2012年9月8日土曜日

動労水戸 第536号

mito536

 

8/21・8/30支社団交で明らかに
外注化の必要なし

出向事前通知粉砕!
9・14ストライキへ!

「エルダーの働く場が足りない」というウソ

 検修・構内外注化に関する動労水戸と水戸支社との団体交渉は、第1回8月21日、第2回8月30日に開催された。ここではまず、外注化による会社のねらいをはっきりさせるところから追及を開始した。会社は①エルダーの働く場の確保、②グループ会社としての経営基盤の強化を主張した。
 まず、①エルダーの働く場の確保について、会社は「これまでのやり方では容量が足りなく活用できる範囲が狭かったから、ある程度まとまった業務量を委託することにした」というのだが、水戸支社管内で向こう10年間で定年になる人数を見れば、緊急の課題ではないことが明らかだ(別掲)。

「プロパーを育てるため」というウソ

 ではなぜこんなに多くの出向者が必要なのかと追及すると、会社は、「出向社員の持っている技術やノウハウを順次プロパー(委託会社が雇った労働者)に伝えて、10年後には委託した業務はエルダーとプロパーで担ってもらう。プロパーを育てるために出向に行かせる」というのだ。そこで、プロパーを何人採用してどのように育てていくつもりかと追及すると、「それはMTS(委託する会社、水戸鉄道サービス)の決めることなのでわからない、10月1日の時点ではいない」という。さらに、交検(交番検査、車両検修の基礎となる業務)はJR本体にしかいないのにどうやってプロパーに技術を習得させるのかと追及すると、会社は「MTSのプロパーをJRに出向させて交検をやらせるのだ」という。JR本体の労働者が業務委託して出向する意味は全くないということだ。ただ業務委託してせっせとこれまでどおりの仕事をするだけ、単なる労働者派遣だ(ちなみにJRは労働者派遣できる会社とはなっていないので違法行為である)。

「MTSの労働条件向上のため」というウソ

 次に、②グループ会社としての経営基盤の強化について。会社は、「ある程度まとまった業務量を委託することによってグループ会社の体力がつく。単価の高い検修や構内運転業務を委託すると原資(MTSの現金資産)が増えるのでMTSの労働者の労働条件も向上する」というのだ。では、同じMTSで働く清掃労働者の賃金も上がるのかと聞くと「わからない」。では、会社としてどれほど収益が上がるのかと聞くと「試算していない」。それでは、この事案をやることによって10年後の総額人件費はどうなるのかと聞くと「試算していない」。少なくとも100人弱の出向者を一度に送り込み業務委託するという大きな事案なのに、その経済効果をまったく「試算していない」ことがありうるのか?!どこまでインチキで無責任なやり方か!

外注化が技術継承をないがしろにする

 さらに、列車・車両を安全に運行するために不可欠な技術継承について追及した。プロパーを育てるためJR本体から出向させるというが、出向社員(JR社員)自身の技術継承はどうなるのか。会社は、「これまでと同じ仕事はしていくので技術は維持できる。出向から帰ってきたときは技官・交検・機動班などに入るが、坦務替えの時のように見習や訓練をやれば大丈夫」と回答。業務全部が委託となる構内運転士はどうするのかと追及すると、「車両職に行くか本線乗務もありうる」とこれも軽々しく回答。業務委託のせいで雇用関係も業務もコロコロ替えられる労働者の気持ちになってみろ!仕事の習熟度や意欲は下がり、結果起こるのは車両故障の続出と重大事故であることは明らかだ。絶対に許すことはできない。
 以上、この2日間の団交で、エルダーの職場確保の面からも、プロパーを育てるという面からも、MTSの労働条件を上げるという面からも、会社の収益を上げるという面からも、外注化の必要性はまったくないことがはっきりした。その反面、技術の維持・継承をないがしろにする会社の安全無視の姿勢は明らかであり、絶対に許してはならない。
 次回団交は9月4日、6日と続く。動労水戸は検修・構内外注化を絶対に認めない。