2020年8月7日金曜日

日刊動労千葉 第8829号

東北本線 黒磯~新白河間
5両ワンマン現地調査実施

なぜワンマン運転に反対するのか⑤

前方注視も発車後のホーム確認もできない!?
これで安全が守れるのか!

前方注視も発車後のホーム確認もできない!?
これで安全が守れるのか!

○出発後、時速10㌔に到達するまでモニターは点灯している。その間、モニターを確認しなければならない。
→運転開始後も前方注視できない!?

○ホームを抜けきらないうちにモニターは消える。
→発車後のホームの安全確認ができない。

○夜間の明かりは駅の照明のみ。
→安全確認が十分できるのか

カメラは各車両の両端上部に設置されている。
モニターに映るのは進行方向側のカメラの画像(前方から後方を撮ったも)。

7月19日、動労千葉は動労水戸の仲間とともに、5両ワンマン運転が強行された東北本線・黒磯~新白河間の現地調査を行った。

ホーム安全確認の問題

ホーム上の確認のために各車両の両端にカメラが取り付けられ、運転台上部の2台のモニターが各3分割されて映像が映る。モニターは、ホーム停車後にドアを開けると点灯する。

まず問題として、運転士が一人でモニターだけでドア付近の状況を確認しなければならない。特に夜間は駅の照明以外にライトはなく、見えにくくなる。また、車両手前側は視野が狭く、直前の駆け込みなどは把握できない。

車両奥側は人が立っていても小さく見える。荷物が挟まっても見落としかねない。パイロットランプが点灯すれば運転士としては出発してしまう。

しかも、時速10㌔でモニターが消えるため、ホームを抜けきらないうちにホーム上の安全確認はできなくなる。

JR西日本では、ベビーカーを見落として出発し、子供がベビーカーごと線路上に転落する事故が起きた。2両ワンマン運転で、運転士が複数回ミラーを確認したにも関わらずだ。車掌がいて安全確認できれば絶対に防げたはずの事故だ。
車両カメラの位置からホームを撮影。
車両の両端のドア付近に組合員が立っている。
奥側は小さく見えにくい。手前側は映る範囲が狭い。

出発後もモニター注視

さらに、出発後も時速10㌔でモニターが消えるまではモニターを確認することになっている。その間は走行中にも関わらず、前方注視ができない。

例えば上総一ノ宮駅のように駅近くに踏切がある場合、非常時にブレーキをかけて間に合うのか?

運転士の前方注意義務は安全を守る重大な規定だ。ないがしろにしていいはずがない。車掌がいれば、駅停車前、停車中、発車後のホームの安全確認ができる。

だが、ワンマン運転ではこれらの安全確認が無視されることになる。会社の安全無視・解体を許すわけにはいかない。

乗客対応も問題だ。車内放送は自動放送のみで、各駅の到着時間や詳しい乗り換え案内はない。乗客に聞かれた際、基本は駅員が案内しても、無人駅等では運転士が対応せざるを得ない。

折り返し時には、車掌が行っている列番入力などの作業も生じる。ワンマン運転は、あらゆる負担と責任が運転士一人にのしかかる。これで安全が守れるはずがない。

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