2015年7月10日金曜日

全国運動速報 第42号

http://www.doro-chiba.org/z-undou/pdf/sokuhou42.pdf


連合の分裂・再編狙う安倍政権
連合事務局長にUAゼンセン逢見、
首相公邸で安倍と極秘会談

7・15国会闘争へ(15時~17時、衆院第二議員会館前)

 安保法案をめぐる攻防が緊迫しています。安倍は「戦争をする国」をつくるために労働運動を解体し、産業報国会化しようとしています。
 それを最もよく表すのが櫻井よしこが昨年11月3日付産経新聞に寄稿した「民間労組、官公労と決別を」と題する文章です。

■連合支配の危機

 櫻井は「日本が大きな曲がり角に立ついま、労働組合はどのような考えに立脚すべきか」と問い、「企業とともに働き、国益を忘れてはならない」と謳うUAゼンセンのようになるべきと言っています。
 前身のゼンセン同盟は06年第5回大会で「他国またはテロによって国家の主権が侵され、国民を守れない事態にならないように国家権力は国家の安全保障体制を保持する義務があることも憲法に明記せよ」「現行憲法の改正を是とする方向を支持する」と見解を発表しています。
 櫻井はこれを「立派な内容」と持ち上げ、「改憲支持を明確にしたゼンセン同盟はいまUAゼンセンとなり、(連合内)最大勢力である」と強調しています。
 しかし、「だが連合自体は憲法論議は継続するが改正は時期尚早という立場で、UAゼンセンの主張は置き去りにされたまま」「民間労組の主張が通らないのは原発問題も同様」とし、民間労組は「何のために運動…」と現状を嘆いています。
 櫻井は「連合内の民間労組組合員は540万、自治労や日教組などの官公労は120万、9対2で民間労組が圧倒するにもかかわらず、連合は基本的に官公労に引っ張られている」「地方各地で反基地、憲法改正反対運動が展開され、地元の自治労や日教組が前面に立って旗を振る」「憲法改正を高らかに支持したUAゼンセンの理念は、連合、その地方組織、彼らが事実上の主軸となっている多くの組織で全否定されているのだ」と労働者の闘いに打撃を受けています。
 櫻井は最後に、「UAゼンセン以下民間労組は連合から分かれ、再び健全な労組に立ち戻ることで、日本を自らが信ずる方向に変えて行くことができる。官公労と決別し、連合を分裂させよ」と訴えているのです。

■徴兵制賛成の労働組合

 櫻井は、UAゼンセンの「企業防衛、愛国主義、憲法改正、原発推進」を「労働運動の理念とせよ」と主張しています。
 UAゼンセンは資本と政府の手によって作られた労働組合です。UAゼンセンは元々は繊維関係の産業別労働組合にすぎません。それが流通・情報・化学などの労働組合を飲み込み、この数年で140万人の日本最大の労働組合に育成されました。
 組合員の半数以上が非正規労働者であり女性です。その組織化の方法は、会社とユニオンショップ協定を結んで従業員を丸ごと組合員にする方法で、非正規労働者や女性労働者の反乱を起こさせないためにつくられた労働組合なのです。
 UAゼンセンは、連合本部に対し「主権国家である以上、徴兵制をとらないということは、自ら戦わないことを表明することになり、不適当だから削除しろ」と要求しています。徴兵制を認める労働組合が育成され、それと一体で集団的自衛権や改憲が進んでいるのです。

■UAゼンセンと密談

 安倍は就任以降、連合を分裂させることに全力を挙げてきました。恒例であった連合会長との会談を拒否し、政労使会議という連合を組み敷く枠組みを作り、「官製春闘」に連合を取り込みました。今年の連合新年交歓会には連合の結成以来はじめて経団連会長や日銀総裁が参加しました。
 しかし、それはうまくいっていません。安倍は連合会長・古賀伸明を10月で退任させ、その後任に基幹労連の神津里季生(現事務局長)、事務局長にはUAゼンセン会長の逢見直人を就任させようとしています。
 この人事が連合内の役員推薦委員会で報告された6月26日の夜に、安倍は逢見と総理公邸で極秘会談しています。会談は2時間にわたって行われ、国会で審議中の安保関連法や派遣法改悪など労働法制について議論し、今後も定期的に意見交換することで一致したといいます。UAゼンセンを先兵に連合を分裂させ、改憲と徴兵制を推進する労働運動をつくり出す意図を持って会談が行われたことは明白です。
 一方、先日行われた都高教大会では、組合本部が「教え子を戦場に送るな」のスローガンを大きく後退させたと言われています。日教組でも戦争をめぐる激しい攻防が始まっています。

■全国運動の発展を

 安倍は国鉄分割・民営化で成し遂げられなかったことを「第二の分割・民営化」攻撃でやろうとしています。今こそ国鉄闘争が決定的です。
 何より、労働者の置かれた現実の深刻さ、帝国主義の危機の深さがあります。これまでは「痛みに耐えれば豊かな社会がやってくる」と幻想をあおることもできました。しかし今は新自由主義のすべてが破産したなれの果てです。この30年、一握りの資本家だけが莫大な利益をあげ、膨大な労働者が突き落とされてきました。
 アベノミクスの崩壊が始まり、安倍は、雇用・年金・社会保障・地方を破壊し、労働者が生きる基盤を破壊しながら戦争に突き進む以外にありません。「生きさせろ」の要求がますます安倍と非和解的激突となり、その中から労働運動が力を取り戻す条件が生まれています。
 国鉄分割・民営化に30年にわたって絶対反対で闘ってきた意味は本当に大きい。国鉄闘争は連合が産業報国会として完成することを阻んできました。
 安倍や葛西、櫻井が真に恐怖しているのは新たな国鉄闘争の発展のもとに労働者の怒りが結集し始めていることです。
 最高裁反動判決をうち破り、国鉄闘争全国運動の本格的発展を勝ち取ることがますます決定的です。

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