2017年10月6日金曜日

実行委員会ニュース 2017年9月9日(第1号)

http://www.doro-chiba.org/pdf/0171105ji1.pdf


改憲と戦争、民営化と労働法制改悪と闘う1万人行動
実行委員会ニュース 2017年9月9日(第1号)


労働基準法解体のもう一つの改憲攻撃だ
「働き方改革一括法案」粉砕!
11・5日比谷野音へ大結集を

強引な法案提出


 「働き方改革」関連法案の概要が9月8日に公表されました。「残業代ゼロ」と「残業上限規制」の一括法案です。この法案は、政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」に基づき8法案をまとめたものです。
 「働き方改革実行計画」を一度読んで下さい。
 〈日本経済再生に向けた最大のチャレンジは働き方改革だ。働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段であり、生産性向上の成果を働く人に分配し、国の経済成長が同時に達成される。政労使が3本の矢となって一体と取り組まなければならない。一億総活躍の明るい未来を切り拓くことができれば、少子高齢化に伴う様々な課題も克服可能〉
 まるで戦時中の政府文書のようなトーンで書かれています。
 「働き方改革実現会議」は、安倍首相が議長となり、民間議員15人のうち労働代表は連合の神津会長の1人だけです。「実現会議」は、労使公の各10人で構成される労働政策審議会では何も決められない、スピード感がないなどと罵倒し、実現会議で決めたことを労政審に形だけ承認を迫るスタイルで法案を国会に提出しようとしています。
 ゼンセン逢見と首相官邸が謀議して連合を残業代ゼロ反対から容認へ転換させることに失敗し、結果的に連合が「残業代ゼロ反対」を〝堅持〟することとなり、労政審では連合選出の労働者委員が再三にわたり一本化に反対しました。しかし座長の荒木尚志(労働法学者/東京大学教授)が「法案全体としては公労使一致して妥当という意見」と無視して一本化を事務局(厚生労働省)に指示しました。
 その上で、労政審の場で反対を表明したのが、逢見と共に残業代ゼロ容認を画策した村上陽子・連合総合労働局長というのが現実です。きわめて転倒した状況なのです。

過労死も合法化

 「残業代ゼロ制度」は、対象となる労働者は、時間外・休日労働協定(36協定)の締結や、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務などの規程がすべて適用除外となるものです。まさしく労働基準法の核心部分を適用除外にするものです。
 一括法案には企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」「裁量的にPDCAを回す業務」も追加しようとしています。店頭販売などの営業を除くほとんどの営業職が裁量労働の対象に。営業職はどれだけ働いても「みなし労働時間」になるということです。
 「残業時間の罰則付き上限規制」は、繁忙期は月100時間まで、通常でも月平均80時間未満の残業は合法化されます。
 過労死の労災認定で判断ラインが80時間です。100時間まで残業が合法化されれば、企業の過労死責任はどうなるのか?
 「働き方改革」関連法案は、労働基準法を解体する、もう一つの改憲攻撃とも言える攻撃です。労政審をめぐる安倍政権の強引さと連合のペテンを、文字通り一掃する労働者の怒りが必要です。11・5労働者集会は、改憲と労働法制改悪に対する労働者の怒りの行動の日です。全国から大結集しよう。




労働基準法等の一部を改正する法律案の概要

 長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直しを行う等所要の改正を行う。

Ⅰ 長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等
(1) 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
• 月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(3年後実施)
(2) 著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
• 時間外労働に係る助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を明確にする。
(3) 一定日数の年次有給休暇の確実な取得
• 使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない)。
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進 (※労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)
• 企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組を促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。

Ⅱ 多様で柔軟な働き方の実現
(1) フレックスタイム制の見直し
• フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。
(2) 企画業務型裁量労働制の見直し
• 企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。
(3) 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
• 職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
• また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさ
せなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)

ニュースへのリンク