2020年6月11日木曜日

日刊動労千葉 第8801号

感染対策をCTSに丸投げするな!

JRは要員確保と労働条件の抜本的改善に責任をもて!

われわれはコロナ感染症対策について、3ヶ月にわたって声をあげ続けてきた。遅きに失したとはいえ、事態は少しづつ動きだした。つり革など車内の消毒について、ようやくJRはCTS(千葉鉄道サービス)等、車両清掃を担う下請会社に発注を行ったのだ。

問題山積の感染症対策

しかし、問題が何ひとつ解決したわけではない。逆にもっと深刻な問題を生み出している。

清掃業務を担っているのは、ほとんど法定最低賃金スレスレの酷い労働条件で働く仲間たちだ。実際、法定最低賃金が改訂されるたびに、それを下回ってしまうため、毎年10円、20円と時給を改訂し、違法にならないギリギリの線に合わせているのが現実だ。5年間継続雇用されて期限の無い雇用契約になっても時給制は変わらず、住宅手当も扶養手当も何もない。「同一労働同一賃金」が聞いてあきれる。

こんな条件で充分な要員が集まるはずもない。だから、車両や駅の清掃部門は万年欠員状態かギリギリの要員体制でやっているのが現実だ。その職場の現実の中で「つり革の消毒をしろ」「不特定多数が触れるところは消毒しろ」「トイレを消毒しろ」と言うのだ。そんな要員はどこをどう探してもひねり出せるはずもない。

JRは現場を直視しろ!

それでなくてもコロナ以降、現場には大変な負担が強いられている。

例えばCTS津田沼事業所では、夜入区してくる30本近い列車の通常の清掃業務をしながら、2班で7百数十枚ずつの窓閉めを行わなければならなくなった。悲鳴があがって、現場の努力で窓閉め要員を生み出した。しかし、毎日夜中の2時まで1千5百枚もの窓閉めを1人でやるのが、どれほど大変の仕事か分かっているのか。現状では何万本ものつり皮を消毒することなど絶対不可能だ。

デスクで仕事をしている人たちは業務を発注すればそれで終わりかもしれない。やっているのは現場の実態など何も知らない人たちだ。

だが、仕事をするのは現場だ。感染症対策の責任を放棄し、下請け会社に丸投げすることは許されない。

私たちは要求する!

(1)とくに、要員確保についてはJR本体が責任をもつこと。そうしなければ、駅や車両の消毒、感染症対策は絶対に不可能だ。人を集めるためには、現在のあまりに酷い賃金・労働条件を改善することが最低必要だ。

(2) しかも、感染症対策の専門家が指摘するように今の事態は一過性のものではない。長期に続くことを覚悟しなければならない。そのためには少なくとも、全員平等に正社員になることができる勤務制度、つまり最低でも生活の見通しが立つような労働条件や制度が確立される必要がある。

(3)さらに、新型コロナウイルスは便に大量に含まれ、トイレでの感染リスクが高いと言われている。また、ゴミ収集の労働者の感染リスクにも社会的な注目が集まっている。車両や駅の清掃をする仲間たちはその危険と隣り合わせで働いている。一日中ゴミを収集し、トイレを清掃し、嘔吐物などを処理する。危険手当等の労働条件整備も絶対必要かつ緊急の課題だ。

(4)そして何よりもこうしたことに必要なのは、清掃・消毒業務等の下請け会社への委託費を抜本的に引き上げることだ。

共に闘おう!


下請け会社はJRの退職幹部がいい思いをし続けるための天下り先ではない。雑巾一つ絞ったこともない者が年収1千万円もとって天下り、現場は時給900円で真っ黒になって働いている現実はあまりにも異常だ。

JRは感染症対策を下請け会社の現場で働く仲間たちに丸投げするな! 社会は私たちが動かしている。今こそ労働条件の抜本的改善をかちとろう。

ニュースへのリンク