安全の確立は、労働組合の
闘いによってしか守れない
規制緩和・外注化は安全を破壊する
関越自動車道で4月29 日に発生した高速ツアーバス事故は、野放図な規制緩和と重層的な外注化(偽装請負)が何をもたらすのかを衝撃的に示しました。
事故の直接的な原因は、繁忙期には電話1本で増車する重層的な外注化がもたらしたツアーバス業界の殺人的な勤務です。この事故では、発注したハーヴェスト社とバスを運行した陸援隊の間に2つの業者が入り、高速料金などの経費を払えばほとんど利益が出ない状況でした。逮捕された運転手は、人手が足りない時に駆り出される日雇いの運転手でした。
いわゆる高速バスは、道路運送法が適用され、他社の車両や運転手は使えません。便数や運賃の変更も30日前の届け出が必要です。しかし規制緩和で生まれたツアーバスは、旅行会社が観光バスを借り上げる「募集型企画旅行」とされたのです。
旅行業者は、道路運送法の規制を逃れ、運行の安全確保の責任を負わず、代金は運賃ではなく「旅行代金」となります。集客のために極端な値下げ競争を展開し、立場の強い旅行会社がコスト削減を強要し、バス会社の安全対策の実態は恐るべきものでした。
「明日は我が身」「身内には絶対に乗るなと言っている」――これが運転手たちの声です。誰もがいつかは大事故が起きると思っていたのです。
利潤追求と競争原理が優先されれば、安全対策は必ず犠牲となります。コストダウン・人件費削減が目的の検修・構内業務外注化はどこに向かうのか。5人でやっていた仕事が4人、3人へ要員が減らされ、賃金が5万、10万円と削られていくのは目に見えています。
安全問題・事故問題は労働組合の最重要課題です。安全の確立は労働組合の闘いによって会社に強制する以外にありません。