2023年2月20日月曜日

日刊動労千葉 第9234号

弾劾声明 三里塚芝山連合空港反対同盟
「市東孝雄さんの農地に対する強制執行を
弾劾する!」


2月15日夜8時過ぎ、国家権力・機動隊の暴力のもとで、天神峰の市東孝雄さん農地取り上げの強制執行が行われた。

動労千葉は、15日早朝から現地に駆け付け、さらに夜の強制執行が始まるとの報を聞いて、再び現地に駆け付け、機動隊と激しく対峙して闘う反対同盟や支援の学生や労働者市民と合流し、16日の朝まで共に闘いぬいた。

この暴挙に対して反対同盟が発した弾劾声明を以下紹介する。

(1)三里塚芝山連合空港反対同盟は、同盟員の市東孝雄さんの農地と建物および反対同盟所有のやぐらと看板を破壊し、強奪した強制執行を煮えたぎる怒りをもって弾劾する。市東さんが祖父の代から100年にわたって耕し続け、豊かな実りをもたらしてきた農地と生活の場を暴力的に奪い去り、国家権力による60年近くに及ぶ空港建設の横暴と闘い抜く不屈の意思を示してきたやぐら・看板の破壊を強行した成田空港会社(NAA)と千葉県警・機動隊、そしてこの犯罪行為を「合法」とした千葉地裁を、反対同盟は未来永劫許さない。

(2)2月15日、成田空港会社(NAA)と千葉県警・機動隊は、今回の執行を卑劣にも夜間において、まさしく「夜盗」のように強行した。ここに今回の強制執行の反人民的な不正義性が示されている。反対同盟は、昨年末に強制執行へ動き出したNAAに対し、「来るなら来い」という決意で、決戦体制をつくりあげ、連日の座り込みや抗議行動、強制執行反対の署名・街頭宣伝などを取り組み、執行を阻み続けてきた。追い詰められたNAAと国家権力は、成田空港建設の常套手段である「だまし討ち」に手を染めたのだ。

「2月15日にも執行」の報を受けた反対同盟と支援の仲間は、同日未明からこれを迎え撃つ体制をとった。人数は100人を超え、日も暮れて「今日の執行はない」と誰もが思い、多くの支援者が帰途に就いた。ところが暗闇となった午後8時からヘルメット・盾・警棒、ピストル、放水車まで持ってきた数百人の機動隊が現れ、市東さんの宅前の道路を封鎖し、畑、作業場、離れの家になだれ込み、鉄柵で囲い込んだのである。だが反対同盟と再結集した支援は固いスクラムでこれを迎え撃ち、人数も再び100人規模となった。「だまし討ち」は粉砕された。だが機動隊はその物量で反対同盟と支援を次々と排除し、農地と中庭に重機が搬入され、破壊と強奪が進められた。

何が「法の支配」か! 何が「民主主義か」! 何が「国民の命と暮らしを守る」か! 今回の強制執行で現実に行われたことは、問答無用の国家暴力による一人の農民の命と生活の場の破壊であり、強盗だ!

(3)なぜ今、国家権力とその意向に沿うNAA・裁判所は、「強制的手段はとらない」という約束をも反故にし、強制執行に踏み切ったのか。誘導路の「直線化」は今回の執行によってもできない。コロナによる旅客激減もある。「経済的理由」は何もない。真の理由は、ウクライナで戦争の火が吹き、アメリカとともに大軍拡と戦争に突き進む岸田政権による中国侵略戦争の準備が加速する中で、国家権力と実力で闘い、軍事空港粉砕を掲げてきた三里塚闘争をつぶすということだ。米中戦争をシミュレーションした米シンクタンクCSIS報告書には、「地元の政治的反対」をつぶし「米日が民間の国際空港を利用できるように動く必要がある」との記述もある。「国策」「国益」を掲げて農民の農地を奪う。このような政治の延長に戦争がある。反対同盟が当初から掲げる「三里塚軍事空港粉砕」のスローガンは、今こそ高く掲げられるべき時だ。

(4) 反対同盟と支援の仲間は、夜を徹して市東さんの身も張り裂けるような怒りを共にし、農地を強奪しようとする機動隊の阻止線と対峙し、やぐらや離れの家の屋根の上で徹底抗戦を貫いた。20代の学生から70代までが「農地死守・実力闘争」を貫く三里塚闘争の正義と勝利を確信し、心を一つに団結して闘いぬいた。不当逮捕された3人の学生たちを即時奪還しよう。
執行は強行された。しかし、反対同盟と支援の団結はますます固く、三里塚闘争の正義性はますます明るさを増し輝いている。反対同盟は、今回の国家権力・NAAによる暴挙を徹底的に弾劾し、空港廃港まで闘い抜く。市東さんの営農と生活を守り抜き、奪われた農地を取り戻すまで闘いぬく。

2023年2月16