2013年4月20日土曜日

動労水戸 内部被曝の怖さ知ってほしい

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内部被曝の怖さ知ってほしい
柳沢裕子医師、チェルノブイリ事故踏まえ訴える

 動労水戸はK544再運用問題や大子における被曝労働の危険性について強く訴えてきました。4月14日、内部被曝の危険性について理解を深めるために、船橋二和病院の内科医で全国労組交流センター医療福祉部会の柳沢裕子医師による学習会を行い、家族も含めて25人が参加し、真剣な学習と質疑が行われました。内容はパンフにまとめますが、重要なポイントについて報告します。

チェルノブイリ事故27年現在も続く深刻な被害

 柳沢医師は、チェルノブイリの放射能被害の実態を自ら確かめるため、先月までベラルーシを訪問してきました。その経験を基に「原発を推進する国と御用学者の言う『安全基準』には全く根拠がありません。実際の被害は隠されてきました。放射線はどんなに少量でも人体に危険です。核政策を推進するためのICRP(国際放射線防護委員会)でさえ、『これだけの量なら安全という閾値(しきいち)はない』と公言しています。ここを踏まえずに動労水戸の被爆労働反対の闘いを批判するのは間違っています」と前置きしました。そしてベラルーシの甲状腺ガンの特徴として、

○事故後2年目から発症し、4年目から増加している。
○事故当時に胎児~18歳だった人が事故後10年で発症率のピークを迎え、現在も同じ率で発生している。
○事故当時19~40歳の人も10年後から発症し始めている。
○公式見解ではヨウ素131の初期被曝が原因とされるが、内部被曝のうち60%は「吸入」によるものとされている。
○しかし、ヨウ素131の半減期は短いのに、その後も甲状腺ガンが発生している。セシウムなどが疑われるが公式には「原因不明」とされている。

を挙げました。「ヨウ素131は福島だけでなく茨城県内にも大量に降っているにもかかわらず、政府も自治体も健康調査を行おうとしません。甲状腺異常の正確な診断のためにはエコー検査が必要。しかし政府の一方的な『安全だ』という決めつけによって行なわれていません」と指摘しました。5年10年後になって真の被害が出てくるだけでなく、27年経っても健康被害が続いているという恐るべき事実が報告されました。

低線量でも重大な内部被曝の健康被害

 さらに柳沢医師は、「チェルノブイリでも甲状腺ガン以外の健康被害は調査されてきませんでした。それも子供たちに異常が現れてからの対応であり、その意味ではどの国も本当の被害を隠そうとしています。原爆の被害も原発事故の被害も正確な資料や情報が極めて少ないのが現状です」と述べつつ、公式に出されている資料や事実から明らかになった内部被曝の危険について丁寧に解説しました。

①外部被曝ではエネルギーが少なく貫通性が高いγ線が体を通過する。一方、内部被曝では貫通性が低い分強いエネルギーを出すα線・β線が細胞や遺伝子を修復不能に破壊することが原因で起こる。しかもα線・β線はWBCC(ホールボディカウンター)でも測定できない。
②内部被曝は食物からの摂取だけでなく放射性物質を吸引する事によっても引き起こされる。防護服は放射線を防護できるわけではなく放射性物質の拡散を防ぐもの。最も重要なのはマスクだが、医療現場で結核などの空気感染を防ぐための「N95」という0.1~0.3μm(放射性物質は0.1μmの大きさ)を通さないマスクでないと意味がない。それでも微量は吸い込んでしまう。
③今年2月、機械乾燥させた切り干し大根から出なかったセシウムが、天日干ししたものからキロ3千ベクレルも検出され福島で出荷自粛になった。風で舞った放射性物質が付着したことが原因。空間線量の問題だけではなく、放射性物質を含んだホコリを吸引し体内に取り込む方がより深刻な被害をもたらすと考えられる。
④内部被曝の健康被害はセシウム以外は調査されていない。しかし、放射性物質は肺から血液に入り循環器や筋肉にも作用するので、心筋梗塞などが増える可能性がある。

K544強行は補償と命の切り捨てが目的

 質疑では、茨城に住む組合員の家族からも甲状腺異常が出ていると深刻な相談も出されました。政府と東電の行なっている「切り捨て」とは、補償金だけでなく人の命の切り捨てです。準放射線管理区域とほぼ同じ線量の広野、そこに留置されてきたK544の検査・運用を強行するのはまぎれもなく内部被曝を強制することです。さらに放射線管理区域と同等の線量の竜田延伸とそこへの住民帰還による「命と生活」の切り捨てに他なりません。チェルノブイリでさえ行われなかった年間5mSv以上の地域への帰還強制を政府・東電・JRが一体となって強行しているのです。
 鉄道労働者の第一の使命は安全です。そして鉄道関連労働者で構成する労働組合の使命は、労働者と乗客の安全と生命に責任を取るということです。原発事故に対する国と企業の無責任に対し、怒りをもって団結し共に闘おう!

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