2022年6月30日木曜日

日刊動労千葉 第9139号

第86回定期委員会 特別決議

 新・戦争協力拒否宣言

三たび戦争が世界をのみ込もうとしている。われわれは切迫する核戦争の危機と隣り合わせで生きている。われわれは歴史の岐路に立っているのだ。全世界の労働者と固く連帯し、眦(まなじり)を決してこの戦争を止めるための闘いを開始しなければならない。それは労働組合の最も本質的な課題だ。
プーチンが悪でNATOが正義だという論理が世界を覆い、自らを国家と同一化させてその「正義」に与することが迫られている。タガが外れたように、世界中で何の躊躇もなく空前の大軍拡が叫ばれ、恐怖と憎悪、挙国一致が時代の精神になろうとしている。すべてがコントロールを失って戦争に向かっている。
われわれは、ロシアのウクライナ侵攻をつよく弾劾する。しかし、米政府が主導したNATOのすさまじい東欧拡大政策、巨額の武器援助の歴史を見れば明らかなように、この戦争の真の原因をつくりだしたのはアメリカでありNATOだ。資本主義は成長の余地を失い、世界中が激しく衝突している。新自由主義が、自らが生み出した矛盾によって大崩壊しようとしている。それが戦争を生み出している真の原因だ。
東アジアでは、「台湾有事」をふりかざした中国侵略戦争の危機が迫っている。ウクライナ戦争の最中、米バイデン政権は、「台湾防衛に軍事的に関与する」と主張し、岸田政権は「防衛費10兆円」という爆発的な大軍拡、敵基地攻撃能力の確保、沖縄・南西諸島の急速な軍事拠点化、改憲断行に突き進んでいる。しかも日本の政府・財界は、見境ない虐殺をもってクーデターを凶行した、ミャンマー国軍への世界最大の支援者でもある。
かつて、大東亜共栄・五族協和の名のもとにのめり込んでいった戦争が、2千万人のアジア民衆を虐殺する侵略戦争であったという歴史の認識は消し去られようとしている。その歴史を繰り返してはならない。
われわれは、多くの解雇者をだしながら、国鉄分割・民営化攻撃との35年に及ぶ闘いを貫き、団結を守りぬいている。民営化と戦争は一つの攻撃であった。2003年にイラク戦争に反対してたちあがったストライキは、われわれに思いもよらぬ希望の光を照らしてくれた闘いであった。それをきっかけに、今日まで続く国境を越えた労働者の国際連帯闘争が始まったのだ。だからわれわれは、資本主義・新自由主義を終わらせる労働者の闘いこそが戦争を止める力であることに揺るぎない確信をもっている。
イラク戦争を契機とした有事法の制定により、われわれ鉄道労働者は、戦争協力が法的に義務づけられる立場に置かれることになった。ウクライナ―中国侵略戦争の危機によって、政府の戦争政策と対決し、戦争協力を拒否する闘いは、差し迫った避けて通ることのできない課題となって浮上している。それは平和を求める労働者の特別の任務だ。この闘いは強靭な団結がなければ闘えない課題だ。国境を超えた労働者の広範な連帯を必要とする闘いだ。密集せる反動と対決し、長期にわたる抵抗を貫いて戦争をストップさせる厳しい闘争を覚悟しなければならない。
今国交省では、JR在来線の4割を廃線化し「国力」を国防に集中しようとする国家改造計画が策定されようとしている。鉄道貨物輸送に関する別な検討会には、防衛省が参加し鉄道の軍事利用が正面課題として検討され、すでに装甲車、155㍉りゅう弾砲等の輸送訓練が始まり、御用労組はそれに協力している。
われわれは、こうした困難な闘いをやりぬく土台を築きあげるために、2月には「3労組共同声明」(動労千葉、関生支部、港合同)を発表し、全国の仲間たち、世界の仲間たちに、労働運動の再生に向けて共に討議し、変革に向けた計画をつくり、行動を組織しようと呼びかけ、この11月、東京への結集を呼びかけている。
世界中で労働者が新自由主義に抗し、戦争に反対して闘いにたちあがっている。30年間賃金が下がり続けるという日本の異常な現実の下で、新自由主義の破たん、コロナ禍、ウクライナ戦争を背景とした激しい物価騰貴が始まり、とくに2千万人の非正規職労働者の生活を破壊している。雇用・権利、医療、社会保障、教育、社会生活のすべてが破壊され、何もかもが限界だ。今こそ闘いにたちあがらなければならない。
鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは、圧政に苦しむアジア―世界の民衆と連帯し、力を合わせて戦争反対の闘いにたちあがる。われわれは未来への希望を自らの手で築きあげるために、平和のための任務として戦争協力を拒否する。
右、決議する。

 2022年6月26日
第86回国鉄千葉動力車労働組合定期委員会