2017年12月24日日曜日

日刊動労千葉 第8381号

「エルダー本体枠拡大」修正提案弾劾!
全面外注化と分社化・転籍強制粉砕へ
全力で闘おう!

 12月5日、JR東日本は「エルダー社員本体枠拡大」提案に関して、修正提案を行った。賃金の若干の増額など、一部条件の改善が行われたが、提案の本質はまったく変わっていない。それは、全面的な外注化と分社化・転籍へと進む攻撃だ。

分社化・転籍強制の本格的攻撃

6月9日の当初提案でうたわれていた、「エルダー社員は、今後もグループ会社等との水平分業を前提に、原則としてグループ会社等への出向を命ずる」という表現は、「エルダー社員は、グループ一体となった業務運営等の観点から、グループ会社等への出向を命ずることを基本とするほか」と修正された。
 提案文から「水平分業を前提に……」の文言は削除された。だがそれは、エルダー新提案をもって「水平分業」=分社化・転籍攻撃に踏み出す意図を撤回したことを意味するものではない。会社と東労組は、いつものように、言葉だけごまかして、本質は何一つ変わっていない攻撃を現場の労働者におしつけようとしているのだ。
 実際会社は、東労組との交渉の中で、「10年後にはエルダーも減少する。施策をかなりのスピードで進めていく必要もある」と回答している。会社は、分社化・転籍強制に向けた本格的な攻撃を急ピッチで進めようとしているのだ。

定年延長の道を閉ざした東労組

 東労組はその真の狙いを現場組合員に一切隠したまま、修正提案に即日妥結した。そして、「65歳定年延長に向けた大きな一歩」「労働条件の改善かちとる」と宣伝している。だが、事態の本質はその真逆だ。
 今回の修正提案は一般社員にとって、エルダー基本賃金をわずか3千円、「調整措置」を1年目だけは6千円引き上げるというものだ。(+出向によって労働時間が伸びた場合わずかの手当)。制度の骨格は何ひとつ変わっていない。一体なぜこれが「定年延長への大きな一歩」などと言えるのか。むしろ逆に3千円プラスαというわずかな賃上げで外注化拡大とワンセットのエルダー制度を固定化する攻撃に他ならない。
 しかも、助役・管理者にだけは3~4万円という調整手当を加算するのだ。管理者さえ良ければいいという姿勢なのだ。
  その裏には、JR本体には業務も労働者もほとんど残らないところまで外注化を進める狙いがある。JRに管理者しか残らないようになれば、エルダー賃金もまともな額まで引き上げる。それまでは手当増額などでごまかし、乗り切ろうということだ。
 東労組はそれを「定年延長への一歩」という形でごまかし、自らの裏切りを隠しているのだ。
 そもそも、グループ会社への出向でなければ再雇用できない理由など、初めから何一つない。それは業務外注化を強引に進めるための詭弁にすぎない。「外注化ありき」「エルダー制度ありき」だから、「再雇用のためには出向先が必要」と思わされてきたのだ。その制度を東労組は、「ぬきんでた素晴らしい制度」などと賛美し続けてきた。
 会社との交渉の中で東労組は、「エルダー社員に原則として会社における勤務を命ずる」よう要求し、「エルダーはプロパーへの教育が主たる任務」「出向先での労働力という意味ではなかった」などと主張している。あたかも単なる労働力として出向させられることや、外注化・出向に反対しているかのようだ。だが実際は、東労組が会社と一体となって外注化強行を進め、多くの労働者が技術継承の対象など一人もいないところへの強制出向に駆り立てられていった。
 その手法は実に悪辣だった。再雇用先をグループ会社に限定し、「労使は業務委託を深度化し着実に推進する」という条項を結ばなければ、再雇用しないという形で組合に外注化協力を迫る。その仕組みを裏で会社と一体になって作り上げたのが東労組幹部の連中だ。そして、「再雇用されるのは東労組の組合員だけ」「国鉄改革を担った真面目な社員だけが再雇用される」と大宣伝したのだ。
 年金が出るまでの再雇用という切実な問題を逆手にとり労働者を外注化・強制出向に駆り立て、それを他労組の切り崩しにまで使う。その悪巧みのために自らの組合員まで騙し、JR本体での再雇用や定年延長への道を閉ざしたのは東労組自身なのだ。

新たな裏切り許さず闘おう

 国鉄分割・民営化と首切り、シニア制度・外注化強行に東労組が率先して協力していったときと同じ裏切りが狙われている。それは、東労組がことさらに「国鉄改革を真面目に担った」ことを主張していることにも表れている。
 もし「出向先での労働力」として扱われることに反対し、定年延長や本体勤務を基本とすることを本当に実現しようと思うならば、東労組幹部は自らが外注化を推し進めたことを深く反省し、外注化そのものに反対するべきではないのか? 分社化と転籍強制にまで攻撃がエスカレートしようとしていること、乗務手当まで廃止しようとしていることを全組合員に明らかにし、職場の怒りを組織して闘いに立ち上がるべきではないのか?
 だが、東労組は核心に迫る問題はすべて隠してしまっている。それは東労組幹部が施策に反対なのではなく、会社との結託体制の回復を目的にしているからだ。職場の怒りが巻き起これば、修復したいと考えている会社との関係が非和解的になるから、すべてを隠して進めようとしているのだ。
 彼らが「反対」しているのは、会社が東労組幹部を無視して全てを進めようとしていることに対してだけだ。「幹部さえ助かれば、分社化にも転籍強制にも全面的に協力する」ということなのだ。一部組合幹部が会社とうまくやるために組合員を騙し、権利を売り渡す。許し難い裏切りが画策されている。
 だが、会社が「水平分業」という文言だけでも修正しなければならなかったのは、現場の怒りの声がわきあがることを恐れているからだ。分社化と転籍強制に向けた外堀を埋めようという攻撃も、今なら阻止することができる。
 東労組の裏切りを許すな! すべての現場から怒りの声を! 定年延長と65歳まで働き続けられる労働条件の確立、外注化と分社化・転籍強制阻止へ全力で闘おう。

日刊動労千葉 第8381号へのリンク