全州ストを貫徹した米教育労働者が来日し
11・4集会に参加します
82%の投票率で98%の賛成獲得
UTLAの歴史に残るスト投票
11・4集会に参加します
82%の投票率で98%の賛成獲得
UTLAの歴史に残るスト投票
地道な組織化による勝利
協約交渉を始めて17か月、ロサンゼルス統一教組(UTLA)は7月にimpasse(交渉の行き詰まり)を宣言し、8月末にストライキ投票を実施した。組合員の83%が投票するという驚異的な投票率でなんと98%が賛成票を投じた。
この輝かしい結果に、UTLA委員長アレックス・カプートーパール は「この圧倒的な数字は、私たちの職場に溢れる活力と情熱をそのまま表している」と語った。
UTLAの執行部は、ユニオンパワーが2014年の執行部選挙に向けてオルグに全力投球し、全員当選を果たした当時そのまま、800校以上ある公立学校を訪問し、組合員と向き合って会話し、リーダーとなる人材をつくり上げ、コミュニティーや保護者への働きかけやほかの労働組合とのつながりを求め、組織化のためのエスカレーティング・アクション(段階的に闘争を強化し ていく)を続けてきた。
ストライキ投票でも、「なぜストライキが必要なのか」というオルグを地道に行った。
公教育を守る闘い
UTLAが掲げてきた主な要求は、クラスの人数削減、適正賃金、保健福祉の専門家(カウンセラー・看護士・図書館司書・セラピストな ど)の常駐体制、テストを減らし教育の時間を増やす、チャータースクールの規制、しっかりとした学校内の安全サポートなどである。
69ページに及ぶ要求項目には、そのほかにも〈ロサンゼルスの生徒たちにふさわしい学校づくり〉のために細部にわたり求めている。
「私たちが要求しているのは、単に適正な賃上げだけでなく、生徒の学ぶ環境をよくすることです。そのためには、私たち教師の労働条件を向上させることが、生徒たちの学ぶ環境を保障することになります」と、交渉チームの代表アーリーン・イノウエは語る。
カリフォルニア州の経済規模は、アメリカ・中国・日本・ドイツに続いて世界第5位だが、1人当たりの生徒に支払われる教育支出は全50州の中で43位であり、1クラスの生徒数では48位と最下位レベルだ。小学校では37人、中学校や高校では40~50人にまで増えている。
保健福祉のスタッフは、週に1~2回持ち回りで学校を転々とする(日本からの訪米団がロサンゼルスの学校訪問をした2010年当時は、1クラス24~25人で下級生のクラスには補助教員がおり、保健福祉のスタッフは学校に常時いた)。
ロサンゼルス統一学区(LAUSD)では90%の生徒が有色人種であり、85%の子どもたちが貧困の環境に置かれ、英語教育が必要な移民の子どもたちがかなりの割合で学んでいる。これらの生徒たちをサポートするシステムも必要なのである。
LAUSDは、全国でチャータースクールに通う子どもたちが一番多い地域である。279のチャータースクールがあり、学区の生徒の24%が通っている。イーライ・ブロードやウォルマートのウォルトン・ファミリーなどの大富豪たちが、教育の民営化でさらに儲けようと、「ロサンゼルスの50%の公立学校をチャータースクールにする」計画を進めている。そのために、昨年の教育委員会選挙では、1300万㌦を投じてチャータースクール推進派を多数当選させた。
9月27日に行われる調停の行方はまだわからないが、UTLAのリーダーたちは、公教育を守るための要求に妥協はない。「この地区が、そしてカリフォルニア州が向かっている方向をわれわれが変えられなければ、5年で公教育システムを作り上げることはできないだろう」と、カプートーパールはストライキにかける意気込みを口にした。
教員ストの波が西海岸に
ウェストバージニアに始まり、ケンタッキー、オクラホマ、コロラド、アリゾナ、そしてノースカロライナにまで拡大した教員の全州あげてのストライキは、全米に大きな波紋を広げた。マスコミは、共和党に対する反乱だとして「レッド・ステイトの闘い」と騒ぎ立てた。しかし今、「ブルー・ステイト」と言われる民主党支持層の厚いカリフォルニア、ワシントン、ペンシルベニアの各州でストライキの闘いが起こってきている。
「レッド・ステイトで もブルー・ステイトでも関係なく、同じように公教育への攻撃は激しくかけられています。共和党も民主党も同じ億万長者や企業からお金をもらって、公教育をターゲットにしているのですから。」と、アーリーン・イノウエは言う。「民主党色が非常に強いカリフォルニアで、こんなに徹底して公教育が破壊されてきたのです」
今年の春にウェストバージニア、オクラホマ、アリゾナなどで闘われた激しく巨大なストライキは、教師たちが「もう我慢の限界」と、賃上げと労働条件の改善を求めて立ち上ったのであったが、同時に教育労働者としての尊厳と子どもたちの未来を守るための闘いでもあった。UTLAのリーダーたちは、そんなストライキ闘争をロサンゼルスの地で再現したいと切に願っている。
ストライキの波が日本に
ウェストバージニアの教師たちが解雇の恫喝にも屈せず闘った「山猫スト」(違法スト)は、労働者が団結すれば巨大な力を発揮できることを示した。彼らの闘いに感動し後押しされて、ケンタキーやオクラホマなど次々と別の州へ巨大な教員ストは広がっていったのである。
アリゾナでは、ストライキ投票を行い、5万7千人の教育労働者の78%が賛成票を投じて、何十万という労働者がデモに参加し、首都フェニックスを埋め尽くした。州知事が「20%の賃上げ要求を受け入れる」と発表した後も、圧倒的多数の教育労働者は職場に戻らない決断をした。彼らの要求は、20%の賃上げだけでなく、学校予算の大幅な増額だ。それを州の税制の抜本的な変革なしでは、たとえ学校予算が増額されても、結局別のところで緊縮が行われるだけだと強調した。
アメリカ教育労働者の巨大なストライキの波が、太平洋を渡って私たち日本の労働者にも押し寄せる。今がその時だ!
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協約交渉を始めて17か月、ロサンゼルス統一教組(UTLA)は7月にimpasse(交渉の行き詰まり)を宣言し、8月末にストライキ投票を実施した。組合員の83%が投票するという驚異的な投票率でなんと98%が賛成票を投じた。
この輝かしい結果に、UTLA委員長アレックス・カプートーパール は「この圧倒的な数字は、私たちの職場に溢れる活力と情熱をそのまま表している」と語った。
UTLAの執行部は、ユニオンパワーが2014年の執行部選挙に向けてオルグに全力投球し、全員当選を果たした当時そのまま、800校以上ある公立学校を訪問し、組合員と向き合って会話し、リーダーとなる人材をつくり上げ、コミュニティーや保護者への働きかけやほかの労働組合とのつながりを求め、組織化のためのエスカレーティング・アクション(段階的に闘争を強化し ていく)を続けてきた。
ストライキ投票でも、「なぜストライキが必要なのか」というオルグを地道に行った。
公教育を守る闘い
UTLAが掲げてきた主な要求は、クラスの人数削減、適正賃金、保健福祉の専門家(カウンセラー・看護士・図書館司書・セラピストな ど)の常駐体制、テストを減らし教育の時間を増やす、チャータースクールの規制、しっかりとした学校内の安全サポートなどである。
69ページに及ぶ要求項目には、そのほかにも〈ロサンゼルスの生徒たちにふさわしい学校づくり〉のために細部にわたり求めている。
「私たちが要求しているのは、単に適正な賃上げだけでなく、生徒の学ぶ環境をよくすることです。そのためには、私たち教師の労働条件を向上させることが、生徒たちの学ぶ環境を保障することになります」と、交渉チームの代表アーリーン・イノウエは語る。
カリフォルニア州の経済規模は、アメリカ・中国・日本・ドイツに続いて世界第5位だが、1人当たりの生徒に支払われる教育支出は全50州の中で43位であり、1クラスの生徒数では48位と最下位レベルだ。小学校では37人、中学校や高校では40~50人にまで増えている。
保健福祉のスタッフは、週に1~2回持ち回りで学校を転々とする(日本からの訪米団がロサンゼルスの学校訪問をした2010年当時は、1クラス24~25人で下級生のクラスには補助教員がおり、保健福祉のスタッフは学校に常時いた)。
ロサンゼルス統一学区(LAUSD)では90%の生徒が有色人種であり、85%の子どもたちが貧困の環境に置かれ、英語教育が必要な移民の子どもたちがかなりの割合で学んでいる。これらの生徒たちをサポートするシステムも必要なのである。
LAUSDは、全国でチャータースクールに通う子どもたちが一番多い地域である。279のチャータースクールがあり、学区の生徒の24%が通っている。イーライ・ブロードやウォルマートのウォルトン・ファミリーなどの大富豪たちが、教育の民営化でさらに儲けようと、「ロサンゼルスの50%の公立学校をチャータースクールにする」計画を進めている。そのために、昨年の教育委員会選挙では、1300万㌦を投じてチャータースクール推進派を多数当選させた。
9月27日に行われる調停の行方はまだわからないが、UTLAのリーダーたちは、公教育を守るための要求に妥協はない。「この地区が、そしてカリフォルニア州が向かっている方向をわれわれが変えられなければ、5年で公教育システムを作り上げることはできないだろう」と、カプートーパールはストライキにかける意気込みを口にした。
教員ストの波が西海岸に
ウェストバージニアに始まり、ケンタッキー、オクラホマ、コロラド、アリゾナ、そしてノースカロライナにまで拡大した教員の全州あげてのストライキは、全米に大きな波紋を広げた。マスコミは、共和党に対する反乱だとして「レッド・ステイトの闘い」と騒ぎ立てた。しかし今、「ブルー・ステイト」と言われる民主党支持層の厚いカリフォルニア、ワシントン、ペンシルベニアの各州でストライキの闘いが起こってきている。
「レッド・ステイトで もブルー・ステイトでも関係なく、同じように公教育への攻撃は激しくかけられています。共和党も民主党も同じ億万長者や企業からお金をもらって、公教育をターゲットにしているのですから。」と、アーリーン・イノウエは言う。「民主党色が非常に強いカリフォルニアで、こんなに徹底して公教育が破壊されてきたのです」
今年の春にウェストバージニア、オクラホマ、アリゾナなどで闘われた激しく巨大なストライキは、教師たちが「もう我慢の限界」と、賃上げと労働条件の改善を求めて立ち上ったのであったが、同時に教育労働者としての尊厳と子どもたちの未来を守るための闘いでもあった。UTLAのリーダーたちは、そんなストライキ闘争をロサンゼルスの地で再現したいと切に願っている。
ストライキの波が日本に
ウェストバージニアの教師たちが解雇の恫喝にも屈せず闘った「山猫スト」(違法スト)は、労働者が団結すれば巨大な力を発揮できることを示した。彼らの闘いに感動し後押しされて、ケンタキーやオクラホマなど次々と別の州へ巨大な教員ストは広がっていったのである。
アリゾナでは、ストライキ投票を行い、5万7千人の教育労働者の78%が賛成票を投じて、何十万という労働者がデモに参加し、首都フェニックスを埋め尽くした。州知事が「20%の賃上げ要求を受け入れる」と発表した後も、圧倒的多数の教育労働者は職場に戻らない決断をした。彼らの要求は、20%の賃上げだけでなく、学校予算の大幅な増額だ。それを州の税制の抜本的な変革なしでは、たとえ学校予算が増額されても、結局別のところで緊縮が行われるだけだと強調した。
アメリカ教育労働者の巨大なストライキの波が、太平洋を渡って私たち日本の労働者にも押し寄せる。今がその時だ!
①今年の5月24日、労働協約交渉が長引いていることに抗議して、グランドパークで大集会が行われた。
https://www.scpr.org/news/2018/05/25/83494/lausd-teachers-union-rallies-in-grand-park-as-cont/
②「テストを減らせ」「私たちの権利を守ろう」「クラスの人数を減らせ」「教師の仕事を尊重しろ」とストライキ投票を呼びかけるUTLAのホームページ
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