2020年8月5日水曜日

日刊動労千葉 第8828号

もう〝見せかけ〟は許されない!
JRは真剣な感染対策を行え!


コロナ感染症が再拡大している。政府は感染再拡大と同時に「GO TO トラベル」キャンペーンを開始し、まったく不要なアベノマスクを6月に再発注している。当初の無為無策とは異なり、完全に自覚的に感染拡大を放置し、〝経済優先〟と利権のための政策を続けている。そして7月26日、再び「在宅勤務7割」の要請を出している。

一方、JRはこの間、一貫して感染対策を真剣に行うことはなかった。「感染防止」と銘打った休暇は無給、消毒は「通常の清掃の範囲内」、つり革の消毒をCTSに発注したのは6月に入ってからだ。

「在宅勤務」要請で、また幹部だけ「出勤自粛」するつもりなのか? 現場にはまた感染の不安と危険の中での業務を強制するのか? そもそも再び感染が拡大することは分かっていたことだ。秋以降には本格的な感染拡大が来ると言われている。もう見せかけだけの〝対策〟は絶対に許されない!

会社責任で体調管理を

まず、現場労働者の体調管理は会社の責任で行うべきだ。職場での感染拡大を防ぐためには、最低でも発熱した状態で勤務させるわけにはいかない。会社の責任で、「体温37・5度以上の場合」「家族に感染疑いがある場合」などの基準を決め、有給で自宅待機にするといった対応が絶対に必要だ。

「発熱等社員の体調管理の徹底」は、「新型コロナ感染症対策ガイドライン」で会社自身が打ち出した内容だ。だが、会社はいまだに個々人の「自主判断」にゆだね、休む場合もただの病休扱いにしている。われわれは、出勤点呼の時に会社の責任で体温測定などをやるようくり返し求めている。いまや様々な施設や店舗で入場時の消毒や体温測定が広がっているが、JRはそれもまったく行おうとしていない。

個人任せにすれば、誰でも「職場に迷惑がかかる」と無理にでも出勤する。PCR検査を受ける場合も、現場労働者は自発的に仕事を休んで病院に行き、医師・保健所が「必要」と判断しなければならない。会社が有給扱いにするのは、PCR検査を受ける当日だけだ。

結局、会社は感染対策よりも要員削減を優先しているのだ。体調管理を徹底すれば、急な欠務で予備が代務しなければならないケースが増える。JRはその責任を放棄し、すべてを現場労働者に押し付けているのだ。許すことなどできない!

十分な要員を確保しろ

消毒作業などの体制もまったく問題は解決されていない。清掃業務を担っているのは、ほとんど法定最低賃金スレスレで働く仲間たちだ。十分な要員が集まるはずがない。その職場の現実を放置して、「つり革を消毒しろ」「不特定多数が触れるところは消毒しろ」というのだ。

われわれは、JRが十分な要員確保に責任を持つこと、そのために賃金・労働条件の抜本的な改善、危険手当等の労働条件整備、清掃・消毒業務等の下請け会社への委託費の引き上げ等を行うことを要求してきた。

だが、JRはすべてを下請け会社に丸投げし、何の責任も取ろうとしていない。そして、すべての負担は現場に押し付けられている。例えば、CTS津田沼事業所では毎日夜に1千5百枚もの窓閉め作業が発生し、つり革消毒は1日6千本以上になる。それを要員も増やさないまま行わせているのだ。

乗務員に対しては、予備勤務者の「有志」による消毒作業が行われている。だが、走行中、乗客もいる中でまともな消毒が行えるはずがない。しかも、対象になるのは日中帯のごくわずかな列車だけだ。JRがまともな感染対策を何一つ行っていないことを取り繕う〝パフォーマンス〟のためだけの対策ならざる対策だ。それを「社員の自発的行為」といってすべての責任を放棄し、世間体を取り繕うためだけに現場を動員しているのだ。

7月からは泊勤務時にシーツの交換を乗務員自身にやらせるということが始まった。だが、会社は泊行路の仮眠時間を十分確保せずにきた。乗務後の疲労の中、少ない睡眠時間を削ってシーツ交換を行わせるなど絶対に間違っている。

すでに鉄道各社の乗務員からも感染者が出ている状況だ。感染防止の観点からいっても、個人任せでシーツを交換させるというレベルの対策でいいはずがない。清掃部門の労働条件を改善し、十分な要員体制で作業手順を確立して行うべきだ。

感染症対策は今後も続かざるを得ない。気温も上がり、熱中症の危険も増している。このままでは現場労働者が倒れて職場が成り立たなくなることも考えられる。十分な要員と労働条件の確保は絶対に必要な急務の課題だ。

合理化を優先するな!


しかも、この状況の中で会社はジョブローテーションによる異動を強行し、秋以降はワンマン運転の訓練も行うとしている。異動でもワンマン運転拡大でも、訓練が発生して感染の危険が増大する。とくに運転台では密閉・密接・密集は避けようがない。秋以降はさらに深刻な状況も想定される。感染防止を考えるなら、最低でも一度中止するべきだ。

だが、会社はあくまで強行するとした上、「変革2027をさらにスピードアップさせる」と宣言している。これはただの「無為無策」ではない。JRは感染防止のための作業体制や要員確保より、合理化と労働者の権利破壊を自覚的に優先したということだ。現場よりも金儲けが優先か! 現場労働者の命を何だと思っているのか!

われわれは改めて、JRの責任による真剣な感染対策を要求する。もう〝見せかけだけ〟は許されない。職場から断固とした闘いにたちあがろう。

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