2014年4月2日水曜日

動労水戸 事故の原因は外注化にある

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京浜東北線・川崎駅脱線転覆事故
事故の原因は外注化にある


鉄道の安全は一元管理によってのみ守られる

 2月23日(日)午前1時11分頃、京浜東北線・川崎駅構内で回送列車と工事用軌陸車が衝突し、10両編成電車が脱線・転覆、運転士・車掌がケガをするという大事故が起きた。
 事故が起きた川崎駅構内は、東海道線、京浜東北線、南武線が走るという過密地帯である。このような場所で、JR東日本は工事を下請けに丸投げし、異なる5つの会社が現場作業する中で起きた事故だ。
 当日は、川崎駅改良工事の4日目の作業が行われようとしていた。安全を守る要である線路閉鎖は当然JRが責任を持ってやるべきだ。しかし現実は、線路閉鎖責任者はテッケン興産という会社だった。しかも工事には全く違う会社が5社も入っているのだ。起きるべくして起きた事故だったということだ。
 JRは事故原因について「原因は線路閉鎖着手前に、工事用軌陸車を載線しようとしたため」としているが、事故の真の原因を ごまかしている。鉄道は「一元管理」しなければ必ず事故が起きる。列車の運行を管理しているのはJR本体であるにもかかわらず、現場にはJRの責任者は一人もいなかった。むしろJRは「特定元方事業者と見なされるおそれがあるから、施行管理はしてはならない」と指導しているのである。事故の原因が「外注化」であることは、誰の目にも明らかだ。
 冨田哲郎・JR東日本社長は事故の後、社員に対して「『確認会話』や『指差喚呼』等の基本動作を丁寧かつ誠実に実施することが、『お客様の命を守る』『私たちの命を守る』ことにつながります」と言っている。しかし、本当に事故を防止するために会社がやるべきことは、外注化をやめることだ。いくら労働者が「指差喚呼」しても、JRの一元管理を復活させなければ事故は起きるのだ。

事故のもう一つの原因はJR東労組にある

 JR東労組は事故直後に以下の声明を出した。
「現在、事故原因は明らかになっていませんが、今後、私たちは現場の状況から、徹底した原因究明をおこなわなければなりません。その上で、ハード・ソフト両から再発防止対策を打ち出すこととします。
【全組合員の皆さん!】
今こそ、本来業務に集中し、職場から安全風土再確立に向け、たたかい抜こうではありませんか!」

 事故の原因である「外注化」には一言も触れず、本来業務に集中しろと説教しているのだ。
 2000年頃から本格的に開始された保線業務をはじめとしたメンテナンス部門外注化は、東労組の全面協力をもって実現した。現場労働をバラバラにし、外注会社の連絡体制もなく、防護無線も発報できず、JRも管理しない中で今回の事故は起きた。自分の組合員を死の危険にさらし、会社と共に外注化を推進してきた東労組こそ事故を引き起した一方の加害者だ。

果たしてこれでいいのかMTSプロパー教育・養成


 MTSは、昨年10月からプロパーに限定免許を取得させ、3月から構内運転士としての業務を開始させている。また、それとは別にJRに出向させ6ヶ月間交検(交番検査)の見習をさせて検修業務の訓練してきたプロパーを、4月からMTSに戻し仕業検査業務などに就けようとしている。
 こんな教育・養成の仕方で、JRとMTSの言う「技術の継承」ができるのか。交検はパートだけでも7つ以上もある。たった6ヵ月ですべてのパートを覚えた者はこれまでいない。しかも仕業検査は、交検のように決められた通りにやる仕事ではなく応用編だ。車両故障のすべてに対応しなければならず、ベテランが担う仕事だ。とうてい6ヶ月交検の見習をやったくらいでできる仕事ではないことは検修職場の常識だ。さらに、4月以降MTSでどんな訓練をやるというのか、MTSにはこうした人材を育てた経験も蓄積もない。それなのにそのプロパーを勝田ばかりでなく水戸や土浦にも配置し、仕業検査ばかりか誘導や信号業務までさせようとしているという。もはやメチャクチャとしか言いようがない。
 MTSではすでに事故が多発している。昨年12月17日には、移動禁止合図旗をつけなかったために車両が移動し給水・汚物抜きホースを切断する事故が起きた。さらに、この事故の直後にも移動禁をつけないで作業するという重大な事故が起きている。MTSはまともな安全教育も行えないことは明らかだ。
 われわれは、労働者・利用者の命と安全を守り抜くために重大な危機感を持って闘い抜く。外注化に対し絶対反対を貫き、共に闘おう!




業務は5社に丸投げ

工事管理者:鉄建建設
工事管理者(保安担当):大林組
線路閉鎖責任者:テッケン興産
工事車両運転手:恵比寿機工
重機安全指揮者:シンテイ警備
列車見張員:シンテイ警備

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