2012年12月6日木曜日

外注化阻止ニュース 第46号

外注化阻止ニュース第46号

 

笹子トンネル崩落事故
NEXCO中日本道路公団 民営化で
外注化と経費削減の手抜き検査

37年間、一度もボルト交換せず

 12月2日に発生した笹子トンネル天井崩落事故は、9人が亡くなる大惨事となりました。
 トンネルを管理する中日本高速道路(NEXCO中日本)によれば、コンクリート板をトンネルの天井に固定するためのボルトが抜け落ちていた箇所があったことを明らかにしています。ボルトまたはコンクリート板の老朽化が事故につながった可能性が指摘されています。
 報道によればトンネルが開通した1970年代後半以来、ボルトは一度も交換されたことがなく、つり天井のつり金具とトンネル最上部の結合部分の点検について、ハンマーなどでたたいて異常を確認する打音検査はまったく行われず、目視のみで済まされていました。
 そもそもトンネルの打音検査はベテランでも問題箇所を見出すのは難しく、そのため超音波検査装置などが開発されていますが、笹子トンネルでは電源確保や機材搬入が難しいとの「理由」で実施されていませんでした。
 しかも開通から37年も経過し、老朽化したトンネルにもかかわらず、経費節約のために打音検査さえ一度もしていなかったのです。
 つり天井はトンネルの高い位置にあるので検査の費用が高くつくため、下からライトを当て、双眼鏡でのぞく目視検査のみの検査をしていたと言います。

原発並の重層下請けで手抜き検査

 毎日新聞(4日)の報道では、NEXCO中日本は旧道路公団の民営化後の06年4月に点検マニュアル「保全点検要領」を策定したが、天井板の点検について「目視による確認をするなどの配慮が必要」 としただけで、打音検査を定めなかったのです。道路公団の分割・民営化が安全無視の外注化と手抜き検査の引き金になったのです。
 NEXCO中日本は、最近のJRのように多くの子会社を抱え、子会社が検査などに対応しています。しかし、子会社からさらに下請けに外注に出しているのが実態です。
 検査の実態は、重層的な下請け構造の中でピンハネが横行し、低賃金の日雇い労働者がほとんど経験もないまま実施する状況でした。
 しかも、高速で走る車列の流れの中で行うきわめて危険な仕事です。まもとな安全対策もない状況で、検査はおざなりになっていたのです。

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