2021年10月1日金曜日

日刊動労千葉 第9009号

コロナ便乗の業務融合、
分社化・転籍・グループ会社再編
ゆるすな!


攻撃は破綻している!断固闘いにたちあがろう!

2021/8/23 日経新聞


〝コロナ奇貨にタブーなき改革〟

8月23日付の日経新聞で、「鉄道 コロナで土俵際改革」と題する編集委員署名の記事が報道されている。

「JR東日本は日本ワーストの赤字会社になった」

「限界企業とされるJR北海道は、会社の中身を子細に見ると『これがはたして持続可能な事業体か』という疑問が浮上する」

「土俵際に追い込まれた鉄道会社に必要なのはタブーなき改革である」

「それを怠れば、安全の崩壊や代替手段なき廃線といったハードな道が待ち受ける。コロナ禍を奇貨として改革に踏み出すときだ」

――記事では、JRの陥っている深刻な危機が語られている。鉄道の民営化が行き着いたのは「安全崩壊と廃線というハードな道」だったということだ。そして、〝コロナを利用して合理化や廃線、運賃値上げを進めろ〟と語っている。この現実は、まさに民営化の崩壊以外のなにものでもない。

一方で同記事には、「鉄路の維持には、土木や電気、車両、運行管理など各分野のエキスパートが欠かせず、育成には一定の年月が要る。新人を採るそばから辞めていく会社は存続そのものが危うい」とも書かれている。

JR東日本の《職名全廃》《融合化》《外注化・分社化》攻撃を全否定するに等しい主張だ。しかし、すぐに“タブーなき改革を断行せよ”という。民営化と外注化による出口のない破綻が、そうした混乱を生み出している。

民営化・外注化が鉄道を破壊

そもそもJR北海道で退職が相次ぐのは、「財政破綻した夕張市より低い」という賃金水準と将来展望のなさだ。安全崩壊の理由は、利益とコスト削減を優先したことであり、技術継承が崩壊して専門的な知識や経験を持った労働者がいなくなったことだ。

実際、6月に発生した保線作業車の逸走について、JR北の島田社長は「これまでベテランの経験や勘でしのげたが社員構成が変わり、通用しない時代になった」と語っている。

これは北海道だけの問題ではない。JR東でも外注化の結果、全系統で必要な要員を確保できなくなっている。CTSでは検修・構内業務のために採用したプロパー社員の3分の1が退職し、何十日もの休日勤務なしには業務が回らない状態に陥ったのだ。

人件費削減のためだけに鉄道業務を次々に外注化し、劣悪な賃金・労働条件を労働者に強制してきたことの必然的な結果だ。民営化・外注化による「利益優先」は安全を破壊し、鉄道の存続さえ危機に追いやっている。

今こそ職場からの反撃を

JR東は、この危機をむしろ利用して、より極端な合理化を進めることで要員不足をとりつくろおうとしている。業務融合化、『みどりの窓口』7割削減や駅業務大合理化、仕業検査周期延伸、乗務員の業務の見直し、ワンマン運転―車掌廃止の急速な拡大などだ。

国交省も「人件費削減支援」と称して、無人券売機導入(駅無人化)、モニタリングシステム導入(メンテナンスのCBM化)、ワンマン運転導入等の設備投資に対し、固定資産税を減免する方針を明らかにした。これを契機に、地方路線切り捨てと人件費削減攻撃が同時に進行することは明らかだ。

だが、こんなやり方で合理化を煽れば、“鉄道崩壊”は歯止めを失って進行する。すでに職場には激しい攻撃が吹き荒れている。だが、起こっていることの本質は、民営化・外注化攻撃の全面崩壊だ。攻撃を打ち砕くチャンスが訪れているということだ。職場からの反撃こそ、その可能性を切り開く。開始された大合理化攻撃に断固反撃しよう。