2017年12月21日木曜日

外注化阻止ニュース 第351号

http://www.doro-chiba.org/ga/gaityuuka351.pdf


新幹線台車亀裂
異臭・異音で運転継続
なぜ3時間も止められなかったのか
 
 12月11日、東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかりました。博多発の列車は、名古屋までの間、異臭・異音のなか約1000人の乗客を乗せて最高時速300㌔で走っていました。
 ようやく名古屋駅で点検して亀裂が見つかった際には、台車損傷の恐れのためもはやホームから動かせないほどギリギリの状態でした。このまま東京駅を目指せば最悪の場合、脱線の恐れがありました。国の運輸安全委員会も重大インシデントにとして調査しています。
 台車に何が起きたのか、詳細はこれからですが、なぜ異常に気づいてから3時間、740㌔も運転を止めることができなかったのか。

司令が運行継続

 小倉駅を出た直後から「焦げたにおいがする」「もやがかかっている」と車掌に連絡があったそうです。岡山駅から車両保守の担当者3人が乗車し「うなり音」を確認。
 担当者が司令に異常を報告しましたが、最終的には東京の指令所が運行継続を決めたとのことです。
 通常は、山陽新幹線から東海道新幹線に入る際、新大阪駅で、運転士や車掌はJR東海の社員に交代しますが、この時も異臭や異音が原因不明であるにもかかわらず、もっとも状況を把握しているはずの担当者3人も車掌も新大阪で下車しました。新大阪駅での停車時間はわずか2分。引き継ぎさえ満足に行われませんでした。
 多くの識者が「異常を感知したら、すぐに点検すべき。なぜ岡山駅や新大阪駅で点検しなかったのか」とコメントしていますが、なぜその当たり前のことができなかったのか。
 新幹線はドル箱なので、過密ダイヤでも「高速・定時運行」を最優先させ、緊急点検による遅れなどの混乱を避けた可能性がある、と強く指摘されています。
 05年の尼崎事故(福知山線脱線事故)は、前駅までのオーバーランによる遅れを回復する無理な運転が直接の引き金になりました。その背景には、私鉄との競争に勝つためスピードアップによる所要時間短縮や運転本数増加など目前のサービスや利益だけを優先したJR西日本の経営姿勢がありました。今回の件は、その状況におよそ変化がないことを示しています。
 重大事故が本当に頻発しています。生命を奪われるのは労働者、乗客です。「闘いなくして安全なし」のスローガンが今こそ必要です。

ニュースへのリンク