2022年4月9日土曜日

日刊動労千葉 第9100号

背後で進む民営化の破たん

職名廃止・業務融合・組織再編・
「会社発足以来、最大の変革」…
背後で進む民営化の破たん

JR東日本は3月ダイ改で職名廃止・業務融合を強行した。鉄道の安全を守る各系統の専門的な技術・経験を持った労働者の育成を「今後は行わない」という宣言だ。ジョブローテーションによる強制配転も相次いでいる。さらに「発足以来、最大の変革」と打ち出す首都圏本部設置などの組織再編を行おうとしている。

会社は、これまでと次元の違う攻撃を次々とかけてきている。だが、その背景で進んでいるのは民営化体制の全面的な破たん・崩壊だ。

まともな耐震工事も行われていない

3月16日の地震で東北新幹線は脱線し約1千ヶ所で損傷が見つかった。今も一部で運行が停止され、通常運行の再開時期は未定だ。

95年の阪神淡路大震災で山陽新幹線の高架橋が倒壊したことを受けて、JR東は高架橋の耐震化は完了させたはずだった。だが、今回は耐震化した部分でも損傷が見つかっている。電柱の耐震化は約2万本のうちわずか1割程しか完成していない上、耐震化した電柱も損傷している。

すでに東日本大震災からも10年以上が経っている。大規模な駅の再開発には莫大な金を投じておきながら、最も優先すべき安全対策は投げ捨てられていた。民営化体制下で利益を優先し続けた結果、まともな耐震工事さえ行われなくなっていたということだ。

また、脱線復旧というごく基本的な作業になぜ2週間もの時間がかかったのか。単に「安全のために余裕を持って行った」というレベルではない。ジャッキアップするには、特に車両全体を見て指示する人間の技術力が必要だ。徹底した外注化と合理化の中で、そういった技術力を持つ現場労働者の育成ができなくなっているのだ。

民営化がもたらした〝鉄道崩壊〟

JR北海道では早期退職者が10年連続で増加している。20年度の183人に続き21年度は198人が早期退職し、そのうち約9割が30代以下だ。新規採用者数の8割にのぼる若手が退職するという、会社の存続そのものが成り立たなくなる事態に陥っている。

また、20年度はJR旅客6社の総営業距離のうち57%の平均乗客数がバス転換の目安を下回ったと報じられている。JR各社がコロナ禍に乗じて激しく進める地方路線の廃線、バス転換、列車削減に対し、知事会もが危機感を持って路線維持を訴えざるをえない状況だ。

人材の歯止めなき大量流出、技術継承の崩壊、廃線化の加速… 民営化とその後の外注化がもたらしたのは「鉄道崩壊」そのものだ。

今こそ職場に闘う労働組合を

JR東日本は「すべての現業職の職名を廃止する」「乗務員と駅を融合させる」「車両センターはすべて首都圏本部・東北本部所属」といった極端な合理化攻撃に走っている。それは、この民営化と外注化の破たん・崩壊を塗り隠すためだ。

だが、鉄道の安全を守っているのは現場だ。それを「何でも屋になれ」と扱うなど断じて許すことはできない。こんな机上で考えた攻撃を推し進めれば、さらに鉄道崩壊を促進するしかない。

この攻撃と対決する力は、職場からの団結した闘いと、闘う労働組合を取り戻すことだ。労働者の団結した力は決して小さくない。「団結さえ崩さなければ展望がは必ず生まれる」。職場からの闘いで職名廃止・融合化・組織再編、分社化・転籍、グループ会社再編攻撃を打ち破ろう。すべての仲間は動労千葉に結集しよう。