「真実」を多数の労働者のものにする努力
伊藤晃(国鉄闘争全国運動呼びかけ人)
昨年9月25日、動労千葉・鉄建公団訴訟で、東京高裁は国鉄の不当労働行為を認めた。これは4万4千余の署名を実現した私たちの力を示している。こうして闘いは新しい段階に入った。国鉄改革法そのものは固守した高裁判決に対して、私たちはさらに進んで、解雇撤回・JR復帰の判決を最高裁に要求する新たな10万人署名を展開している。
高裁判決は考えてみれば当然のことを言ったにすぎない。不当労働行為は実在したという「真実」があったのだからだ。1047名闘争のたゆみない展開のなかで暴き出されたこの「真実」とは、「国鉄とJRは別法人」とする国鉄改革法を一旦全員解雇・選別再雇用方式に実現するための、国鉄・JRの具体的共謀関係の存在であった。私たちはこの共謀関係にこそ、国鉄改革法の本来の精神を見る。そしてこの精神が、全労働者の権利と雇用の徹底的破壊に至ったその後の歴史過程を貫いているのだ、と考える。
小冊子『暴かれた真実』で共謀の事実が知らされるや、労働者たちは、自分たちが直面する外注化・非正規化・解雇などの現実の起点としての国鉄分割・民営化をまざまざと見、それぞれの闘争と重ねて署名に加わったのだ。それは「国鉄方式」下の現実をひっくり返すための確実な糸口だ。
私たちはこの糸口をさらに強くつかみとり、押し広げていかなければならない。「真実」は暴かれたとはいえ、それを大多数の労働者のものにするにはまだまだ努力が必要だ。私たちの訴えが必ず人びとの心に届くことに確信をもって、広く深い討論を作り出そう。今回発行される『暴かれた真実2』は、最高裁に対する闘争に向けて、東京高裁判決を分析・批判するなかで問題を整理し、闘争課題を再度確認するために作られた。10万人署名貫徹、そのための働きかけと討論に生かしてもらえることを信じ、またそれを願っている。
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