2011年11月29日火曜日

JR東日本の被曝労働強制の実態

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JR東日本沿線放射線数量

 

<組合側> 法律で決められている国民の年間の被ばく線量は、1m?(ミリシーベルト)ということでいいのか。
<会社側> 原発の現状からすると事故期であるので、20~100m?/年となる。1m?という基準は承知しているが、今は平常時でないので、JR東日本としても20m?を目安にしている。

<組合側> 鉄道用地内は観測地点になっていない。線路脇などの草むらは放射線量が高いのではないかと危惧されている。今年の夏は特別巡回が多かったので、草むらなどに退避をせざるを得ない。本当に大丈夫だろうかといった不安が強く出されている。このような作業をする場所については、社員の安全管理の上からも線量測定を実施すべきだ。
<会社側> 会社独自で測定することは当社としては考えていない。

<組合側> 女性社員に草ぼうぼうの放射線がどのくらいあるかわからないところに、退避をするように指示するのは苦しい。最低でも線路内の放射線量の測定をしてほしい。
<会社側> 現時点では考えていない。

<組合側> 合羽の貸与や被ばくした作業服については処分して、代わりの作業服を増配備する等の対応が必要ではないか。企業努力が必要だ。
<会社側>  必要以上に放射線を恐れないという対策をとっていきたいと考えている。

 

“国が安全と言うから安全だ。文句を言うな”

 9月に行われた国労との団交で、JR東日本は「(被曝線量は)事故期だから年間20~100㍉シーベルトで構わない」と言い放った。さらに「会社独自の測定は考えていない」「年間20㍉シーベルトを超える区域の除染は国の責任。当社でやることではない」と居直りを決め込んだ。「国が安全と言うから安全なのだ。文句を言うな」ということである。

これは殺人行為だ

 JRが放射能に汚染された鉄道設備や車両を使う以上、「電離放射線障害防止規則」を守らなければならない。同規則は原子力関連業務や医療放射線業務に限らず、「放射性物質またはこれに汚染された物の取扱いの業務」を行う者にも適用される。
 電離放射線障害防止規則は、放射線量が3カ月で1・3㍉シーベルトを超える区域を「管理区域」とし、標識で明示して必要以外の者の立ち入り禁止を定めている。3カ月で1・3㍉シーベルトとは年間で約5㍉シーベルトだ。JRは「年間20㍉シーベルトが目安」と言うが、それは放射線管理区域内での労働を超える被曝量だ。
しかも同規則は、管理区域内で放射線業務に従事する労働者の被曝限度を5年間で100㍉シーベルト、かつ1年間で50㍉シーベルトに制限している。女性の場合は3カ月で5㍉シーベルト以下だ。そもそも一般労働者は年間1㍉シーベルト以下が基準だ。こうした基準自体が、「それ以下なら安全」というものではない。ところがJRは、法令も無視し、100㍉シーベルトまで大丈夫と言い放ち、規則で義務づけられた労働者の被曝線量を測定もせず被曝労働を強制している。これは殺人行為である。

乗客にも被曝を強制

 JRの各職場や線路脇、トンネルなど、放射線量の高い区域は少なくない。ところがJRは、危険区域の表示もせず、除染も「国のやること」とうそぶいて一切行おうとはしない。労働者だけでなく、周辺住民や乗客にも被曝を強いているのがJRだ。

 

房州鉄道研究会サイトから転載