分割・民営化の破たん
ローカル線「大虐殺」⑥
(⑤から続く)
6月7日に出された「骨太方針」では、ウクライナ戦争も、コロナ禍も、人口減少も、潜在的成長率の低下も、すべての「難局」を「付加価値創造の源泉として成長戦略に位置づける」と言っている。「付加価値創造」の名で大軍拡・戦争を遂行し、それを生まぬ地方、人々の生活、生きる権利を切り捨てる。それが現代版国家改造攻撃だ。
民営化と戦争
1981の第二臨調設置をもって始まった新自由主義の日本への導入過程(中曽根行革/第一次民営化攻勢)では、国鉄労働運動が破壊され、総評・社会党が解散に追い込まれるという社会的力関係の転換の上に、自衛隊の海外(カンボジア)派兵が戦後初めて強行された。
新自由主義が社会を全面的に呑み込んでいく小泉構造改革の渦中(第二次民営化攻勢)では、郵政、特殊法人・認可法人、国立病院、国立大学等すさまじい民営化・非正規職化攻撃の中、周辺事態法や有事関連7法が強行されていった。
新自由主義の矛盾が全面的に噴出した安倍政権下(第三次民営化攻勢)では、労基法等戦後労働法制が次々に解体されていく中、集団的自衛権の行使がクーデター的に容認され、安全保障関連法(戦争法)が強行された。
このように、「民営化」と「戦争」=「内への階級戦争」と「外への侵略戦争」は、完全に平仄(ひょうそく)を合わせて進んだ。それがこの30年余りの現実であった。そのすべてが崩壊し、戦争が現実のものとなって世界を呑み込もうとしている情勢下で起きているのが現在の攻撃だ。
だが、既に全てが限界だ。攻撃は何の整合性も正当性もなく、すべてを破壊して社会に災厄しかもたらさないものになっている。必ず矛盾が生じ、怒りの声が生まれる。
新自由主義を終わらせなければならない。それができるのは労働者の団結した力だけだ。この間、地域と一体となって、新自由主義に立ち向かうことができる労働運動の新たな展望をつかみとることをめざして取り組んできた。その闘いが、真の意味で活きるときが来ようとしている。内房線と地域を守る会、外房線と地域を守る会と共に、闘いにたち上がろう。
6 職場に吹き荒れる嵐と廃線化攻撃
なぜこんな乱暴なことが?
職場では、現業機関の全職名廃止、融合化、標準数廃止、水平分業・分社化、グループ全体の大再編、「労組なき社会化」等、労働者の社会的地位、権利、労働条件、団結を根底から破壊する激しい攻撃が進んでいる。それは150年の鉄道の歴史を変えてしまうような大攻撃だ。
鉄道は、運転、車両、保線、電力、信号通信、建築等、無数の系統にわたる専門技術が集積して成り立っている。それなのに「専門的な職種・職名など過去の遺物だ」と言ってすべて廃止してしまう。
一体なぜ、後先も考えずにこんな乱暴なことをするのか? いったいどんな意味があるのか? 会社は俺たちをどこに連れていこうとしているのか? いつどこに配転されるのか先の見えない霧の中で働かされているようだ。
しかし見えてきたことは、不採算線区を全部廃線に追い込んでいく攻撃と、労働者に対する理不尽な攻撃、業務の全面的な外注化・分社化はひとつの攻撃だということだ。〝公共性などかなぐり捨てる〟〝利益がすべて〟〝付加価値を生まぬ労働も、労働者も必要ない〟――これが本質だったのだ。
外注化攻撃の大破たん
足元で進行しているのは、民営化ばかりでなく、20年にわたる外注化政策が大破たんしようとしている現実だ。
外注先会社では、全系統で業務維持に必要な要員を確保できなくなっている。外注先のグループ会社で働く国鉄採用者・約1万人の大量退職が重なって、すべてが崩壊しようとしている。JR全社が急速に北海道化しようとしているのだ。
それは、人件費を削減するために鉄道業務を次々に外注化し、労働者を超低賃金の檻の中に突き落としていったツケだ。このまま突き進めば技術継承、安全が破たんし、鉄道崩壊に行き着くことは間違いない。「融合化」による危機のりきり策はそれに拍車をかけるものだ。
しかもJRは「70歳雇用」が努力義務化されたにも関わらず、65歳以降の雇用を拒否している。むしろそれを逆手にとって徹底した要員削減・労働強化を進めようとしている。“近いうちに不採算線区は全部切り捨てる仕組みができるのだ”と考えているから、こんなことができるのだ。
今こそ外注化阻止闘争を再構築しなければならない。外注化・融合化反対! 反合理化・運転保安確立! 闘う労働組合を職場に甦らせよう。