2017年10月7日土曜日

実行委員会ニュース 2017年9月10日(第2号)

http://doro-chiba.org/pdf/0171105ji2.pdf


改憲と戦争、民営化と労働法制改悪と闘う1万人行動
実行委員会ニュース 2017年9月10日(第2号)


戦後労働法制の全面転覆を狙う
「働き方改革」法案
雇用対策法の目的を「勤労権に基づく完全
就労の達成」から「生産性向上」に転換!



 「働き方改革」一括法案には、「働き方改革」の理念を掲げるため雇用対策法を衣替えして基本法として据える内容が含まれています。
 雇用対策法は、雇用政策の基本法であり、雇用安定法や雇用保険法、育児介護休業法や高年齢者雇用安定法などの個別法についての基本となる理念と体系を定めたものです。一言でいえば、憲法の勤労権に基づき、完全就業に向けた国の責務と事業主の努力を定めた法律です。この法律のもとにハローワークや失業給付をはじめ様々な雇用促進策が行われています。

目的に「生産性の向上」

 ところが「働き方改革実行計画」に基づいて労政審職業安定分科会(9月1日)に示された案では、雇用対策法の目的に、〈労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにする〉〈生産性の向上を図り…〉という文言が挿入されました。さらに国の講ずべき施策として〈多様な就業形態の普及〉が加えられています。
 現行の雇用対策法が、ハローワークや職業訓練などの雇用行政に関わる内容から、「多様な事情に応じた就業」「生産性の向上」を図るために法律の目的が全面的に変更されることになります。
 「雇用安定事業」と「能力開発事業」の雇用保険2事業なども、生産性の向上を図る企業に対する助成を行うものに転換されます。
 厚生労働省は、「少子高齢化が進む中で、様々な事情を抱えている方にも労働参加してもらうことと、労働生産性の向上は、働き方改革実行計画の2つの柱だ」と説明しました。
 「働き方改革実行計画」は、日本経済再生のためには、少子高齢化の中で労働力供給の制約に取り組む必要があり、女性や高齢者のように「様々な事情を抱えている方」も労働参加できるように、「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」が必要なのだと書いています。「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)の創設」や「裁量労働制の拡大」もこうした位置のもとあります。

非雇用型テレワーク

 「多様な就業形態の普及」について厚生労働省は、「働き方改革実行計画では、非雇用型テレワークにも言及がある。多様な就業形態の環境整備も重要だ」と述べています。非雇用型の働き方を念頭に法律の名称についても「雇用対策法」から「労働対策法」に変更しようとしています。雇用政策の180度の転換が企まれているのです。
 「働き方改革実行計画」には、①雇用型テレワーク、②非雇用型テレワーク、③副業・兼業の推進が盛り込まれています。
 今年3月の『週刊東洋経済』に「冠婚葬祭業に蔓延する『個人請負』の深い闇」の特集記事では、「玉姫殿」で知られる葬祭業最大手ベルコは、全従業員7128人のうち正社員は32人。残る7000人超は個人請負で労働基準法も適用されず、雇用保険もない。時間外・休日・深夜労働手当はなく有給休暇もない。最低賃金も適用されない。年金や医療保険もすべて自己負担と書いています。
 米国では、労働者1億6千万人のうち35%がフリーランスとして働き、最も多いのがインディペンデントコントラクターと呼ばれる個人請負。2020年には労働人口の約5割が個人請負との予想もあります。

国会を包囲せよ!

 「働き方改革」一括法は、「残業代ゼロ」や「時間外労働の上限規制」「同一労働同一賃金」などの個別制度を超えて、雇用対策法など基本法の目的規定にも大幅に変更を加え、これまでの労働法制の枠組みを土台から変質させることを狙っているのです。
 連合通信などの報道によれば、労政審の場で連合は残業代ゼロや個人請負の普及に反対しています。しかし、その労働側代表とは、ゼンセン逢見と共に連合を残業代ゼロ法容認に転換させようとした村上陽子・総合労働局長らなのです。
 戦後労働法制の根本的な破壊、枠組みの転覆について職場や組合で真剣に訴える必要があります。国会を十重二十重に包囲する闘いが必要です。11・5集会は、労働法制改悪と闘う総決起の場です。大結集を!




「働き方改革」一括法案

1 「時間外労働の上限規制」「高度プロフェッショナル制度の創設」「裁量労働制の拡大」を一本化した労基法改定案
2 「同一労働同一賃金」に関わるパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改定案
3 勤務間インターバル制度の努力義務化に関する労働時間等設定改善法の改定案
4 産業医による面接指導の強化などに関する労働安全衛生法の改定案
5 改革の理念を盛り込んだ基本法である雇用対策法の改定案

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