人だからだ。だがそれだけではない。「分社化も、転籍も全部認めるから見捨てないでくれ」というのが本音なのだ。
事はそれでは終わらない
JRは、グリーンスタッフ(GS)の採用を今年度で中止し、GSが配置されている首都圏の大規模駅まで外注化する重大な攻撃に踏み出している。それが進めば、事はそれでは終わらなくなる。駅の現実は「完全別会社化」の寸前まで来ているのだ。JESS(東日本ステーションサービス)という駅業務運営会社もできている。駅員はJRではなくJESSが採用する。そうなれば、否応なく車掌や運転業務も《分社化・転籍》以外選択肢のない状況に追い込まれていく。東武鉄道などですでに施されている方式だ。それと一体で、車掌と運転士を融合した業務運営や、ホームドア設置を理由にした車掌廃止や無人運転化など、運転保安を無視した究極の労働強化が職場にのしかかることも間違いない。
だからこそJR東日本は、東労組・革マルとの結託体制も清算しようとしているのだ。そして革マルは「全部協力するから今までの関係を壊さないでくれ」と嘆願している。これが事の本質だ。
車掌兼務問題の顛末
東労組はそれをひた隠し、一方、一定の対抗関係をつくらなければボロ雑巾のように使い捨てられてしまうという危機感にかられて乱調な対応を繰り返している。
車掌兼務問題でも、「ライフサイクルは『運輸のプロ』を育てるという確認の下にやったから良いが、今度の車掌兼務は欠員補充のためだから安全上問題がある。ライフサイクル協定違反だ」というのだ。だが、これで納得する者など誰もいない。
ライフで運転士を駅に放り出すことを進めていながら、同じ運輸区の中で車掌に運用することは安全上問題があるという主張が成り立つはずがない。「そんなに人が足りないのならライフを中止しろ」と誰もが思っている。そもそもライフサイクルが「運輸のプロをつくるため」だなどと信じている運転士は一人もいない。運転職場以外の組合員はもっとシラけた目で見ている。しかし、会社と癒着して「虎の威」をかり続けてきた東労組の革マル役員にはそれが全く見えていない。そして当然にも組織的混乱をきたし、毎号『緑の風』を全面埋め尽くすほど重大視されていた問題なのに、年末には昨日までのことがウソだったかのように突然沈黙、というのがこの問題の顛末であった。
革マル支配は終わった
東労組の革マル執行部は自らの自己保身だけを考えているが、職場では、ダイ改のたびに限界をこえたロングラン・労働強化がのしかかり、息もできないような職場支配が日々強化されている。会社は、乗客が運転士や車掌の一挙手一投足を撮影してSNSに流すことを利用して職場を支配する卑劣なやり方で、乗務停止や配転、強制出向、処分・解雇を乱発している。それは分社化・転籍に向けて職場を黙らせるための攻撃だ。こんなことをしていたら必ず第2の尼崎事故が起きる。この現実と真正面から闘わなければいけないときだ。第2の分割・民営化攻撃を粉砕しよう。東労組の支配は終わろうとしている。今こそ動労千葉に結集しともに闘おう。
日刊動労千葉 第8241号へのリンク
東労組は、スト権投票騒動の前は車掌兼務発令問題を大騒ぎしていた。たしかに、車掌の欠員を運転士で埋めるというやり方は絶対許せないことだ。だが、この問題の本質は今回のスト権投票と全く同じで、運転士が下位職充当されようとしていることへの職場の怒りとは全く別のところにあった。東労組の意図は「兼務発令」そのものを問題にしたのではなく、会社が東労組を無視して現場で事態を進めたことが問題だったのだ。実際、車掌の欠員を運転士で一時的に埋めるやり方は、東労組の承認のもとに何年も前から行なわれてきたことだ。つまり、会社が労務政策を転換し、東労組・革マルを〝用済み 〟として使い捨てようとしていることへの泣訴なのだ。もっと正確に言えば、革マル分子の自己保身のためだけの「抵抗」だったのである。
「車掌兼務問題」の本質
だから彼らは、絶対に本質的な対立になる問題には触れないという形で、「東労組を無視さえしなければ全部協力する」というメッセージを会社に送り続けた。逆に会社はその足元を見透かして東労組を揺さぶり続けたのが事の経緯であった。それは「スト権問題」や「36問題」でも全く同じであった。
実際、多くの職場で車掌の欠員不足が深刻化している。一体何が問題なのか。最大の原因は駅の外注化が激しく進められたこと、外注化と一体で駅に「5年で使い捨て」のグリーンスタッフが導入されたことにある。千葉でもJR直営駅は全体の三分の一しかなくなっている。車掌は駅から養成される。それを外注化してしまえば欠員状態が蔓延するのは当たり前のことだ。車掌の欠員状態はあと1~2年すれば運転士にも波及していく。
つまり、車掌の要員問題は外注化の矛盾の表れに他ならないのだ。それは誰にも分かることである。しかし東労組は、あれだけ大騒ぎしたにも係わらずそれには絶対に触れなかった。なぜか。「外注化推進協定」を締結し、グリーンスタッフの導入を進めた張本人だからだ。だがそれだけではない。「分社化も、転籍も全部認めるから見捨てないでくれ」というのが本音なのだ。
事はそれでは終わらない
JRは、グリーンスタッフ(GS)の採用を今年度で中止し、GSが配置されている首都圏の大規模駅まで外注化する重大な攻撃に踏み出している。それが進めば、事はそれでは終わらなくなる。駅の現実は「完全別会社化」の寸前まで来ているのだ。JESS(東日本ステーションサービス)という駅業務運営会社もできている。駅員はJRではなくJESSが採用する。そうなれば、否応なく車掌や運転業務も《分社化・転籍》以外選択肢のない状況に追い込まれていく。東武鉄道などですでに施されている方式だ。それと一体で、車掌と運転士を融合した業務運営や、ホームドア設置を理由にした車掌廃止や無人運転化など、運転保安を無視した究極の労働強化が職場にのしかかることも間違いない。
だからこそJR東日本は、東労組・革マルとの結託体制も清算しようとしているのだ。そして革マルは「全部協力するから今までの関係を壊さないでくれ」と嘆願している。これが事の本質だ。
車掌兼務問題の顛末
東労組はそれをひた隠し、一方、一定の対抗関係をつくらなければボロ雑巾のように使い捨てられてしまうという危機感にかられて乱調な対応を繰り返している。
車掌兼務問題でも、「ライフサイクルは『運輸のプロ』を育てるという確認の下にやったから良いが、今度の車掌兼務は欠員補充のためだから安全上問題がある。ライフサイクル協定違反だ」というのだ。だが、これで納得する者など誰もいない。
ライフで運転士を駅に放り出すことを進めていながら、同じ運輸区の中で車掌に運用することは安全上問題があるという主張が成り立つはずがない。「そんなに人が足りないのならライフを中止しろ」と誰もが思っている。そもそもライフサイクルが「運輸のプロをつくるため」だなどと信じている運転士は一人もいない。運転職場以外の組合員はもっとシラけた目で見ている。しかし、会社と癒着して「虎の威」をかり続けてきた東労組の革マル役員にはそれが全く見えていない。そして当然にも組織的混乱をきたし、毎号『緑の風』を全面埋め尽くすほど重大視されていた問題なのに、年末には昨日までのことがウソだったかのように突然沈黙、というのがこの問題の顛末であった。
革マル支配は終わった
東労組の革マル執行部は自らの自己保身だけを考えているが、職場では、ダイ改のたびに限界をこえたロングラン・労働強化がのしかかり、息もできないような職場支配が日々強化されている。会社は、乗客が運転士や車掌の一挙手一投足を撮影してSNSに流すことを利用して職場を支配する卑劣なやり方で、乗務停止や配転、強制出向、処分・解雇を乱発している。それは分社化・転籍に向けて職場を黙らせるための攻撃だ。こんなことをしていたら必ず第2の尼崎事故が起きる。この現実と真正面から闘わなければいけないときだ。第2の分割・民営化攻撃を粉砕しよう。東労組の支配は終わろうとしている。今こそ動労千葉に結集しともに闘おう。
日刊動労千葉 第8241号へのリンク