2011年3月11日金曜日

「日の君」訴訟逆転勝訴

<転送歓迎>(重複ご容赦)
・「都教委包囲首都圏ネットワーク」 
・「千葉高教組」・「新芽ML」
の渡部です。

ビッグニュースです。(本日の報告はこれだけにします。) 

本日(3月10日)、
①アイム「君が代」裁判控訴審(原告2名)と
②「君が代」裁判第一次控訴審(原告169名)に対し、
東京高裁(いずれも大橋裁判長)は、双方に「懲戒処分取り消し」の判決を出しました。二つの判決はほとんど同じ内容で、10分間隔で立て続けに出されました。

裁判所前には傍聴に入れなかった多くの支援者が集まっていました。そこに裁判所から出てきた弁護士は、みんなが見守る中、おもむろに「一部勝訴」、「逆転勝訴」の垂れ幕を広げました。垂れ幕を持っている若い女性弁護士は涙ぐんでいました。

勝訴を予想していなかった多くの人々は、最初、何が起きたのか理解することができませんでした。澤藤弁護士が「勝訴です!」と言うと、大きな歓声と拍手が起こり、あちこちで「よかった」「よかった」の声、涙を流す人。みんなの中に次第に勝利の実感が涌いてきました。

判決の主文は
(1)控訴人らに対する懲戒処分を取り消す。
(2)控訴人らの損害賠償請求は棄却する。
というものでした。

理由は以下の文の<  >のところです。「控訴人らには校長の職務命令に違反したという懲戒事由があるが、控訴人らに懲戒処分を科すことは、懲戒権者の<裁量権の範囲を逸脱>するものであって、違法であるから、懲戒処分を取り消すべきである。」

しかし、「一部勝訴」というのは、「職務命令及び懲戒処分は、憲法19条の思想・良心の自由の保障に違反しない。」としたことです。

つまり、処分は違憲ではないが<裁量権逸脱>で違法だという、なんとも苦しい判決なのです。

報告会では澤藤弁護士が、「この判決は裁量権だけで勝訴となったことにがっかりしたが、しかしその理由が素晴らしい」と述べました。また、ある弁護士は「悩みに悩んだ判決」と表現しました。

それは、原告団・弁護団による<声明>に反映されましたが、以下にその一部を紹介します。
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判決は、控訴人らの不起立行為等は、自己の個人的利益や快楽の実現を目的としたものでもなく、生徒に対し正しい教育を行いたいなどという歴史観ないし世界観又は信条及びこれに由来する社会生活上の信念等に基づく真摯な動機によるものであり、少なくとも控訴人らにとっては、やむにやまれぬ行動であったということができる、と判示した。

さらに、「歴史的な理由から、現在でも『日の丸』・『君が代』について、控訴人らと同様の歴史観ないし世界観又は信条を有する者は、国民の中に少なからず存在しているとみられ、控訴人らの歴史観等が、独善的なものであるとはいえない。また、それらとのかかわりにおいて、国歌斉唱に際して起立する行動を抵抗を覚える者もいると考えられ、控訴人らも、1個人としてならば、起立を義務付けられることはないというべきであるから、控訴人らが起立する義務はないと考えたことにも、無理からぬところがある」 と判示すした。

そして、控訴人らの行為によって卒業式等が混乱したという事実はなかったこと等も踏まえ、結論として、不起立行為などを理由として懲戒処分を科すことは、社会通念上著しく妥当を欠き、重きに失するとして、懲戒権の範囲を逸脱・濫用するものであるとして違法であるとし、控訴人らに対してなされた各懲戒処分を取り消した。

一方で、10・23通達及び職務命令は、憲法19条及び20条に違反せず、改定前教育基本法10条の「不当な支配」にもあたらないと判断した。また、損害賠償請求については認めなかった。
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被処分者の会の近藤さんは、「処分を取り消した判決は全国でも初めてだ。そうした意味で画期的・歴史的判決だ」と述べました。

この判決は、石原にも都教委にも、さらには全国の同じ穴の○○○たちにも、大きな打撃となることは確かです。

ビラまきは本日も行われました。明日以降報告しますが、明日以降のビラまきがまた楽しみになりました。

この春の卒業式でもすでに不起立者は出ています。日本の民衆も捨てたものではありません。

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