笹子トンネル崩落事故
道路公団の分割・民営化前まで打音検査
外注先へのコスト削減の指示が事故原因
道路公団民営化と維持管理費の3割カットを指示したの誰か
笹子トンネル崩落事故について、2000年には打音検査が行われていたにも係わらず、05年と12年9月の点検では行われていないことが明らかになりました(12・5読売)。
道路公団の民営化(05年)に際して、高速道路の維持管理費の一律30%削減が指示されたのです。02年、東京都知事選の候補である猪瀬直樹やJR東の元社長・松田昌士(途中退任)らをメンバーに道路公団民営化委員会が設置されました。彼らこそ、民営化と高速道路の維持管理費の徹底的な削減を指示した張本人です。
この中で、天下りの温床で莫大な利益を得ているファミリー企業の癒着構造が問題となりました。自己保身のために道路公団とファミリー企業は、作業の発注先の外注会社に対して徹底的な維持管理コストの削減を指示したのです。
この結果、コスト削減が至上命題となり、高速道路のインフラの維持は顧みられなくなったのです。作業の担当者が問題点を指摘しても「費用がかかる」と上層部に握りつぶされました。作業員は多重の偽装請負構造で日雇い労働者が集められました。その多くが技術も教育も経験もゼロの作業員です。
NEXCO中日本は「笹子トンネルの場合は(足場となる)天井板から最上部まで高さ5㍍もあり、打音が困難だった」と釈明していますが、分割・民営化前までは笹子トンネルでも打音検査が行われていました。大嘘なのです。
外注会社への徹底的なコスト削減の「指示」が何をもたらすのか。JR福知山線脱線事故の裁判で井手元JR西社長は11月30日、現場カーブ半径を半減させる工事について「危険性は全く想定していなかった。安全性などは工事部門が考えることで、私は資金的負担を減らすことだけを考えていた」と正直に答えています。これがJR経営陣の認識なのです。
道路公団の民営化と維持管理コストの3割削減を主張した
猪瀬直樹とJR東の松田昌士ら