JR設立委員会委員長の指示で、葛西が不当労働行為と認定された不採用基準を作成した国鉄分割・民営化の本質暴く
葉山岳夫(弁護士/呼びかけ人)
昨年の6・29判決、さらにそれ以前に4・9政治和解を徹底弾劾し、「国鉄1047名解雇撤回・原職復帰という労働運動の原則を守って闘い抜く」という一貫した闘争を動労千葉を先頭に私たちは展開してきた。
こういう中で、葛西は調べなかったけれども、伊藤嘉道の証言を引き出し、この証言の中で、具体的に1987年に改革労協から鉄道労連に移行する過程で特別決議まであげて、定員割れで全員が入ることには絶対反対だ「採用で差別しろ」とわめいて、それに葛西らが呼応して不採用基準をつくった。
いったん名簿に登載されたものを削除することの不当労働行為性について、白石裁判長自身としてはギリギリの決断として、あそこで不当労働行為を認定せざるをえなかった。
その後、野田政権から安倍政権への移行も含め、これが全面的に階級的に焦点化した。難波法廷そのものも、今までの難波の対応とは違ってきている。労働運動全体の中で国鉄闘争全国運動のもっている意味は非常に大きくなってきている。なんとしてもこの運動を圧殺しようという階級的な意思があらわれてきている。これに対して徹底的な闘争が期待されている状況だと思います。
葛西証人を調べろと言ったことについては、小田美智男さんが書いた「国鉄闘争見聞録」を証拠として提出した。その中で、従前の建前そのものが吹っ飛ぶようなことが暴露されている。
井出・国鉄総裁室長(元JR西日本社長)と葛西・職員局次長が、経団連会長でありJR設立委員会の委員長だった斎藤英四郎のところに出向いて、処分暦を繰り返すような職員が中に入られたら困るから基準をつくってくれと説得した。斎藤はこれに対して、そのことについては国鉄側で作ってくれ、葛西君つくりたまえという形で、葛西が不採用基準を作った。
つまりJRの設立委員が名簿作成にかかわり、しかも指示をして作らせている井出、葛西が突き上げて「私が作りますから」という格好で、斎藤が承知したんでしょうが、不当労働行為は設立委員会自身がやったことであり、それはストレートにJRの責任になってくる。JRがやった不当労働行為で名簿から削除されたのであれば、ストレートにJRの職員でなければいけない、という形になってきたわけです。
それを暴露された状況の中で、難波裁判長はとにかく証人調べを打ち切った。
そういう意味では、全体の今の攻撃の中で、国鉄闘争全国運動の意義は非常に大きくなってきている。9月25日の判決を前に、署名も1万7千名近く集まったことは大変な意義があるわけで、この運動にさらに集中する必要がある。