2018年3月28日水曜日

日刊動労千葉 第8431号

14年不当家宅捜索国賠裁判 第13回裁判
DC会館捜索の必要など一切ない!

 3月9日、14年不当家宅捜索国賠請求裁判の第13回が行われた。証人尋問の傍聴闘争を各支部組合員が結集して闘い抜いた。
 裁判長は、前回に続いて裁判所職員や廷吏を動員した「警備法廷」での裁判を強行してきた。弁護団の抗議にも、「前回と同じ」「議論はしない」と審理開始を強行した。偏見を持って裁判に臨み、「法廷秩序」を掲げて傍聴を威圧するなど絶対に許されない。われわれは怒りをもって弾劾する!

「組織的犯行」はでっち上げだ

 まず証人にたった久保田隆被告は、当時公安1課の警部で、約12年にわたって公安1課に所属してきた人間だ。不当逮捕当日の責任者であり合同捜査本部の責任者でもあった。DC会館の捜索責任者でもあり、押収物の最終判断を行ったと証言した。
 デモ警備に大量の機動隊と共に公安警察までつけていたことについて、「犯罪の予防・鎮圧のため」「過激な行動を予想していた」と証言した。はじめから、弾圧の機会を伺っていたということだ。
  当日デモ隊を公安警察がビデオやカメラで撮影していたことについて、「記憶にない」「撮影していたことは事件後に知った」とごまかした。警察権力側は撮影したビデオデータは処分したと主張しているが、検察庁に送ったデータが残っていないのかという追及に対し、「ビデオデータを送ったかどうかは覚えていない」と証言した。
 公安警察が不当な撮影を行っていたことを、当日の公安責任者である人間が知らなかった? 撮影にも気が付かなかった? 証拠を検察庁に送る判断の責任者でありながら、送ったかどうかも覚えていない? ウソでごまかすのもいい加減にしろ! 
 結局、「組織的犯行」でもなんでもなく、警察の不当弾圧だとはっきりすることを恐れているから、映像データが出せないのだ。
 08年にも同じように11月集会後のデモ中の不当弾圧を口実としたDC会館への捜索が行われた。しかし、「偶発的に起こったことでDC会館への捜索の必要性はない」とされ、警察権力の令状請求の違法性が裁判で確定されている。
 これについて、「08年事件では組織性が十分でなかったが、今回は連続して起きており組織性がある」と証言した。
 だが、どんなに言い訳をしようが、デモ中の偶発的な衝突を口実にしただけのことだ。DC会館捜索の必要性など何ひとつないことが改めて明らかになった。

デモ主催者として当然のこと

 続いて動労千葉から川崎書記長が証言に立った。証言ではまず、動労千葉が真っ当に労働運動を闘ってきたことを述べた。
 警察権力は、動労千葉が集会・デモ主催者として監視弁護団を要請したことなどの弾圧対策を逆手に「逮捕を前提にした行動を動労千葉が指示した」という論理を展開してきた。これに対して、以前にも警察権力がデモ隊に襲撃をかけ不当弾圧を行ったことがあることから、逮捕や衝突なくデモを無事に行うためだったと証言した。これは集会・デモの主催者として当然の対応だ。それを「組織的犯行」の根拠にしようなど、デタラメ極まりない言いがかりだ。
 DC会館の捜索自体も、スケジュールや連絡先をメモするなど不当極まるものだった。しかも、押収物はすべて還付され、事件も不起訴。逮捕も捜索もすべてが不当なものだったということだ。これらの証言について、警察側の弁護士は反論することも出来なかった。証言を聞けば捜索の不当性は明らかだ。警察権力による不当弾圧を許さず、勝利判決まで闘いぬこう。

4月退職者期末手当差別事件(17年度)判決
賃金差別容認の不当判決弾劾!


 3月16日、4月退職者だけが夏季手当を受け取れない重大な賃金差別の撤廃を求めた裁判について、東京地裁は賃金差別容認の不当判決を出してきた。絶対に許すことは出来ない!
 この裁判は、16年度退職者を対象にした裁判に続き、17年度退職者について提訴したものだ。判決は期末手当について、功労報奨的要素、生活補填的要素、将来の労働の意欲向上のためといった要素と、「支給対象期間の勤務に対応する対価」としての性格も持つと認定した。そうであれば、そもそも調査期間を満了しながら手当だけは支払われないことそのものが不当だ。
 しかし、「4月生まれが一番不利益が大きいが、他月生まれも働いても手当を受け取れない月があるから差別ではない」と容認した。しかし、基準日が6月と11月という明らかな不合理には、一切触れていない。これは、会社でさえまともに理由を説明できない矛盾だ。そのことで、本来ありえない賃金格差が生み出されているのだ。これが差別でなくてなんだというのか!
 結局、賃金差別容認の結論ありきの判決だったのだ。
 しかし、会社は今年4月以降エルダー社員の精勤手当を一定程度改善し、調査期間も定年前から通算する対応を行わざるを得なくなっている。われわれが裁判を構えて全力で闘いに立ったことで、一定の前進をかちとったということだ。不当判決を許さず、賃金差別撤廃まで闘い抜こう。

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