2020年1月9日木曜日

日刊動労千葉 第8730号

新春インタビュー(下)関道利新委員長に聞く
 全組合員の力でJR―グループ会社を貫く
本格的な組織拡大をかちとろう!

https://doro-chiba.org/nikkan/%e6%96%b0%e6%98%a5%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%ef%bc%88%e4%b8%8b%ef%bc%89%e9%96%a2%e9%81%93%e5%88%a9%e6%96%b0%e5%a7%94%e5%93%a1%e9%95%b7%e3%81%ab%e8%81%9e%e3%81%8f/

――闘いの課題についてお願いします。

「新たなジョブローテーション」では、「同じ職種、同じ職場は最大10年」という攻撃がかけられています。しかも、4月には運転士・車掌の職名をなくすとしている。

「ミライの車両サービス&エンジニアリング構創」は〝検修業務はこれからAI、ロボットがやる〟〝JR本体に鉄道業務は一切残さず、すべて子会社に外注化する〟という内容です。

その狙いはショック・ドクトリンのようなやり方でJRの労働者から誇りを奪い、団結を破壊することです。

運転士・車掌は鉄道業務の中で最も中心に位置する職種です。労働条件についても、全JR労働者の労働条件を規定するような象徴的な職種です。それを職名まで廃止し「乗務係」にしてしまう。「特別な職種ではないんだ」「特別な手当ても必要ない」と乗務手当の廃止を狙っている。それによって、全体の労働条件を引き下げる狙いです。

何より運転士・車掌の職名が廃止されるなど鉄道の歴史上ないことです。職名廃止は、運転士・車掌のみならず、全JR労働者に「鉄道会社としてのこれまでの常識は通用しない」と突きつける重大な攻撃です。

ジョブローテーションに関しては、直接の配転との対決もありますが、職名廃止に対して決して諦めず、絶対に許さずに闘っていくことが重要です。そのために昨年、動労千葉、動労水戸で乗務員勤務制度改悪阻止闘争本部をたちあげました。

外注化は01年段階で「7~8年で最終段階」とされていました。それを押し留めてきたのは間違いなく動労千葉の闘いです。「ミライ構創」も私たちの外注化裁判の判決を待って出されました。徹底抗戦を貫いて闘う中でこそ、新たな展望を掴むことができます。決して諦めず、外注化を撤回させ、仕事ごと出向者とCTSプロパー社員をJR本体に戻そうと訴えていきたい。

外注化強行から7年数ヶ月が経ちますが、動労千葉はこの攻撃と現場から徹底して対決し、団結を守って闘い続けています。その上に立って、「運転士・車掌廃止」、検修職場の全面外注化攻撃に対して断固とした闘いにたちあがっていきたい。

――3月ダイ改について伺います。

千葉でいえば、習志野運輸区で総武緩行線の朝・夜の御茶ノ水折返しがなくなり、全日スルー運転になります。これまで津田沼ー中野が行路の基本でしたが、津田沼―三鷹が基本にされようとしている。今まで以上の大型行路化が狙われているのです。

行路に大きな変化のない運輸区でも、改悪乗務員勤務制度の本格的運用が進められていきます。会社は時短行路を作成した時、行路数を変えないとしている。そのせいで一般行路の拘束時間延長、乗務時間延長がのしかかる。すでに乗務員に対する労働強化は限界を超えています。絶対的な乗務行路の緩和が必要です。その中で、ダイ改合理化・労働強化を認めることはできません。今ダイ改における闘いは重要です。

また、この間ライフサイクルから帰ってきて数年で配転されるということが行われています。北嶋副委員長も該当します。北嶋副委員長への不当配転を絶対に許さない闘いを展開していきたい。それは、ジョブローテーションを前に不安を抱える青年たちに応える闘いでもあります。

そうして1年間の闘いの体制を作り、組織拡大を実現していく。そのためにもダイ改過程の闘いは重要になります。

――東北本線には5両ワンマン導入が発表されました。

運転保安の観点からも、地域切り捨ての観点からも、絶対に許すことはできません。

千葉のダイ改は他支社での攻撃に比べると押し止められています。それはこの間の闘いの力によるものです。一方、ワンマン運転拡大が準備されていることも間違いありません。鹿島線へのスイカ導入はワンマン運転拡大の前提を作るためのものです。

この間、内房線と地域を守る会、外房線と地域を守る会とともに国交省や千葉支社への申し入れなど行動を積み重ねてきました。組合員からも、「ワンマンでは運転できない」と声が上がっています。運転保安の問題を徹底して追及し、地域と連携してワンマン運転拡大を阻止するために全力で闘っていきたいと思います。

――貨物では改悪人事賃金制度が導入されました。

貨物ではシニアになっても乗務を続けざるを得ない非常に過酷な状況です。また改悪人事賃金制度で全面的な評価制度が導入され、会社に評価されなければ賃金は頭打ちです。「55歳以降の賃金改善」を謳っていましたが、国鉄採は71%に引き下げられたまま置き去りです。

東日本でも全面的な評価制度導入が狙われていることは間違いありません。東労組情勢を見ても、恐るべき攻撃が準備されていると見なければならない。この攻撃を容認することは絶対にできません。また、貨物でも「東労組解体」のような労組解体攻撃が起こる。その情勢を踏まえて職場で闘い、新採配置・行路緩和をかちとるために闘っていきたいと思います。

――20春闘についてはいかがでしょうか。

春闘ではCTSでの大幅賃上げ獲得、超低賃金打破が重要な課題です。「生活できるだけの賃金をよこせ」「希望者全員を正規で雇え」という闘いに全力を尽くしていきたい。

CTSは1月から時給30円分の賃上げを発表しました。「労働組合に言われたからではなく、会社の判断で上げたんだ」という形で労働組合を無視していこうという狙いです。

しかし、動労千葉は常に賃上げ・正規職化を訴えてきました。その闘いに対してCTSも対抗してきている。これと対決し大幅賃上げを獲得する闘いを組織する。それは職場代表選での組織化にも繋がります。そういった闘いが組織できれば労働条件も改善できる。そういう取り組みを職場の中でやっていくことが大切です。

職場では今回の賃上げも「動労千葉がやってくれてるから上がった」という声もあります。動労千葉が訴えて闘ってきたことが賃金アップに繋がっている。現場労働者はそれを見てくれています。動労千葉は常に大幅賃上げと正社員化を訴えて闘っていきます。

――今年の情勢について伺いたいと思います。

日本政府は、年金で株を何兆円という規模で注ぎ込んで株価を維持しています。しかし、こんなことがいつまでも続くはずがない。2018年10~12月期の運用実績は14兆8039億円の赤字です。オリンピックで19~20年はバブルと言われていますが、それが終わったらどうなるのか。必ず破綻が待っていることは誰もが知っています。そのとき、安倍政権は政治的な支配の危機に陥る。

世界を見れば、米中間の対立が際限なく激化し、世界を揺るがしています。米・イランをめぐる状況は完全に戦争状態です。北朝鮮は1月1日に金正恩が「世界は新たな戦略兵器を目撃する」とまで言ったことを明らかにしています。日韓、日中間の対立も激化しており、戦争情勢が切迫しています。

その中で、日本政府が独自に生き残る道として改憲・戦争があります。国内的にも、「年金2千万円」問題、萩生田文科相の「身の丈」「端境期」発言、「桜を見る会」問題などでそのおぞましい姿が暴露され、危機にひんしています。

安倍は1月1日に2020年の年頭所感を発表し、あくまで改憲を進めると公言しました。危機ゆえに安倍政権は破綻的でも改憲へと突き進もうとしています。破綻するということは、すべてを開き直って最後は戦争に行き着くということです。

そういうときだからこそ、動労千葉労働運動がどう立ち向かうのかが問われています。世界の労働者は続々と闘いに立ち上がっています。韓国・民主労総や香港の目覚ましい闘い。フランスでは黄色いベスト運動が1年を超えて続き、年金改悪への大規模なストが年を超えて闘われています。この中で、日本の労働者が闘いに立ち上がれば情勢は大きく動き始める。日本における労働運動の復権をかちとることの意義は非常に大きくなっています。

――この間は改憲阻止大行進運動の闘いも進められてきました。

動労千葉の呼びかけで始まった大行進運動は、広島や神奈川における運動に代表されるように、全国の仲間が闘いに立ってくれています。

千葉でも、オスプレイ反対集会に目に見える形で登場することができました。地域の闘いとしては、内房線・外房線と地域を守る会や平和教育弾圧に対する闘いも進んでいます。そういう一つひとつの繋がりを大事にして、改憲阻止闘争の先頭に立っていきたいと思います。

三里塚反対同盟との労農連帯は動労千葉の原点をなす闘いです。反対同盟は第3滑走路建設、空港機能強化など軍事空港化に向けた攻撃が進む中、市東さんの農地死守の闘いを貫いています。三里塚53年、動労千葉40年。車の両輪としてこれからもともに闘っていきます。

――すべてが決戦に入っていますね。

この1、2年は本当に勝負です。40年の努力が実を結ぶチャンスが到来しています。

一方、動労千葉は組合員の半数がエルダーやシニアになる状況を迎えています。組織拡大に向けても、エルダーの協力と闘いなくして成功はありません。各支部大会でも、65歳まで闘ってもらえるよう訴えました。エルダーが職場で自分たちの問題として闘うことは大きな意味を持っています。そのために本部としてもエルダー協議会の強化、労働条件改善を全力で推し進めていきたいと思います。

今後65歳になり2回目の退職を迎える人も出てきます。この間、CTSでプロパー社員が13名も職場を去ったり運転業務をやめたりしておりプロパー社員養成は破綻しています。会社にとっても矛盾が明らかになっていく過程です。

社会全体に目を向ければ、改憲・戦争との闘いでも、社会福祉切り捨てとの闘いでも、今闘うことが重要です。団結を守って徹底して闘い抜けば何かを掴むことができる。闘えば道はひらける。動労千葉はそれを実践してきました。それは、JRのみならず、すべての労働者に言えることだと思います。

「敵は大きいが強くはない」「一人は万人のために、万人は一人のために」「一糸乱れぬ団結で闘おう」

就任あいさつでも訴えました。「新たなジョブローテーション」と「ミライ構創」で、労働者の誇りを打ち砕いて非正規に陥れようという会社の構えがはっきりしました。動労千葉は労働者の誇りにかけて断固としてこの攻撃を打ち砕く。組織拡大を実現し、動労千葉の新たな発展に踏み出す。そういう闘いを展開する1年にしていきたいと思います。

――ありがとうございました。

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