2016年5月4日水曜日

闘いなくして安全なし No.072

https://drive.google.com/file/d/0B6_MNKzi3eCFOHJ2aElpaWxMUkk/view?usp=sharing


熊本大震災  九州新幹線全車両脱線
脱線防止ガードの設置計画もなし

乗客が乗っていれば大惨事

 4月14日、熊本地震で回送中の九州新幹線が脱線しました。時速約80㎞で走行中に地震が起こり、運転士が非常ブレーキをかけましたが6両全てが脱線しました。
 新幹線の脱線は4例目で、全車両が脱線したのは初めてです。幸い回送列車だったこともあり、死傷者は出ませんでした。
 しかし、乗客を乗せて高速で走っていたなら、大惨事になっていた可能性があります。

脱線・逸脱の対策 設置されず

 九州新幹線では脱線対策として、「脱線防止ガード」「逸脱防止ストッパー」「早期地震検知システム」が用いられています。
 「脱線防止ガード」は上下線計514㎞のうち設置計画があるのは55㎞、設置済みなのは48㎞だけです。今回、脱線したのも設置計画のない区間でした。
 脱線時にレールから大きく逸脱するのを防ぐために台車に設置される「逸脱防止ストッパー」もつけられていませんでした。
 JR九州は新幹線を20編成保有していますが、設置されているのは13編成だけです。
 各地の地震計で地震の初期微動を検知して非常ブレーキをかける「早期地震検知システム」は導入されています。しかし、自動停止は間に合いませんでした。「震源地が近いと効果が出ない」といわれています。

民営化・利益優先の結果


 脱線対策が十分でなかった理由として、高い費用がかかることが挙げられています。しかし、鉄道において安全は何よりも優先しなくてはならないはずです。
 JR九州は今秋に株式上場を予定しています。利益のためにコスト削減が徹底され、九州の駅は半数以上が無人にされています。
 国鉄分割・民営化以降、JR各社は徹底して利益を優先し、コスト削減を進めました。そして、鉄道の安全が犠牲にされたのです。