2021年1月14日木曜日

日刊動労千葉 第8897号

緊急事態宣言弾劾! 3月ダイ改・ワンマン拡大・「1500億コスト削減」 すべての合理化を中止しろ!


菅政権は1月7日、2度目の緊急事態宣言を出した。そして、与野党一致で罰則付きの特措法の早期採決が狙われている。マスコミや野党は「遅すぎる」「特措法も後手に回った」という反応だ。

たしかに菅政権は「経済優先」で感染対策はまさに「見せかけ」だった。緊急事態宣言をめぐっても右往左往し、場当たり的に「宣言は4都県だけ」「海外からのビジネス関係入国者は止めない」としている。

しかし、「権力は危機を利用する」という歴史の教訓を忘れてはならない。首相の号令一下、政府が国民全体を統制して罰則までつけるというのは、「感染対策」に名を借りた憲法改悪と戦争体制づくりの攻撃だ。実際、春の過程でも「憲法に非常事態条項がないことが問題だ」と言われ、再びこの問題が浮上している。

所得保障と医療体制再建が必要

 

だが、本当に必要なことは、収入を絶たれた労働者や中小事業者にただちに十分な所得保障を行うことだ。政府に強権を振りかざす権力を渡すことではない。

また、一時的に感染を抑えても「冬には再拡大する」と当初から言われてきた。仮に今回のコロナが収まったとしても、いずれ別の感染症が流行すると言われている。現段階でも日本の感染者数や重症者数は欧米と比べてはるかに少ない状況なのだ。その日本で、なぜ「医療崩壊」が叫ばれるのか。なぜ徹底した検査が行われないのか。ここに問題の本質が現れている。

 

足りないのは医師や看護師であり、公立・公的病院であり、ICUなどの救急医療体制だ。コロナを受け入れた病院は全体の約2割だが、公立・公的病院の半分以上が受け入れる一方、民間病院で受け入れた病院は1割ほどだ。新自由主義は、医療まで金儲けの道具にして、医師や看護師の労働条件を解体し、医療を破壊してきた。その結果、今の危機を招いたのだ。

しかし、菅政権は「GO TOキャンペーン」に予算はつけても、医療や保健所の体制強化に手を打とうとはしなかった。それどころか政府は440の公立・公的病院の統廃合を推進し、小池都知事は都立病院の独立行政法人化をコロナ禍の渦中で決定している。その中で感染が再拡大し、また「緊急事態宣言だ」「自粛せよ」「今度は罰則付きの法律が必要だ」「改憲と緊急事態条項が必要だ」と言っているのだ。

会社の責任で感染対策行え!

この中でJR東日本は、3月ダイ改で予定していた終電繰り上げの前倒しを発表した。「感染対策への協力」という形だが、そもそもJRもまともに感染対策をやろうとはしていない。職場ではいまだに検温さえ行っていないのだ。社会に向けては、「発熱管理を行う」というガイドラインを発表しているにも関わらずだ。

JR東はグループ内に病院も持っている。定期的なPCR検査や、陽性者と接触のおそれのある労働者全員のPCR検査を行うこともできる。しかし、店舗や公共施設等で行われている検温さえ行っていない。

検温を徹底して発熱が発覚すれば、代務が必要になる。検査を増やして判明する陽性者が増えれば要員問題になる。感染対策を真剣に行うなら、十分な要員の確保は絶対に必要だ。だが、JRはむしろコスト削減のために要員削減を優先している。だから、あえて検温さえ行っていないのだ。

すべての合理化を中止しろ!

その一方、会社はこの感染拡大のさなかでも3月ダイ改・ワンマン運転拡大を強行しようとしている。「緊急事態」を語りながら、感染対策より合理化を優先するなど絶対に許されない! 現場労働者の命と健康をなんだと思っているのか! 3月ダイ改、ワンマン運転拡大の準備、ジョブローテーション等の異動などはすべて、ただちに中止すべきだ。

会社は、コロナ禍さえ「千載一遇のチャンス」のように捉え、合理化攻撃を行ってきた。

「1500億円のコスト削減」を打ち出し、「赤字だ」「会社が存続できない」「整理解雇もある」と現場を黙らせようという卑劣な狙いだ。深澤社長は「グループ内出向」「勤務制度の柔軟化」と打ち出し、1月にも合理化計画を発表すると語っている。今回の緊急事態宣言でもさらなる攻撃を狙っていると見なければならない。

実際、春の過程では「感染防止」と称して異動を取り止めながら、ジョブローテーションは「人材育成上必要」と強弁して強行した。他方で、感染対策を口実にしてなし崩し的に管理職の一般行路への乗務も行ってきた。こんなふざけた話があるのか!

JRはただちに責任をもって真剣な感染対策を行え! 3月ダイ改・ワンマン運転拡大、ジョブローテーションなど、すべての合理化をただちに中止しろ! 3月ダイ改合理化に対する闘いにたちあがろう。