外注化で生命は守れない!
東京電力が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請け会社の役員が昨年12月、厚さ数㍉の鉛のカバーで放射線の線量計を覆うよう作業員に指示していたことが明らかになりました。
法律で上限が決まっている作業員の被曝量を少なく見せかける偽装工作です。この工事に参加した12人のうち8人が違法派遣でした。
20代の作業員は「(被曝隠しを)やらなかったら仕事ができない。カネがもらえない」と当時の心境を語っています。
事故後の福島第1原発で被曝した作業員は今年5月で約2万2000人です。下請け作業員の被曝は、電力会社社員の約4倍、9割以上が社外の作業員で総被曝量では約30倍です。下請け作業員をより危険な業務に当たらせる実態があります。
原発の下請け作業員の構造的問題について「下請け任せを改善しなければ安全は守れない」と事故前から警鐘を鳴らしてきた東大の縄田和満教授は、「請負労働者には指揮命令もできず、非常時に『伝言ゲーム』をやらなければならない」「請負労働者の使用は雇用者責任の回避を目的とし、安全教育の水準を低くする」と訴えています。
線量計の偽装工作も偽装請負のなれの果てです。JRでも、保線作業の外注化によって、線路閉鎖や両側見張りなどの保線作業の基本が無視され、重大な死亡事故が頻発しています。外注化は現場労働者や利用者の安全や生命を破壊するのです。