2020年8月27日木曜日

外注化阻止ニュース 第493号

 
民営化による鉄道破壊許すな
米投資ファンドがJR九州株を売却

 
鉄道は大株主の金儲けの道具ではない

 JR九州では16年秋の株上場以来、投資ファンドが所有株を買い増して大株主となっています。そして「不動産収益を重視しろ」「自社株買いで利益を株主に還元しろ」と要求し、独自の社外取締役を提案するまでになりました。
 昨年は投資ファンドが提案した取締役選任案に40%超の賛成票が入りました。提案は否決されたものの、JR九州は秋に自社株買いを行い、事実上ファンドの要求に応えました。
 本来であれば、この莫大な資金は、鉄道の安全を守り、地域に必要な鉄道を維持し、労働者の雇用と賃金を守るために使われるものです。
 「利益」が至上命題とされれば公共交通を守る鉄道会社ではなく、一部の大株主の利益のための会社になってしまいます。
 今年は投資ファンドの提案は賛成は最高33%でした。新型コロナによる乗客減少と度重なる災害のなか、8月にファンドがJR九州の株の半分を売却したことが明らかになりました。
 金儲けのネタにならなければ見限る――こんな投資ファンドに鉄道を売り渡せば、公共交通機関として役割が果たせるはずがありません。

民営化の矛盾を労働者に押し付けるな

 しかしJR九州の社長自身も「公共性を根拠に赤字でも鉄道事業を続けるべきではない」とファンドと同じようなことを発言しています。
 鉄道は社会インフラであり、地域社会と住民の生活に必要な権利です。安全に列車を運行することは鉄道会社の使命です。「儲からなければ鉄道をなくしていい」という考えは根本的に間違っています。



 20年4~6月期決算でJR各社は軒並み過去最大の赤字を計上しました。JR東日本の深澤社長は「コロナの前には戻らない」「コストが下がらなければ会社は存続できない」「鉄道ありきで考えるな」と危機感を募らせています。大合理化と労働者の権利破壊を狙っていることは明らかです。
 しかし、JR九州のこともコロナのことも民営化の結果であり、「利潤がすべて」の矛盾です。労働者と利用者への犠牲転嫁は許せません。

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