2022年1月5日水曜日

日刊動労千葉 第9057号

新春座談会
関道利委員長 渡辺剛史新書記長に聞く


3月ダイ改―鉄道の歴史始まって以来の大転換攻撃との闘いに全力で起ち、総力で組織拡大へ!

関委員長と渡辺新書記長が新春の決意を語り合った。インタビュアーは佐藤新副委員長

――昨年の大会で新役員体制となりましたが、振り返ってどうでしたか

渡辺 書記長に就いて3か月。初めてのことだらけですが、皆さんのご協力を得ながらやってきました。

 渡辺書記長には、私が委員長になった時に執行部に入ってもらいました。2年余りでの書記長という大役ですが、単に頑張るというだけじゃなく、全体が新書記長を盛りたて、支えて、非常に機能しています。心強く思います。

――各支部にもいい影響が波及し、執行部の団結も固まったと思います

渡辺 各支部大会では書記長という立場で挨拶させていただきました。まだまだ教えてもらう面が多々ある中ですが、例えば団体交渉で支部の方も参加してくれる中での交渉は心強いものがあります。ありがたいことです。

――11月集会についてはどうでしょうか

渡辺 書記長として初めての11月集会で司会を務めました。集会には組合員も多数の参加を得て、第一段階としてはよかったと思います。

 11月集会の総括実行委員会も行いました。「成功した」という声を聞くことができています。基調では労働組合の刷新に向けて5つのことを訴えました。①労働組合を資本と闘うための武器として位置づけなおすこと。②どんな時代に生きているのかという時代認識を明確にすること。③労働者は社会の主人公であるということを闘いの土台に置くこと。④労働者には国境はないということ。⑤反戦闘争を労働組合の本質的課題とすることです。今まで動労千葉として闘ってきた中での教訓です。一つ一つを見れば当り前のようなことですが、これを貫徹して団結形態をつくり、新自由主義を終わらせることが必要だと思います。

――国際連帯もかつてなく発展しました

 海外ゲストがコロナ禍で来れない状況ですが、9か国、15労組・団体から賛同・メッセージを寄せてもらいました。在日ビルマ市民労働組合の仲間の発言をうけ、「ミャンマー連帯決議」を採択しました。私たちの側が、連帯する世界の労組を迎え入れるだけの組織的な力量、闘いをつくることが求められています。

――国鉄1047名解雇撤回闘争も大きな前進をかちとっています

 日本において、新自由主義は国鉄分割・民営化によって本格的に始まりました。2100万人の非正規職が生み出され、格差と貧困が激しく拡大していきました。だからこそ、私達は国鉄1047名解雇撤回を貫いて闘ってきました。30年以上に及ぶ闘いの中で、国家的不当労働行為の真実を暴きました。しかし、労働委員会はJRを「当事者」としないために徹底して審理を拒否してきました。まるでJRと政府の番犬のようです。しかし、昨年は17年ぶりにJRを闘いの場に引きずり出すことができました。

渡辺 「勝利まであと一歩」ですね。

 全国の仲間とともに闘ってきたことの勝利です。その「一歩」を進むために改めて署名運動をはじめとした闘いを訴えていきたいです。

――3月ダイ改闘争は重大な決戦です

動労千葉に結集して3月ダイ改・融合化を粉砕しようと訴える関委員長

 3月ダイ改に対してはストライキで闘いにたちあがりたい。この攻撃は鉄道の歴史上、最も重大な転換をなすものです。すべての職名が廃止される。鉄道というのは、運転士は運転士、車掌は車掌、駅は駅、施設や電力や信通、そういう専門的な技術・経験があって成り立ってきたわけです。それを職名をなくして「何でもやらせる」と言ったら、これまで以上に重大な事故が起こりかねない。

さらにそれは労働者の転籍につながっていくような究極の外注化攻撃です。

動労千葉は反合理化・運転保安確立、外注化阻止を掲げて闘ってきました。3月ダイ改にはあらゆる手段で、総力を挙げた反撃をしなければいけない。組織拡大の展望もそこにあると思います。JR本体、CTS両方を貫く組織拡大を実現したい。やっぱり民営化、外注化は崩壊しているということを示したいですね。

渡辺 今回の一番の争点は融合化ですよね。鉄道の専門的な職種を「何でも屋」にしてしまう。運転士に駅や企画業務だけでなく、草刈りや品出しまでやらせる。運転士には運転士のプライドがある。そんな勤務体系では「何やっているんだろう」という思いになるんじゃないかなと。

 最近では「新しい会社をつくる」というようなキャッチフレーズまで出てくる状態です。これにどう立ち向かうかが動労千葉、労働組合にとって必要です。

「AI化だ」「自動運転だ」といって、労働者には「今日は運転、明日は駅、その次は企画」「朝は運転、昼は駅、午後は企画」なんてことをやらせようとしている。そんなことを進めたら労働者がボロボロになる。労働組合として阻止する闘いをしていかなければなりません。

――職名廃止がそもそも安全の切り捨てですね

 「その道のプロフェッショナルを育てない」という宣言です。専門に特化して安全が保たれてきた。それを「融合化」して解体すれば重大な事故が起こる。

ワンマン運転もそうです。千葉でもこの間重大な事故が相次いでいます。3月ダイ改で成田線でもワンマン拡大という許しがたい攻撃がかけられています。

渡辺 ワンマン運転はプレッシャーと責任が運転士にのしかかります。本当にそれで安全が守れるのか。大きな事故が起きれば運転士も危うい状態になるかもしれない。それでもワンマン化するという。様々な事件も起きている。なおさらワンマン絶対反対で闘わなければいけない。

 京王線などで事件が起きた直後に、山手線をはじめとした首都圏のワンマン化を宣言した。許しがたいことです。

渡辺 そういう世の中にしている政治の問題でもありますね。

 やっぱり労働組合が大事だということです。絶対反対で闘っている過半数の労働組合があれば、会社と対抗できる。だから動労千葉に集まってもらいたい。動労千葉に結集してもらって、この融合化、ダイ改提案をともに粉砕したい。

渡辺新書記長は、職場に渦巻く怒りを燃え上がらせることが必要だと語った

渡辺 闘わない限りは攻撃がエスカレートするしかない。何とか止めたいですし、止めようという気概を若い乗務員たちが持てるようにすることが動労千葉としての役割かなと思います。

怒りの火はどこかでくすぶっているんです。それを消してしまうか燃え上がらせるか、ですよね。それがダイ改でも春闘でも問われています。昨年は木更津、幕張で3名の組織拡大が実現しました。怒りや不満はいろんな現場にあると思うので、これを起爆剤にしていきたいです。

 やはり何より組織拡大が勝利の道です。「闘いなくして組織拡大なし」「すべての闘いを組織拡大の観点から」。全組合員の力を結集してここを突破したい。

――反合理化・運転保安闘争は、動労千葉の基本精神です。この間の当局のやり方は、安全に対する哲学が崩壊しているんじゃないかと感じます

 車両用信号炎管廃止や乗務員の準備時間のカットなどは机上で考えたものだと思います。現場から考えればそんな発想にはならない。例えば、会社は「携帯用信号炎管でいい」というけど、それより車両用信号炎管の方が早く防護できて意味がある。コストカットだけを狙って安全を崩壊させる許しがたい施策です。

渡辺 「防護無線が整備されたから、いつ廃止しても良かった」というが、それだけじゃないと感じます。交換には手間も人も必要になる。コロナ禍を口実にしてコスト削減するための、安全軽視の廃止だと思います。安全は永遠の課題ですし、これで「終わり」とはできません。

――反合・運転保安闘争の復権、「闘いなくして安全なし」をみんなのスローガンにすることが必要ですね。
CTSでは期末手当への怒りも爆発しています。22春闘に向けてはいかがでしょうか

 ボーナスの大幅カットは許しがたい攻撃です。それだけでなくJR東は昨年、史上初めて定昇をカットしました。現場労働者はコロナ禍で今まで以上に仕事をしてきたのに、会社はそういう仕打ちを行った。まったくもってふざけた話です。

渡辺 将来に関わる問題ですからね。2号俸カットを元に戻す闘いが必要です。

 CTSについても、プロパー社員が低賃金や将来展望のなさで20名近くが辞めています。清掃部門でも「エッセンシャルワーカー」と呼びながら徹底して低賃金が強制される現実への怒りもこれまで以上に高まっています。CTSにおける春闘も全力で闘っていきたい。

――岸田政権は大軍拡を進めています

 21年度補正予算では防衛費が大幅に増額され過去最大になり、当初予算と合わせて初めて6兆円を突破しました。岸田政権は「防衛力強化加速会議」を立ち上げ、所信表明演説で「敵基地攻撃能力」まで明言しています。また、岸田は首相就任演説で「任期中の改憲」を宣言し、自民党は「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改組しました。

渡辺 元首相の安倍が「台湾有事は日本有事」と発言したことは、一線を越えた感じがあります。

 戦争突入がますますリアリズムを持ってきています。維新や国民民主党は「憲法審議会を開催しろ」「参院選と同日に改憲国民投票を」と発言し、事実上の改憲勢力になっています。

渡辺 これまで以上の改憲運動ですね。

 改憲・戦争阻止の闘いに真剣に立ち上がることが必要です。改憲・戦争阻止!大行進運動の発展は本当に重要です。

――今年で11月集会は25周年を迎えます

 改めて新自由主義をおわらせなければならない。岸田までもが「新自由主義からの脱却」「新しい資本主義」と言い出す状況です。その中で、やっぱり労働組合で闘おうということを訴えたい。

渡辺 コロナ禍はいろんな社会の不条理を明るみに出しました。鉄道に限らず医療、福祉、教育だとか、あらゆるところで現実があらわになった。その中で各地でストライキが起こったり、世界ではいろんな大規模なストが計画され、闘われています。「闘えば道は開ける」ということは、全世界の闘いが示してくれていると思います。

 アメリカでは労働運動が非常に盛り上がり、ストライキが全米で行われています。民主労総は昨年26万人のゼネストに突入し、ミャンマーでは命を懸けたが闘いが継続されています。世界は非常に動いている。同じ時代に私たちも生きています。日本でも必ず労働者の心は動く。

渡辺 日本も鉄道で私たちが闘う。JRでも労働条件改善を実現していきたいです。

 今までもJRが国家施策の先頭になって労働者を突き落としてきた。「労組なき社会」化攻撃もそうです。関生弾圧と軌を一にして、労働組合の存在を許さないという攻撃がかけられています。新自由主義を終わらせるカギを労働組合が握っているからです。労働者の団結した力で新自由主義を終わらせる、そういう闘いをしたい。

渡辺 今年はさらにいろんなことが明るみになる1年になろうと思います。その中で25周年の11月集会に力を結集させていきたい。今から呼びかけていくことだと思います。JRの中にも怒りは渦巻いているし、日本中どこでも同じだと思います。今までにない11月労働者集会にしたいですね。

 「今年の11月集会は今から始まっている」と強調して訴えたい。2月、7月の国鉄集会から11月集会へと闘っていきたい。

――委員長と書記長の熱い決意が伝わってきました。ありがとうございました。