前回2月27日の同日裁判以降、JR東日本・千葉支社、水戸支社、高崎支社などが強行した検修・構内業務の全面外注化は、JRが仕事の指示をすべて行なうという偽装請負そのものがそのまま放置され、職場の労働者には怒りが充満し闘いが継続しています。こんなデタラメが許されていいはずがありません。こうした中、強制出向無効確認裁判で指揮を取ってきたあの白石裁判長が更迭されたらしく、裁判の行くえに何やらきな臭いものが漂い始めてきましたし、鉄建公団訴訟控訴審では、難波裁判長の結審宣言を阻止するために、我々が全力で取組んできた10万人署名運動で1万6千筆を越える署名が集まったのです。今回の同日裁判は、新しい裁判長の下で強制出向無効確認訴訟を再スタートさせ、鉄建公団控訴審では署名を提出して、何としても難波裁判長の結審策動を阻止するためのものとして闘われました。
鉄建公団訴訟解雇撤回署名提出行動
5月8日(水)11時30分、動労千葉の田中委員長、原告の高石さん、中村さん、葉山弁護士、動労千葉を支援する会の山本事務局長ほか4名の労働者が、東京高裁民事12部を訪問し、これまでに集められた鉄建公団訴訟での解雇撤回とJRへの原職復帰の判決を求める16958筆の署名を提出し、葛西氏の証人喚問がないまま結審することがないよう強く要請しました。当初は、山本さんが「デカイ声」で申し入れ書を読み上げる予定でしたが、書記官から「勘弁してくれ。」と言われ、静かな提出となりました。
地裁前抗議集会
12時から動労千葉・動労水戸の組合員と動労千葉を支援する会の労働者が東京地裁正門前に結集し、川崎執行委員の司会で直ちに前段集会が開催されました。「業務外注化粉砕!」「強制出向を許さないぞ!」「業務と労働者をJR職場に戻せ!」「1047名解雇撤回!」「難波裁判長は結審するな!」「結審策動を許さないぞ!」「国鉄闘争に勝利するぞ!」とシュプレヒコールを挙げた後、川崎執行委員が「JR側代理人は、外注先は別会社だからJRは関係ないなどとほざいているが、こんなことは絶対に許さない。」「我々は強制出向を止めさせJR職場にもどる。」「難波裁判長は今日結審しようとしている!」「しかし事実はまだ明らかにされていない。」「葛西を証人尋問することは絶対に必要だ」と今日の2つの裁判の意義を明らかにされました。次に長田書記長は、「動労千葉は出向協定を結んでいないし、今回の出向は出向4条件をどれも満たしていない。」「全く無茶苦茶な攻撃で、違法そのものだ。」「安倍政権は解雇の自由と非正規化を進めようとしている。」「我々は裁判闘争と共に現場での闘いで外注化・非正規化攻撃と闘う。」と、動労水戸の石井委員長は「今日、短時間ではあるが意見陳述を行う。」「今、国鉄分割民営化の矛盾が露呈しており、JR貨物は10%賃下げを目論んでいる。」「『分割民営化すれば黒字になる』と宣伝されたが、今なんとか黒字なのは首都圏だけだし、事故も多発している。」「我々はこんな分割民営化を絶対に許さない。」「今回の外注化では、全ての作業をJRが指示しており、偽装請負そのものだ。」「就業規則でやれるのであれば、何故出向協定を結んだのか。今回の裁判でそこを明らかにしたい。」、とそれぞれ決意を表明されました。続いて鉄建公団訴訟・控訴審原告の中村仁さんが「今16958筆の第1次署名を提出してきた。さらに頑張って10万筆を達成し、裁判に勝利してJRに復帰する!」と決意を表明、最後に支援する会の山本さんは、署名提出の様子を報告した後、「支援する会として第2次、第3次の署名活動に全力を尽くす」「難波裁判長の結審策動を許さず、全力を挙げて2つの裁判に勝利するまで共に闘う。」、と決意が表明され、再びシュプレヒコールをたたきつけて前段の抗議集会を終了しました。
業務委託契約書を出せ!労働者の怒りが爆発!
-白石裁判長更迭?!
強制出向無効確認訴訟第2回口頭弁論
13時05分からこの裁判の第2回口頭弁論が開始され、傍聴席は動労千葉・動労水戸の組合員と支援の労働者で埋め尽くされました。最初に、交代した団藤裁判長が「裁判所の構成が変わって私がこの裁判を担当することになった。何か発言はありますか。」と言ったのに対して、まず原告側の森川弁護士が立ち、「出向を就業規定でやるのは、出向協定とその優位性を無視するものであり、法律違反だ。」「今回の出向には合理性がないし必要性もない。」「企業の側の勝手な『合理性』のみで社会的な合理性はまったくない。」と原告側の主張を簡略に説明しました。これに対して被告側代理人の冨田弁護士が「出向は就業規定に基づいて行ったものであり、この規定が無効といわれる筋合いはない。」「出向には合理性があり、労働者への不利益はない。」と平然と発言したため、原告・傍聴席さら抗議の声が挙がったのは当然です。裁判長が「傍聴席は静粛に」などと言っても止まるものではありません。裁判長の「前任者からの引継ぎでは石井さんの陳述ですね」という発言に応えて動労水戸の石井委員長が陳述に立ち、「本人の承諾のない出向に怒りをおぼえる。」「動労総連合は出向協定を結んでいない。にもかかわらず出向協定を結んだ組合と同じように扱われるのは許せない。」「出向に出された労働者には戻る職場も仕事もない。強制的な転籍だ。」「今回の出向は全く意味がない。全ての業務はJRが指示しており、完全な偽装請負だし、36協定でも組合を全く無視した。」と静かながら怒りを込めて強制出向を弾劾しました。傍聴席からの盛大な拍手を「傍聴席は静粛に」と制した後、裁判長は4月30日付けの原告側準備書面1などの原本提出を次回と決定し、「次回はどうしますか。」と質したのに対して森川弁護士が「次回は出向先の現場の実態を明らかにし、その不当性を検証したい。」と述べました。「ではそういうことで、次回は7月3日午後2時からにします。」と裁判長が閉廷しようとした直前、原告側のいがぐり頭の○○弁護士が「ちょっと待って裁判長!」と叫んで立ち上がり、「現場の実態を明らかにする上で『業務委託契約書』が是非必要です。」「被告側は出そうとしませんが、次回の裁判以前に提出するよう裁判長から指揮してください。」と訴えたのです。「如何ですか。」との裁判長の問いかけに対して被告側は「提出するかどうかはこれから帰って検討する。」「提出するとしても次回になる。」とこれまた平然と答えたのです。「どうですか?」と裁判長の問いかけに花沢弁護士は「それじゃあ遅い。契約書があるならばすぐに出せるし、出しても不都合はないじゃあないですか。」と反論。裁判長が再度被告側に質しても同じ答え。裁判長は「じゃあそういうことで、次回に。」と言って閉廷して退席したのです。これじゃあ裁判長はまるで被告側の代理人と同じじゃあないですか。とうとう原告の怒りが爆発しました。原告席から「契約書を何故出せないんだ!」「あるならすぐに出せ!」と怒りの声が被告側代理人に浴びせられ、これと呼応して弁護団・傍聴席からも怒りの声が上がり、議場は騒然となりました。被告側代理人の冨田弁護士はそれまでの平然とした顔から一転、顔面蒼白となり、書類をまとめるのももどかしく、原告側の怒りの声を背面に受けながら、慌てて会場から逃げ出したのです。
怒りが冷めやらない中、全員で地裁の控え室に移動し、川崎執行委員の司会で直ちに中間総括が行なわれました。まず弁護団から、会社側とその代理人弁護士の無茶苦茶な対応に対する怒りが表明された後、会社側の不当性、特に何故就業規則で出向させられるのか、こんなことが許されれば労働組合は無意味になる、労働組合との協約が優先されるべきだ、ということを明らかにすると共に、『業務委託契約書』を出させ、偽装請負の内容と「表向きの合理性」の意図を明らかにさせ、この裁判に勝利するまで闘うという決意が表明されました。田中委員長は「団交でも会社は『いつも通りやってください』と言うだけで『業務委託契約書』を出さない。」「全力を挙げてこれを出させる。」「日本の社会では企業が万能となっており、犠牲はすべて労働者に転嫁されるが、こんなことは絶対にゆるせない。」「この裁判に絶対に勝利するまで闘う。」と怒りもあらわに決意を表明されました。この後当該の労働者3名からの怒りと決意が表明され、怒りも新たに全員で次の裁判に向かいました。
証人申請を却下し結審を強行した難波裁判長に怒り爆発!
鉄建公団訴訟・控訴審第3回口頭弁論
14時30分からこの裁判の第3回口頭弁論が開始され、ここでも傍聴席は動労千葉・動労水戸の組合員と支援の労働者で埋め尽くされました。前の裁判の騒ぎを警戒してか、裁判所は約10名の職員を動員して議場周辺の警備と傍聴から溢れた労働者の監視にあたっていました。最初に、前回の口頭弁論の流れを引き継いで原告側弁護団から準備書面3、すなわち被告側がよりどころとする『設楽判決』への反論、の内容が説明されました。まず葉山弁護士が全体にわたって設楽判決の矛盾を指摘し、続いて大口弁護士が、名簿不記載⇒清算事業団送り⇒解雇という流れの法的連鎖を明らかにするとして、「原告が『要再就職指定職員』に指定されたのは3月24日で、まだ国鉄職員の時だった。国鉄管理局がこれを行なった。」、「清算事業団は、3年先に再就職しなければ解雇、再就職する意思がないのであれば教育の必要はない、と認識していたし、そう指導した。」「原告の労働者は再就職する意思がないので放っておけばいい、として3年後に自動的に解雇した。」「だから国鉄が解雇したことになる。」と説明、さらに藤田弁護士、浅野弁護士が更に反論の内容を説明しましたが、ここでは省略します。次に不採用基準作成に設立委員会も関与していたことを示す新たな証拠が「甲A131号証」として提出され、『要再就職指定職員』の指定との関係で「本来ならば清算事業団の理事が指定することになっていたが、国鉄が行なった。これはどうしてもおかしい。被告側の釈明を求める」という「求釈明」が原告側から行なわれました。
これに対して被告側の代理人は、「これ以上言うことはない。」「すでに被告側の主張は文書で述べているので読んで欲しいし、それ以上のことはない。」と述べ、さらに原告側からの証人申請に対しては「これまでの一審で十分事実が明らかにされているので必要ない。」と平然と言放ったのです。これに対して傍聴席からの怒りの声を浴びたのは当然です。
この被告側の陳述に対して、大口弁護士が、「葛西氏は絶対的な責任者だ。この人を呼ぶことは重要だし、この裁判で是非呼んで欲しい。」「江見判事は、『改革法23条は大誤算だった』と言っている。江見判事の意見を是非聴きたいので呼んで欲しい。」「今村氏は当時千葉鉄道管理局の総務部長をやっていて名簿不記載から要再就職指定職員の指定-清算事業団送りのプロセスに関わった人である。これまで申請してこなかったが是非呼んで欲しい。」と3名の証人喚問を強く要請しました。さらに葉山弁護士も立ち、「伊藤証人は『葛西氏の指示に従って3人で行った。』と明言している。この3人の証人を呼ぶことは事実を明らかにする上で極めて重要だ。」と追加しました。しかし、難波裁判長は、「前にも言ったが証人申請は却下する。判決で明らかにする。」と述べたものですから、傍聴席からの怒りの声の中、大口弁護士が、「それじゃあ裁判長としてあまりにも不誠実ではないか。」と抗議しました。そして場内が怒りで騒然となる中、裁判長が「むにゃむにゃ。」と小声で言って、陪席の裁判官と一緒に「あっ」と言う間に消えてしまったのです。これには被告側を除く場内全員が唖然となったのは当然です。裁判長の一番近くにいた葉山弁護士も「むにゃむにゃ。」を聞き取れず、書記官に確認したところ、「小さい声で『終結します。判決は9月25日午後2時から言い渡します。』と言った」のだそうです。怒りの刃はここでも被告側代理人に向けられ、前の裁判で怒りの声を浴びた富田弁護士は、別の出口から逃げ出しましたが、出たところの通路で、またしても労働者から怒りの声を浴びせられました。[被告側代理人も勿論ですが、いやはや全くひどい裁判長です。葛西の証言も取らずに、証拠は出尽くしているとして平気な顔で結審を言い渡したのですから。前の裁判での白石裁判長の更迭劇も含めて、資本・権力がこの裁判に恐怖し、裁判所に圧力をかけたことは明白です。こんな奴らに好き勝手なことをさせる訳にはいきません。職場・地域から闘いに立ち上がりましょう!]