2017年8月23日水曜日

日刊動労千葉 第8322号

職場で仲間が息絶えた! CTS幕張事業所
安心して働ける職場をともにつくろう

 CTS幕張事業所で働く田中宏昌さんが8月8日午後、快速車両の清掃作業中に突然倒れ亡くなった(享年55)。私たちは、田中さんの無念の死を心から追悼するとともに、誰もが安心して働きつづけられる職場にJRーCTSを変えるために全力で闘うことを改めて決意したい。

AEDすらなかった

 あまりに急な仲間の死に、10日以上が経った今も、ショックや、やり場のない思いが職場の底にずっと充満している。田中さんは30度を超える暑さの中、心臓疾患で倒れた。幕張車両センターにはAEDもなかった。安全衛生委員会で導入が提案されていたのに会社はずっと無視してきた。担架すら手元になかった。18日に開かれた幕張事業所の安全衛生委員会で会社は、今回の事態の事実経過すら提出しなかった。
 「もしAEDがあったら…」「もし一人仕事じゃなければ…」「毎日のように、あのきつい仕事に入っていなければ…」「暑い期間だけでも、もう少し仕事を分担できていれば…」。助かったかどうかは、もう誰にも分からないが「もしかしたら…」という悔いはどうしてもぬぐえない。会社はなぜ、AEDひとつ買おうとしないのか。

いつ誰が倒れてもおかしくない

 田中さんの死は、誰にとっても他人事ではない。CTS幕張事業所には毎年、毎年、救急車が出動している。こんな職場が、いったいどこにあるのか。CTS経営陣は、このままでいいと本当に思っているのか。体力に自信がある人ですら、真夏の構内での仕事は頭がクラクラするほど大変だ。ひっきりなしに入ってくる入区車両に追われ、転線時間に追われ、いつ誰が倒れてもまったくおかしくない。
 日勤だけで働く仲間は、本当に食べていけないほどの低賃金。連続夜勤やむちゃくちゃな変則勤務、徹夜勤務つづきの中で体調を崩しながらも、食べていくため、家計を支えるために寿命を削ってみんな働き続けている。ただただ利益を最優先するJRーCTSのもとで、現場で働く者の生活や健康、命までもがあまりにも軽々しく扱われていることに本当に我慢がならない。

要員を増やせ!

 「休憩時間の遵守」や「一人仕事をどうするか」などの「対策」が話しあわれているが、根本的な対策にはほど遠い。会社は、何がおころうが要員は絶対に増やさない。金がかかるからだ。
 要員を大幅に増やす以外に根本的対策はないことは誰の目にも明らかだ。現状のままで様々な対策を積み重ねても、さらに過重な負担が現場にのしかかるだけだ。業務量や夏の暑さに合わせ、それを乗り切れるだけの要員を確保し、労働者の安全や命を守るのは会社にとって最低限の義務だ。コストと人の命、どちらが大事だ思っているのか。

すべてがもう限界だ

 国鉄が分割・民営化されてから30年。もう、すべてが限界にきている。
 安全は投げ捨てられ、会社の利益だけが最優先されている。あらゆる業務が、膨大な数の子会社に業務委託されたため、鉄道業務はばらばらに分断された。「もうからないから」と地方は容赦なく切り捨てられ、大中小の深刻な事故や故障、輸送混乱はまさに日常茶飯事となった。そしてその矛盾が全部グループ会社に押し付けられ、賃金や労働条件、権利、安全がメチャクチャに破壊され、最底辺に突き落とされていった。民営化以降、触車や墜落などの業務災害だけで数百人以上の鉄道労働者が命を落としているが、その多くがグループ会社で働く仲間たちだ。すべては、JRによる異常なコストカットが生み出した現実ではないか。

闘いなくして 安全なし! 

 かつて炭鉱で働く労働者たちは「闘いなくして安全なし。安全なくして労働なし」をスローガンに会社と対決し、安全が確保されなけば絶対に坑道には入らなかった。こうした闘いを貫いて、自分と仲間の命を守った。われわれ動労千葉も、この伝統を継承し「闘いなくして安全なし」「反合理化・運転保安確立」を最も大事なスローガンとして守り、闘ってきた。
 自ら声を上げ、団結した力で会社に強制する以外に、職場の安全は絶対に守れない。
 今回の事態を「しょうがなかったのかな…」とあいまいにすることは絶対にできない。会社は、ただちにAEDを全職場に配置しろ! 全員に救命救急の訓練を行え! 基本賃金を大幅に引き上げ、必要な要員を確保しろ! 他人まかせ、会社まかせでは職場は何ひとつ変わらない。動労千葉に加入し、本当に安心して働ける職場をともにつくろう。動労千葉は、その先頭に立って闘います。 

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