2020年8月28日金曜日

闘いなくして安全なし No.273

 
 民営化による鉄道破壊許すな!
JR九州株を
米投資ファンド ファーツリーが売却

 
鉄道は大株主の金儲けの道具ではない

 JR九州では米投資ファンド・ファーツリー社が大株主になり、「不動産を重視しろ」「自社株買いをして利益を株主に還元しろ」とし、独自の社外取締役を提案するまでになりました。
 昨年はファーツリー社提案の取締役選任案に40%を超す賛成票が入りました。提案は否決されたものの、JR九州は秋に初めて自社株買いを行い、事実上要求に応えました。
 そのお金は、本来なら鉄道の安全を守り、地域生活に必要な鉄道を維持し、労働者の雇用と労働条件を守るために使われるべきものです。
 「利益」が至上命題とされれば公共交通を守る〝鉄道 会社〟ではなく、「一部の大株主が金儲けするための会社」にされるのです。
 今年は、ファーツリー社提案への賛成率は最高33%でした。「コロナ」による乗客減少と度重なる災害の中、8月にファーツリー社がJR九州の株の約半分を売却したことが明らかになりました。自分の金儲けにならなければあっさり見限る―こんな投資ファンドに鉄道を売り渡せば、公共交通機関としての役割など果たせるはずがありません。

民営化の矛盾を労働者に押し付けるな

 すでにJR九州の社長自身も完全民営化したことで、「公共性を根拠に赤字でも鉄道事業を続けるべきではない」という発言をしています。
 しかし、「儲からなければ鉄道をなくしていい」など根本的に間違っています。鉄道は社会的なインフラです。地域社会と住民の生活に必要な鉄道を守り、安全に列車を運行することこそ鉄道会社の使命です。
 2020年4~6月期決算が発表され、JR各社は軒並み過去最大の赤字を計上しました。JR東日本の深澤社長は、「コロナの前には戻らない」「コストが下がらなければ、会社は存続できない」「鉄道ありきで考えるな」と激しく危機を叫んでいます。大合理化と労働者の権利破壊を狙っていることは明らかです。
 しかし、これは民営化の結果であり、「利潤がすべて」というあり方の矛盾です。その矛盾を労働者に転嫁するなど絶対に許せません。



⽶ファンドの提案否決、JR九州が株主総会

JR九州は23⽇、福岡市で株主総会を開き、⼤株主となっている⽶投資ファンド、ファーツリー・パートナーズが提案していた取締役選任など、全ての株主提案が否決された。ファーツリーは「モノ⾔う株主」として昨年に続いて提案していたが、JR九州はいずれの案にも反対していた。
(2020/6/23 日経新聞)

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