2023年4月5日水曜日

闘いなくして安全なし No.392


合理化と闘う労働組合が必要
ギリシャ・列車正面衝突事故
電子システム停止で20年以上手動で列車制御

 2月20日、ギリシャで旅客列車と貨物列車が正面衝突し、少なくとも57人が亡くなる大事故が発生しました。
 詳しい事故の原因は調査中です。報道では列車の遅れを取り戻すために駅長の指示によって旅客列車の進入路線が変更されたと言われています。

事故に対してストや抗議行動

 ギリシャでは数十年にわたる鉄道のずさんな管理や整備不良、老朽化といった問題が指摘されていました。当初、ギリシャ政府はこうした問題を「過去の政権の責任」と責任を逃れようとしました。事故も「人為的ミスが原因」として、駅長に全責任があるという立場でした。
 しかし、その後の労働組合のストライキをはじめとした闘いや、激しい抗議行動によって政府の責任を認めざるをえなくなっています。

民営化・コスト削減優先の結果

 鉄道の労働組合からは、「2000年以降、電子安全装置が作動しておらず、列車制御は今も手動で行われている」「人員不足も深刻」などの問題が指摘されています。
 ギリシャでも、一度は鉄道の安全システムの導入が進められました。しかし、89年の金融危機以降に滞るようになります。国営だった鉄道運行は民営化され、17年にイタリアの鉄道会社グループの「ヘレニック・トレイン」社に完全譲渡されました。合理化と利益優先の中で安全が軽視され、「信号もまともに動いていない」状況で時速200㌔もの高速で列車が運行され続けたのです。

闘いなくして安全なし

 会社は合理化を進める際、必ず「安全は守った上で」と語ります。かつて業務融合化を進めたJR西日本や北海道もそうでした。
 しかし、効率化優先による安全軽視や技術継承解体が進み、福知山線脱線事故(尼崎事故)や保線データ偽造などに行き着きました。
 鉄道の安全を守るためにも、職場に闘う労働組合が必要です。職場から統括センター・「その他時間」・業務融合化、ジョブローテーションに反対の声をあげよう。

ニュースへのリンク