2015年2月27日金曜日

動労水戸 外注化こそ事故の根本原因

http://file.doromito.blog.shinobi.jp/72fa7aa1.pdf


2・12勝田車両センター18番線脱線事故
外注化こそ事故の根本原因

 2月12日、勝田車両センター構内18番線で脱線事故が発生しました。
 パンタグラフのシングルアーム化のためK704編成10両を18番線に3両、17番線に5両を分割・転線する作業でした。脱線事故は、18番線に8両を推進運転して5ー6号車間を完全分割し、3両切り離しで発生しました。
 検修庫手前で一旦停止した際に分割作業者が手歯止めを設置、さらに1両分庫内に移動したため、乗り上げ脱線したのです。

事故の原因は外注化時の誘導要員の削減にある
 
 会社は当初、事故の原因は「分割作業者がパン降下を確認せずに手歯止めを装着したこと」や「打ち合わせがされずに分割作業をしてしまったこと」だということで済ませようとしましたが、問題はそれだけではないと思います。その背景にはもっと重大な問題があります。
①18番への推進庫入れは、8年前に誘導・構内運転士・分割がJR直だった際にも脱線が発生した危険性の高い作業です。
②その対策として、先頭車の誘導に加え、架線終端及び分割作業が見える地点にもう一人誘導補助を配置してきました。誘導補助がいない場合にはやってはならない作業なのです。
③しかし、構内誘導外注化の際に、誘導は1人体制に減らされました。MTSでは、その誘導補助者を構内運転士にやらせようとしましたが「できない」と断られてしまいました。困ったMTSは、助役(誘導・検修未経験!)を便宜的に付けてこの危険作業をやってきたのです。しかし、この助役が「誘導補助者」なのかさえいまだに明確ではありません。いい加減にしてやってきたのです。誘導補助者でないなら、推進で庫入れはやってはならない作業です。

外注化による指揮命令系統の分断が事故招いた

④さらに外注化で、構内運転士と誘導はMTSの指揮下にあります。分割や併合担当の機動班はJRの指揮下です。協同作業なのに指揮命令系統が違うため、直接打ち合せもできないことになっています。
⑤外注化では、一つの作業について発注を受けた会社が単独で完結できなければ偽装請負になります。ですから、庫入れまでが発注されたのならば、そこまで全てMTSの責任で行ってからJRに引き継がなければなりません。
⑥こうした事情から、庫の前で引き継がれる日常作業では、庫前で一旦停止までがMTSの責任で、そこからJRに引き継がれ、手歯止め装着・分割・アント(車両移動機)による引き込みになります。それが前日に確認された作業です。
⑦それが当日の朝、その場の事情で急に変わったのです。本来作業が変更される場合、改めて発注書が出され、それぞれの作業者に伝達されなければなりません。どんなに面倒でも、それが外注化なのです。その場で作業変更を決めるなどあり得ないのです。
 実際にMTSの作業者にも、JRの作業者にも、作業の変更について事前に何も伝えられていません。誘導担当にも、構内運転士にも、その場で急遽「さらに1車押し込み」が指示されているのです。当然のことながらJRの分割作業者にも伝えられていません。JRの助役とMTSの助役のやりとりで、作業の変更がその場で決められてしまったからです。
 JRの作業者は、「庫前一旦停止、手歯止め装着から分割」としか指示されていません。仮に、もしそのまま分割作業に入っていたら、脱線どころか人命に関わる大変な事故になった可能性があります。

 本社や支社は、「現場検証」「意見交換会」「緊急CS会議」等を開催しています。しかし、外注化で誘導を減らし無理なシフトが取られてきたこと、競合作業で指揮命令系統が違うことなどの問題は、一切出されていません。それで本当の対策が出されるのでしょうか。


全面外注化を阻止しすべての労働者をJRへ! 命と安全を守ろう!


 実際、外注化によって多くの労働者が事故で亡くなっています。その度に「労働者のミスが原因」にされるのが大半で、会社は外注化の責任を明らかにせず「非常事態宣言」で労働者を締めつけています。昨年の京浜東北線川崎駅脱線転覆事故は、指揮命令系統の違う子会社・孫会社5社が現場で競合する中で起こった事故でした。

 動労千葉や水戸・高崎と現場労働者の猛然たる反対闘争で止められていますが、会社が考えているのは全面外注化です。検修・構内業務の出向は間もなく期限の3年目です。しかし外注化によって業務がどんどんMTSに移されている今、戻る職場は減り続けています。その先には「転籍」が待っています。

 外注化を直ちに止め、MTSプロパー社員をJR本体に採用してきちんと養成させよう。インチキなエルダー制度を止めて65歳まで定年延長させよう。職場の全労働が団結し、守りあえる職場をつくりましょう!

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