JR四国
技術継承の危機に直面し、
保線作業を自社直轄に戻す
JR四国は、北海道以上に合理化を推進し、保線や車両検査だけでなく、3日ごとに目視で行う車両の点検や3カ月ごとの綿密な検査なども子会社に外注化してきました。
しかし、JR四国の社員の社員の年齢構成は40代の7・2%に対して、50 代が53・6%。このままでは旧国鉄時代を知るベテランが大量に職場を去り、技術継承が寸断される危機的状況の中で昨年、いったん外注化した保線作業を部分的に自社直轄に戻したのです。(11月11 日付北海道新聞) JR四国は「計画から施行、確認までを一体的に行う方が良いと判断した」と取材に回答しています。まったくそのとおりです。鉄道業務をバラバラに分解して複数の会社に外注化することがいかに安全崩壊をもたらすことは素人でもわかることです。しかし、それを全力で進めてきたのがJR各社なのです。
労働者の権利を破壊
外注化は労働者の賃金を破壊し、雇用も権利も破壊します。外注先では当然にも徹底したコストカットが行われ、低賃金と非正規雇用が蔓延します。外注先の賃金は発注元の半分や三分の一以下というケースもあります。
福島第一原発で事故収束作業を担う作業員の現実は、外注化による労働者の権利破壊の実態を鋭く浮き彫りにしています。東京電力が「一人10 万円」で委託した日当が、下請労働者の手には1万円ほどしか渡らず、危険手当も支払われていません。ピンハネです。偽装請負が横行して、「元請けに嫌われれば契約を更新できない」という中で、口答え一つ許されないような職場にされているのです。
有名ホテルや百貨店のメニュー偽装問題の大きな原因としてテナント経営や業務のアウトソーシングが指摘されています。あらゆる業種において外注化が横行し、多くの企業が業務を管理する能力を喪失し、労働者が熟練技能を持つことが困難になっています。
外注化をストップさせ、すべての業務をJRに戻すことが必要です。