乗客が骨折しても事故防止より
「ワンマン優先」なのか!
千葉支社団交
4/8JR千葉支社団交
ワンマン運転による転倒・骨折事故について徹底追及
3月16日、外房線・太東駅で男性がワンマン列車から降車しようとしていた際にドアが閉まり、ホーム上に転倒して大腿部骨折の重症を負うという重大事故が発生した。この問題について4月8日、申第31号に基づくJR千葉支社との団体交渉を行った。
乗客が骨折する重大事故を起こしながら、あくまでワンマン運転を強行するJRを許すことはできない! ワンマン運転撤回まで断固闘おう。
3/16 太東駅での転倒・骨折事故の経過
◎事故は13時32分ころ外房線の太東駅で発生
◎列車は131系2両編成、上総一ノ宮行
▷列車は所定時刻より6分遅れて太東駅に到着。
▷停車時分を経過した後、運転士が乗降終了を確認してドアを閉めた。
▷ドアが閉まるタイミングで降車しようとした乗客の荷物にドアが引っかかり転倒した。
▷運転士がモニターを確認したところ、倒れた乗客を見つけた。再度ワンマンスイッチでドアが開けられる状態にして、救護に向かった。
▷救護中に駅員(JESS社員)が来たので、その後は駅員が対応した。
▷列車は所定時刻より9分遅れて太東駅を出発。
▷倒れた乗客は救急車で病院に運ばれた。
「運転士に責任なし」を確認
ワンマン運転が事故原因だ!
組合 会社として「事故」なのか「事象」なのか。
会社 乗客が怪我をしているので、「事故」だと考えている。重い事象だ。
組合 運転士の対応に問題ないか。
会社 まったく問題ない。モニターで乗降をしっかり確認してドアを閉めを行っている。乗客が悪いということでもない。降車する乗客が車内の人を避ける中で、ドアに着くまで時間がかかった。開けて降りようとするタイミングと、運転士がドアを閉めるタイミングがちょうど重なったということ。
組合 当該列車に対策要員は乗っていたのか。
会社 当日は乗っていなかった。
組合 ダイ改以降、ワンマン運転に慣れていない人がいるから、適度な期間で案内を含めて対策要員を乗せると言っていた。
会社 全列車には乗っていない。
組合 事故時に乗車する人はいたか。
会社 そのドアからはいなかった。
組合 転倒したのは2両編成のどの車両・ドアか。
会社 後方車両の一番後ろのドアだ。
組合 一番後方なら車掌がいれば通常見える場所だ。原因はどこにあると考えているのか。
会社 タイミングが重なってしまったことだ。
組合 車掌がいれば起こらなかった事故だ。会社が運転士だけに責任を負わせるワンマンを導入したことが問題だ。
会社 ワンマン導入にあたっては、必要な安全設備を備えて、乗務員の訓練・教育も行っている。ワンマン運転が原因で事故が発生したとは考えていない。
組合 1度ハンドル訓練をやって、あとはタブレットを見てくれというだけだ。みんな「ワンマンは疲れる」と言っている。現場の乗務員が「これで大丈夫」とならないなら、十分な教育訓練とは言えない。事故があってもワンマン運転をやる考えなのか。
会社 安全を確保した上で起きてしまった。運転士に責任はないが、改めて余裕を持ったドア扱いをしてほしい。
組合 運転士はホームは見えても車内は見えない。会社は定時運行しろと言うし、停車時分も決まっている。安全を確認して時間が来れば閉めなければならない。
運転士の負担だけを増やすな!
組合 いくら確認しても車内は見えない。今後もあり得る事故ではないのか。
会社 それはあり得る。
組合 われわれは危険だからワンマン運転を中止すべきだと一貫して言っている。会社側はそれでもやると強行して今回の事故になった。対応は考えているのか。
会社 閉扉時にドアのランプが点灯して音が鳴る。それに加えて、今後全駅で運転士に「ドアが閉まります」という車内放送をしてもらう。ボタンを押すと放送が流れるようになっている。乗降の多い駅で扱うという指導だったが全区所で扱いを統一する。
組合 ドアスイッチとは連動しているのか。
会社 連動していない。別に押す必要がある。
組合 毎駅ごとにやるのは、また運転士の負担になる。人は減らすが、労働者にやらせる事柄だけは増やすということか。
会社 作業がひとつ増えるのは確かだ。
組合 一つ増えて、二つ増えてといくつも増えれば、何かが抜けることが起きる。運転士も遅らせたいわけではない。だが、すでに遅れが出ている。何もなくても列車が3分、5分と遅れているのは把握しているか。
会社 それは承知している。
組合 運転士の取り扱いが増えていることと、乗降がスムーズに行かないからだ。ワンマン運転でも時分の設定は変わらない。当然遅れる。木更津~上総一ノ宮を通し運転だと、遅れを持ち越してしまう。停車時分を延ばすことも考えないのか。車掌がいたときと同じ時間でやれば大きなミスが起きかねない。
会社 停車時分を延ばしてくれという意見もある。検討材料の一つだ。
組合 圧倒的に運転士は「ワンマンになって神経は使うし嫌だ」という意見だ。今度は車内放送をかけなかったとなれば「運転士の責任だ」と言われかねなくなる。ワンマンで負担がかかっているのに、これ以上負担をかけるのか。少なくともワンマンを一度中止するか、当分の間は車掌を乗せることが必要だ。
事故の隠ぺいは絶対に許されない
組合 事故について公表していない。なぜか。
会社 プレスに関しては、社内の様々な状況を加味して行っていない。列車の遅れにそこまで影響がなかったことなど、さまざまな社内の状況から行わない判断をした。
組合 乗客が転倒して骨折している。それでも発表しないのか。乗客に知らせて注意喚起もしないのか。怪我しても関係ないというのはどうなのか。
会社 プレスは乗客への周知のためだけではない。この件についてはプレスしない。
組合 社内状況の何を加味したのか。
会社 色々なことだ。この場で言うことはない。
組合 責任の所在の問題か。事故の責任は会社にあるはずだ。
会社 そういうことではない。
組合 乗務員のミスはちょっとした些細なことでも公表する。運転士が行き過ぎたり、停目誤りでも公表する。雲泥の差だ。都合が悪いことがあるのか。
会社 そういうことではない…。
無人駅で同じ事故が起こったら?
組合 今回は委託駅とはいえ、駅員がいて対応できた。今回のようなことが無人駅で起こって、運転士が気づかずに発車してしまったら、乗客はずっと放置されることになる。夜は昼よりずっとモニターが見にくくなる。
会社 モニターの視認性はある。夜間帯もしっかり見えるという認識だ。
組合 転倒して横ばいになった状態でも見えるのか。段差がある駅もある。実際に一人で運転している運転士の意見には十分対応してもらわないといけない。
会社 本当に見ずらい駅があるなら何らかの対応は必要だ。
組合 無人駅だったら、少なくとも管理駅からの応援が来るとか、救急車で運んでもらうまで、運転士がずっといなければいけない。
会社 そうなる可能性はある。
組合 他の駅からいつでも行ける人がいるという状況にはなっていない。
会社 窓口を閉めて行くことはできる。緊急時は閉めてでも駆けつけることになっている。
組合 それでもかなり時間がかかる。出血時の応急手当などを訓練されているわけでもない。車掌がいても対処が難しいことが山ほどある。ワンマン運転を始める前から、こういうことは絶対にあるから止めるべきだと話してきた。
ただちにワンマン運転を中止しろ
組合 乗客の乗り降りも問題がある。いまだにホームでドアが開くのを待っている人がいる。ランプが付くまでの時間のズレも有る。今までなら車掌がドアを開けていた。降りるときもスムーズに降りれない人もいる。乗客にも乗務員にも負担がかかる。
会社 着後にランプがなかなか付かないことはある。高齢の乗客でドアボタンを押して開くことがわからない方もいる。支社としてもボタンがありますという声かけはしている。
組合 乗客同士のトラブルのもとだ。接続の問題も大きい。明らかに不便になっている。
会社 利便性や接続などは、来年のダイ改以降の問題だ。
組合 ワンマン化で上総一ノ宮発から数駅でも遅れている。乗客が何だこれはと思うのは当然だ。2両編成だと平日も土日もいっぱいになる。いずれ乗れないということが起きかねない。会社もそう思うから臨時列車を走らせてるんだろう。コロナ禍で混雑率が高くなるようなことをしていることも逆行している。
組合 一度起こったことは、また起きうる。無人駅、段差が大きい駅、照明が暗い駅などはいっぱいある。事故防止や乗降をスムーズにすることからも、車掌を乗せるしかない。車掌がいれば、今回の事故だって防げたかもしれない。対策も運転士に放送させるだけで事故のことも公表しない。ワンマン運転は中止して車掌を乗務させるべきだ。
会社 意見としては伺った。
組合 久留里線のワンマン化の時に問題を指摘したホームの段差は何一つ改善されていない。ミラーも雨の日は見えないと言っているが、これも変わらない。現場は事故を起こさないために神経を使っている。ただちに対応すること。
会社 ワンマン運転を中止する考えはない。
以上