2013年9月30日月曜日

日刊動労千葉 第7572号

東京高裁の反動判決を弾劾する!
新たな10万人署名運動を!

国鉄の不当労働行為を明確に認定しながら、解雇を容認
不当労働行為である以上、原状回復=解雇撤回しかあり得ない!

 9月25日、14時から、東京高裁824号法廷において、「動労千葉鉄建公団訴訟控訴審」の判決裁判が行われた。裁判は、動労千葉争議団、組合員、支援する会の仲間で傍聴席は満席となり、入りきれない人たちで廊下も埋め尽くされた。
 こうした中、難波裁判長は、「解雇は有効」とする判決を行ってきた。絶対に許せない。傍聴席からは「事実を審理しろ」「解雇撤回しかないぞ」の怒りの声が次々にたたきつけられた。
 しかし判決は、国鉄による動労千葉12名を排除「不当労働行為」とした一審東京地裁判決を消し去ることはできず、あらためて国鉄の不当労働行為を認定した。しかし一方で、採用候補者名簿に記載されたとしてもJRに採用されたとは限らないとした。名簿に載った者は例外なく、全員がJRに採用されているのが事実だ。こんな理由は絶対に粉砕しなければならない。
 解雇撤回署名は44286筆に達し、この力が東京高裁を追いつめたのだ。
 不当労働行為を認めた以上、原状回復=解雇撤回しかない。解雇撤回まであと一歩だ。1047名解雇撤回へ全力で闘おう!

動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決(要旨)

1.国鉄による不当労働行為の有無について

(1)国鉄は、分割・民営化に反対する労働組合に所属する組合員を差別し、不利益に取り扱う目的、動機の下に名簿不記載基準を策定し、動労千葉組合員をJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったと推認するのが相当であり、国鉄の不当労働行為は、動労千葉組合員に対する不法行為を構成すると認めるのが相当である。
(2)国鉄は当初、動労千葉組合員を基本的に採用候補者名簿に記載する方針で名簿作成の準備を進めていたにもかかわらず、改革労協(JR総連)の姿勢に触発され、国鉄分割・民営化に反対する労働組合に所属していることを理由に、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、名簿不記載基準を策定し、JR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったと推認することが相当である。
(3)名簿不記載基準は、明確なものであり、採用基準の内容に沿うものである。しかし、名簿不記載基準を採用した目的、動機が、国鉄分割・民営化に反対していた動労千葉等の労働組合に所属する組合員を差別し、不利益に取り扱う目的、動機の下に採用されたものであり、その結果、国鉄分割・民営化に反対していた動労千葉等の労働組合に所属する組合員のうち採用候補者名簿に不記載となった者の割合が、分割・民営化に協力する労働組合に所属する組合員で不記載となった者の割合に比べて顕著に大きかった。名簿不記載基準の明確性や合理性にかかわらず、名簿不記載基準の採用及び適用において、国鉄に不当労働行為意思があったと認めるのが相当である。

2.JR採用について

(1)JR東日本は、国鉄とは別個の独立した法人であり、経済活動の一環として雇用契約締結の
自由を有しており、自己の営業のための労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについて、自由に決定することができる以上、採用候補者名簿に登載されることが、直ちにJR東日本に採用されることを意味するものではない。
(2)JR各社は、採用候補者名簿に記載された国鉄職員を全員採用したが、これは国鉄において、採用基準に照らして採用することが不相当であると判断する職員を採用候補者名簿に記載しないとする方針の下に採用候補者名簿を作成していたことを前提としたからであり、その前提が変われば、JR各社が採用候補者名簿記載の者全員を採用したか否かは明らかではない。

3.慰謝料について

(1)動労千葉組合員は、国鉄がJR東日本の採用候補者名簿を作成するに際して、名簿不記載基準により違法に不利益取扱いを受けたことで、国鉄から正当な評価を受けて採用候補者名簿に記載され、JR東日本に採用されることに対する期待を侵害され、動労千葉に加入していることにより差別を受けた。
(2)不記載行為がなければJRに採用されたはずであるとまでは認められないものの、事実関係によれば採用された可能性は相当程度あったことも否定できず、不法行為の侵害の対象となる法的利益として認めるのが相当であり、不当労働行為によって被った精神的損害について、鉄道運輸機構に対して慰謝料の支払いを求めることができる。

4.1990年4月の清算事業団解雇について

(1)清算事業団からの解雇は、国鉄が、名簿不記載基準を策定し、動労千葉組合員をJR東日本の採用候補者名簿に登載しなかったことにより、その時点で予期された当然の結果である。
(2)国鉄職員は、採用候補者名簿に記載されずJRに採用されなかった場合は、当然に清算事業団職員となり、国鉄が動労千葉組合員を採用候補者名簿に記載しなかった行為が不当労働行為であったとしても、その結果(解雇)は左右されない。
(3)特別対策対象者である動労千葉組合員を再就職促進法の失効日で解雇したたことは、動労千葉組合員が採用候補者名簿に記載されずJR東日本に採用されなかったことについて、国鉄の重大な違法行為があったことを理由として、その効力を否定する余地はない。

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