2022年5月27日金曜日

外注化阻止ニュース 第582号


なぜ耐震工事が進まないのか
利益優先で安全や現場労働者ないがしろに

 3月の福島県沖地震で東北新幹線が脱線し、約1千か所で損傷が見つかりました。長期運休となり全線開通に1か月かかりました。
 これを受けて国交省は5月17日、JR各社に新幹線の耐震化計画の前倒し要請を検討すると明らかにしました。その費用のために運賃値上げ容認も検討するとしています。

遅れの原因は〝費用〟ではない


 しかし、耐震化が進んでこなかった原因は費用の問題ではありません。JR東日本はコロナ以前、毎年のように過去最高益を更新し、今も大規模な駅の開発は次々に行っています。「お金がなくて耐震工事ができなかった」のではありません。
 95年の阪神淡路大震災から耐震化が課題になり、すでに27年がたっています。東日本大震災からも10年以上がたっています。
 JR東日本の計画は高架橋は28年までに80%完了、電柱は50年までに完了というものです。工事の遅れは結局、JR東日本が安全のための対策より、駅や周辺の大規模開発など利益のための施策を優先した結果です。

専門的な技術・経験を軽んじるな

 また、鉄道の専門的な技術や経験を持った労働者を軽視してきた結果でもあります。
 設備関係は鉄道業務の中でも外注化が早くから進められてきました。労働者の権利や労働条件を解体することを優先し、十分な要員体制や技術力が破壊されてきました。
 職名廃止・統括センター化・ジョブローテーションなど鉄道の安全を守る現場労働者を軽視する施策を進めれば、鉄道の安全は破壊されてしまいます。

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