2020年8月8日土曜日

日刊動労千葉 第8830号

すべての責任・負担を
運転士一人に押し付けるな!


なぜワンマン運転に反対するのか⑥

車内トラブル・停止位置不良・車イス対応時の問題点


 ワンマン運転のの問題は異常時だけではない。日常的に発生する乗客への対応、トラブルへの対応などでも様々な問題が発生する。

◆ 車内ブザーでの呼び出し


車内ブザーでの呼び出しがあった場合、現行であれば走行中でも車掌が対応できる。状況を確認して、緊急に連絡や対応が必要なのか、次駅に到着してから対応するのかなどの判断もできる。

会社は車内トラブルが起きた場合は、「指令の指示による」としか回答していない。だが、ワンマン運転では走行中に運転士が対応することはできない。駅間に停車してから対応するか、次駅まで走行した後に対応する以外にない。

ブザー呼び出しのたびに駅間に停車して対応するのか? 運転士への負担は非常に重くなる。何事もなく再出発する場合も、車掌の出発指示合図もなく、後方の安全確認もできない。

それとも次駅まで走行してから対応するのか? どういった内容かは、停車して乗客の話を聞くまではわからない。「車内で刃物を持って暴れている」といった緊急の場合もありうる。そういった状態を放置していいのか? その判断や責任まで運転士一人に押し付けるというのか!

◆ 停止位置不良の対応

また、会社は団交で、「停止位置不良で退行が可能な場合、運転台を交換して正規の停止目標に戻してもらう」と回答している。だが、ある程度の停止位置不良は日常茶飯事だ。そのたびに運転台を交換して退行するのか? 列車が遅れることは避けられない。

しかも、会社は内房線・外房線・鹿島線についても「利用状況等に合わせて中編成運転を実施」としている。中編成の場合、運転台交換による遅れはさらに拡大する。停止位置不良で運行に支障が出かねない。それがどれほど運転士にとってプレッシャーか、会社はわかっているのか!

◆ 無人駅での車イス利用


会社は無人駅で車イスの方が事前連絡無しで利用した場合、「社員としての対応を」と回答した。だが、運転士一人でどうしろというのか? 到底対応できるはずがない。それを「社員としての対応」などといって、すべての責任を運転士に押し付けている。こんなことが許されるはずがない!

◆ 運転士への負担増  加は安全破壊だ!

ワンマン運転は、日常から運転士一人に負担と責任を押し付けるものだ。運転士への負担の増加は、鉄道の安全破壊に直結する問題だ。絶対に認めるわけにはいかない。

職場から断固としてワンマン運転拡大反対の声を上げよう。




車内ブザーの呼び出し対応

○現行であれば、基本は車掌が対応することになっている。トラブル発生の場合は、状況を確認して指令に連絡する。
○傷害事件等であれば、自身の安全確保を優先した上で、警察や救急車の手配、車内放送等を行う。病気やケガの場合、次駅に救急車を要請する。
○車掌がいれば走行中に対応できるが、ワンマンでは停車中にしか対応はできない。
○駅間の場合、停車して対応するのか? 運転士の負担は大きい。再出発時は車掌からの出発指示合図はなく、後方の安全確認もできない。
○緊急の場合もありうる。呼び出し内容は聞くまではわからない。次駅まで行ってからブザー対応でいいのか?



停止位置不良の場合

○現行であれば、車掌の誘導で退行することができる。
○ワンマン運転の場合、退行するには運転台を交換する必要がある。
○車掌がいなければ、運転士が停止位置の手前で止めた場合、ホームにかかっていない車両のドアを開けてしまう危険性がある。



無人駅での車イス対応

○会社の方針では、車イス利用の方は事前に駅に連絡してもらった上で、駅員が対応することが基本。
○駅員のいない駅で事前連絡なく車イス対応が必要になる場合はどうするのか? 乗降用の板も必要になる。
○階段がある場合、最低でも2人、電動の場合は4人は必要。運転士1人では到底対応できない。

ニュースへのリンク