「危険性 気づく方が無理」
これが井手元社長の証言!(福知山線脱線事故裁判)
107人が死亡した尼崎・福知山線脱線事故(2005年4月25 日)で、業務上過失致死罪で強制起訴された井手正敬・元社長の裁判が11月30日から神戸地裁で始まりました。
現場カーブでの事故の危険性の認識を問われた井手元社長はなんと答えたのか。
「気づく方が無理だった」
井手元社長は「(カーブでの事故は)想定していなかった」「危険性を把握する義務はなかった」とまで語っています。「(当時の取締役会で現場の図面が示された際に)危険性に気づくべきだったと言われているが」と尋ねられると「聞く方もおかしい」。「カーブの事故例を聞いたことは」との問いには「担当者が把握すればいいことで、経営者が把握することではございません」
強制起訴された3人の元社長は「事故が起きるとはまったく想定できなかった」と一貫して無罪を主張しています。「想定外」││福島原発事故を起こした東電社長と同じ言い分です。
事故を起こしても開き直り、現場の責任に転嫁する――これがJR資本の本質なのです。
JRとNEXCOは瓜二つ
笹子トンネル崩落事故が起きたNEXCO中日本の2012年3 月期の連結売上高は約6000億円で当期利益は前年比5%増の約69億円。NEXCO中日本は、笹子トンネルの保全点検を請け負っていた「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」や、高速道路のSAで飲食店や販売を手掛ける「中日本エクシス」など子会社、関係会社を35社も持っています。
それでいて驚くのは、道路のメンテナンス費用です。昨年度の「維持修繕費」のうち「土木構造物修繕」(トンネル)はたった5億円。ナント、売上高6000億円の0・1%にも満たないのです。
NEXCOとJRがやっていることはまったく同じです。民営化・外注化・非正規雇用化・徹底した合理化、そして安全の切り捨て。膨大な独占利潤は、安全投資にはまったく向けられず、ことごとく営利事業の拡大にあてられています。NEXCOの「豪華サービスエリア施設」とJRの「駅ナカ」「駅の商業施設化」は瓜二つです。